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<独機墜落>副操縦士「精神的な病」独仏検察、診断書を押収
【ベルリン篠田航一、ブリュッセル斎藤義彦】独ジャーマンウイングス機の墜落で、仏独の検察当局は27日、機長を操縦室から閉め出し、意図的に墜落させた殺人容疑で、アンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)の本格捜査を開始した。デュッセルドルフの検察当局は27日、家宅捜索で押収した資料について「墜落当日直前に医師から出された複数の診断書があった。上司にはこの事実を黙っていたと思われる」と発表した。精神的な病に関する診断書とみられるが、これを会社に隠して勤務に就いた可能性がある。また、独紙ビルトは、副操縦士が2010年に米アリゾナ州で訓練を受けていた際、「操縦不能者」のリストに分類されていたと報じた。
ジャーマン社親会社のルフトハンザの26日の記者会見によると、ルビッツ副操縦士は08年、独北部ブレーメンにある育成施設で訓練開始後、自主的に数カ月間、訓練を中断した。これについて、ビルト紙はルフトハンザ関係者の話として、中断の理由は「心理的問題」だったと伝えた。
アリゾナ州での訓練はルフトハンザ航空学校で、10年7〜11月とみられる。08年以降、約1年半にわたり精神関連の治療を受けていたが、うつ状態もみられ、独連邦航空局に記載された副操縦士の資料には「定期的な医師による治療を受けていること」を示す記述があったという。うつ状態が原因で、訓練の上級段階に進めない状況も何度かあったが、副操縦士はその後適性検査に合格。13年9月に採用された。
一方、操縦士が飛行中に1人だけ残る時間を作らない「2人態勢」について、ルフトハンザのスポール社長は26日、捜査結果を待って検討する考えを示した。「2人態勢」は、独航空会社や空港運営会社などで組織するドイツ航空産業連盟が26日に導入を表明、英、ノルウェー、カナダの航空会社も検討している。
2人態勢については米連邦航空局が規則で定めている。同局が操縦室のドアの開閉について定めた規則は、「01年の米同時多発テロの結果」として制定されたことを示したうえで、各航空会社に対し「操縦士が2人の場合、1人が操縦室を離れた場合の手順」を定めるよう求めている。客室乗務員が代わりに操縦室に残り施錠する方法を具体例として示している。
独メディアによると、この規則はあくまで、テロリストの乗っ取りを防ぐためだが、米国の現場では励行されてきた。ただ、専門家は、操縦を知らない客室乗務員ができることには限界があるとも指摘している。