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荒井知事3選 「脱ベッドタウン」宣言
12日に投開票された知事選で3選を果たした現職の荒井正吾氏(70)は14日、県庁で、当選後初めて記者会見を開いた。荒井氏は大阪のベッドタウンとして発展してきた県の歩みの軌道修正を加速させ、今後の4年間で「働いて良し、暮らして良し、訪れて良しの県にしたい」と語り、〈脱ベッドタウン〉への意気込みを示した。(川口崇史)
記者会見で荒井氏は大阪のベッドタウンのままでは県内の地方創生は進まないという考えを示した。さらに、「国は若者の雇用を地方に発生させることが、地方創生の大きな柱だとしている。今、動き出している地方創生の取り組みを、奈良県は3年前からやっている」と強調。「2期8年間で、205の企業を誘致した」と胸を張った。
また、「地方にとって身近な産業は観光。奈良には雇用が増える余地はかなりある」と、従来通り観光産業の発展に全力を注ぐ考えを示した。「奈良の観光が発展しなかったのはホテルや旅館の客室数が全国でも少なかったから」と、奈良市の県営プール跡地で進めている国際高級ホテルの誘致実現に意欲をみせた。
選挙戦では、「県政の刷新」を掲げる前生駒市長の山下真氏に約5万6000票差まで迫られた。奈良市や生駒市などでは山下氏の得票を下回ったことについて、「批判票であれば耳を傾けなければいけないと思う。どこに批判があるのか、分析をしたい」と、結果を受け止めた。
また、告示20日前に表明した、関西広域連合への防災と観光分野での部分参加の公約については、「議会の承認が必要。6月か9月議会に諮ることになると思う」と見通しを示した。
「3期目が締めくくりになるのか」との質問には、国際高級ホテルの誘致や、県南部の3病院統合などの事業に触れながら、「できるだけ仕上げていきたい。3期で終わるかどうかは、今後の政治状況」と述べるにとどまった。運輸官僚時代には新幹線の担当だったこともあり、「仕上がりといえば、リニア中央新幹線の駅が私の任期中に県内に決まってくれればいいと思う」と語った。
次の選挙は74歳で迎えることになる。「貢献できなくなれば引き下がることが、公職にあるものの基本的な立場だ」とした。
自慢の鼻でがんばるわん/嘱託警察犬28頭任命式
民間の飼い犬で、府警の要請を受けて事件現場などに出動する「嘱託警察犬」の任命式が14日、府警察学校(伏見区)であった。
昨年11月の競技会を勝ち抜いたシェパードやトイプードルなど28頭。来年3月までの任期中、行方不明者の捜索や犯人追跡、人が多く集まる場所での不審物の探索などにあたる。
式では、遠藤雅人・刑事部長が「『鼻の捜査官』として活躍してほしい」とあいさつ。嘱託4年目を迎えるトイプードル「モッチ」(雄、7歳)の指導員・斎藤美冠さん(36)は「市民の安全のため、能力を最大限に引き出してあげたい」と話した。
府警によると、嘱託警察犬は昨年58回出動。これとは別に、府警が直接飼育する「直轄警察犬」も6頭いる。
健やかな成長願って 伊勢
来月5日の「こどもの日」に向け、伊勢市二見町の二見興玉神社で、参拝者らにこどもたちの健やかな成長を願って授与するこいのぼり作りが進められている。
町内などで切り出した竹を約1.6メートルと約1メートルの2種類の長さに切りそろえ、紺とピンク色のこい(長さ約60センチ)を、舞女(ぶじょ)らが短冊と一緒に結びつけている。
約1000本を用意し、来月5日まで1本500円で授与する。
山崎の宝 映画で継ぐ/大山崎、島本の住民制作
天王山の麓に広がる山崎地域の大山崎町と大阪府島本町の住民らが、同地域を舞台にした自主映画の制作に取り組んでいる。両町は京都、大阪両市のベッドタウンとして人気が出ており、開発で豊かな自然が失われ、長い歴史を知らない人が多くなるとの危機感からだ。制作に携わる住民同士の交流も進み、地域の魅力を再発見する機会にもなっている。(佐藤行彦)
「初めてこの場所に来た感じの表情で」「探検するようにゆっくり歩いて」
3月中旬、大山崎町のJR山崎駅近くの路地。監督を務める島本町在住の会社員折小野(おりこの)和広さん(40)の声が響いた。主人公が町をさまようシーンの撮影。大役を務める大山崎町の自営業中村佳太さん(33)は「演技は初めて。戸惑いも多いけど楽しい」と笑顔を見せた。
映画のタイトルは「家路」。両町がモデルの架空の町が、ある出来事をきっかけに封鎖される。そこに行けば願いがかなうとのうわさが広まり、事故で妻を亡くし、息子も重体の主人公が我が子を目覚めさせようと町に入るストーリーだ。
きっかけは、大山崎町商工会が2012年に開いた地域活性化を考える会合だった。出席した折小野さんが学生時代に映画を撮った経験を話すと「宅地造成などで失われる風景を記録しては」との声が上がった。
山崎地域は天王山(270メートル)の裾野に広がり、戦国時代には「天下分け目の天王山」と呼ばれる、羽柴(豊臣)秀吉と明智光秀の「山崎の戦い」の舞台になった。淀川など3河川が合流する緑豊かな地で、1923年にはサントリー創業者の鳥井信治郎が日本初のモルトウイスキーの蒸留所を島本町に開設している。
一方で2年前には大山崎町と長岡京市の境の同市側に阪急西山天王山駅が開業。住宅地や事業所の造成が進み、昔から住む町民の高齢化による歴史や文化の継承が課題となっていた。
両町の住民らは「oYamazakiまちのこしプロジェクト」を結成。役者から制作陣まで20~60歳代のスタッフ十数人の大半は映画の素人だが、折小野さんの構想をシナリオ化し、昨年4月から月1~3回のペースで撮影を続ける。
ロケは大山崎町の離宮八幡宮や島本町の避暑地・尺代のほか、天王山麓の竹林や河川敷など住民が後世に残したいと考える場所でも行われている。協力する住民も増え、昨年末に撮影した結婚式のシーンでは約30人がエキストラとして集まってくれたという。
スタッフの大山崎町の三宅秀輝さん(64)は「映画作りは色々な人と知り合う機会になり、世代間の結びつきも強くしてくれた」と話す。折小野さんは「撮影のたびに山崎の新しい魅力に気付く。地元の風景を映画にちりばめ、未来に残したい」と意気込む。
映画は今夏完成し、秋には地元公民館などで上映の予定。制作費が不足気味といい、プロジェクトは28日まで寄付を募っている。問い合わせは担当の中村さん(090・5328・3488)。
虻田高生が遊覧船ガイド…修学旅行生と交流
洞爺湖町の道立虻田高校(舟山栄治校長、生徒87人)は、国土交通省北海道運輸局と連携し、生徒を遊覧船ガイドとして育成する。洞爺湖観光に若い力を生かし、地域振興に役立てる考えだ。生徒のコミュニケーション能力を磨く目的もある。道運輸局は「高校生の遊覧船ガイドを育成するのは全国で初めてではないか」としている。
対象は同校の3年生23人。地域の活性化を学ぶ「地域ビジネス」の授業で取り組む。まず、専門家らを講師に招いて北海道と洞爺湖の観光の現状と課題を学び、遊覧船を使った乗船研修を行う。さらに模擬訓練を重ねて、秋の修学旅行シーズンにデビューする予定だ。
洞爺湖を訪れる宿泊客は1990年に86万人を数え、うち2割近い13万人が修学旅行生だった。だが、2000年の有珠山噴火を境に修学旅行生の足は遠のき、2013年の修学旅行生は1万8000人だった。洞爺湖を訪れる同世代の修学旅行生を、地元の高校生がガイドとして案内し、噴火を繰り返す有珠山と共生してきた地域の歴史や自然の恵みを伝えることが、今回の企画の大きな狙いでもある。
14日には同校で開講式が行われ、JTB北海道観光開発プロデューサーの柳原由実子さんが「高校生の目線で地域の宝を見つけ、同世代の高校生に自分の言葉で魅力を伝えて喜んでもらってほしい」と激励。3年の児玉龍一郎さん(18)は「洞爺湖には美しい観光資源がある。同じ高校生と交流しながら地域に貢献し、自分の対話能力も高めたい」と意欲を語った。
北海道運輸局室蘭運輸支局は、「北海道新幹線の開業や格安航空の新規参入などで、北海道に人とモノを呼び込む好機が訪れている。地元の高校生による街おこしと、スキルアップになれば」と期待している。