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<テレビの人材を育てる唯一の方法>OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)できる番組はどれだ?
高橋秀樹[放送作家]
* * *
テレビ番組のプロデューサーやディレクターは「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」つまり、仕事をやりながら仕事を覚える以外では育たないと言われる。もっと、正確に言えばと、筆者はOJT以外で育った人を見たことがない。経験則である。
ということは、テレビ局には「OJTができる環境」、すなわち「テレビ番組」がなければならない。そして、OJTができる先輩が必要である。
何かと劣化が言われるバラエティ番組に限って話を進めよう。
OJTができる番組は原則的に長寿番組である。なぜなら、長寿番組では、やるべきルーティン・ワークが決まっているから、学ぶのにちょうどいいからだ。何をやらなければならなくて、何をやるのが無駄で、何をやってはいけないか、などが、不文律として既に決まっている。
配属された新人はその枠自体をまず覚える。期間は1ヶ月もあれば十分。それからのちに覚えることは、その枠をどうやって壊すか、である。長寿番組は屋台骨がしっかりしているので、ちょっとした変更をやっても崩れない。
もちろん、「崩れない」こと言うことは、「長寿番組に新しいことを導入するのがいかに大変か」と言うことでもあるが、よほど凡庸な人材でもない限り、なにがしか必ず、思いつく。
10年も20年も続く番組には必ず「中興の祖」みたいに呼ばれる人がいて、新しいことを導入する。「笑点の司会を、林家たい平にしたのはあの人だ」というような人だ。
しかしながら、いつまでも長寿番組でのOJTばかりではなく、1年くらいで育てられた新人は、長寿番組から、いち早く離れるべきであると筆者は考える。長寿番組を離れて新番組を作るべきであると思うからだ。もちろん、まだ育っていない人材は長寿番組の中で塩漬けにしなければならない。そういう未教育な人材は、他に行くと、必ずそので害をなすからである。
よく、「あいつはできないから、ウチの番組から出てってもらう」というようなプロデューサーが居るが、それは間違いである。できないやつは、身中の虫として飼い続けた方が他に害を及ぼさない。これは礼儀でもあろう。
上記の繰り返しによって、テレビ局は新陳代謝を図っていくわけだが、長寿番組でも、いつかはあきられるし、飽きられると、不思議なことにOJTの役目も果たさなくなる。視聴者に飽きられ、内部的んいはOJTの役目も果たさなくなってしまった番組・・・と言うことになったら、できるだけ早く「伝説の長寿番組」と思われているウチに老残をさらさず、退場することもまた、役目である。…