仕事で役立つ人気ビジネスアプリおすすめ!
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【試乗記】ジャガーXJR、弩級スペックはむしろ歴史の正当進化にしか過ぎないのかも:今井優杏
レディなクルマだな、と思う。
と、読者層のほとんどがメンズに占められるであろう当サイトにおいて、のっけから場違いな書き出しかもしれないが、ジャガーってどのモデルに乗ってもホテルのパウダールームみたいな、ちょっと退廃的な大人の色香が漂う。ドアを開いてするりと運転席に、あるいは助手席に滑り込む時、おのずと膝を揃えてしまうような。
XJは言わずと知れたジャガー最上級セダンだが、さらにスポーツグレードとしてXJRが加わった。
ただでさえ言いようのない威圧感を放つXJに、背景を赤にした専用のジャガー・エンブレムをキラリと掲げ、走りを期待させる特別なエンブレム”R”を備えたXJRは、果たしてそれでもどことなくレディな雰囲気を纏ったままなのだった。
手ごたえのある重さのドアを開ければ、そこにも”R”の洗礼は存在する。
まず乗員の背中を受け止めるゴージャスなレザーシートに”R”の刻印が入り、ステアリングホイールの下部にも”R”のバッヂがあしらわれている。乗りこむたびに走りを期待させる演出を持ちつつもしかし、繰り返すようだがあくまでもそれ以外は、XJらしい優雅さを鱗粉のように煌びやかに振りまいているのだ。
運転席と助手席を、フロントウインドウから大きな弧を描いて包み込むような円形のモチーフはどこもかしこも触るところみな立派な厚みを持つレザーに覆われ、所々に木目の綺麗なウッドが輪郭を引き締めるかのように嵌め込まれる。ふと手を伸ばせばピラーの裏まで丹念にスエードで覆われ、さらにそれはサンバイザーにまで使用されているのだ。
信号待ちで、駐車してクルマから出る時、そして乗り込んだ後。意外にバッグの手鏡じゃなく、サンバイザーの裏に備えられているバニティミラーに頼る機会は多い。柔らかなスエードに触れるたび、仕草までエレガンスに染まりそうな気すらする。
あまりの素敵さにクラっときてシートに身体を預ければ天井は一面、それこそ車幅ギリギリいっぱいにまで贅沢に広がるガラスルーフなのだった。どこまでもロマンチック、どこまでも陶酔系なのである。
だが一度スタートスイッチに手をかければ、それがとんでもない仮面だったことに気付く。ゴウン、と乾いた、しかし野太いサウンドを響かせて目覚めるエンジンは5リッターV8スーパーチャージド。いや、エンジン自体が5リッターV8もあるんだからこのご時世、過給なんてしなくてもエエんやおまへんか、とつい肩のひとつでも叩いて窘めたくなるその最大出力はなんと550psを叩き出す。…