＜イラク＞ＩＳの遺跡破壊は「戦争犯罪」…ユネスコなど指弾

　

　【ワシントン和田浩明】イスラム過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）がイラク北部モスル郊外で約３０００年前のアッシリア時代のニムルド遺跡の破壊を始めたとイラク政府が発表したことに関し、文化遺産保護を推進する国連教育科学文化機関（ユネスコ）のボコバ事務局長は６日、「文化遺産の意図的破壊は戦争犯罪にあたる」と指弾した。
　
　　ボコバ氏は今回の事件について「イラクで起きている文化浄化」と述べ、強い危機感を表明。国連安全保障理事会と、戦争犯罪を審理する国際刑事裁判所（ＩＣＣ）の検察官に、注意喚起を行ったことを明らかにした。
　
　　米国のケリー国務長官も同日の声明で、イラク政府が世界遺産の登録申請をしたニムルド遺跡の破壊を「イラク、シリアの人々の遺産に対する攻撃」と批判。遺跡や文化、宗教施設などを保護し、重要な文化遺産を破壊した者の責任を問うよう、地元関係組織や国際社会に呼びかけた。
　
　　ＩＳはイスラム教の「偶像崇拝の禁止」を極端に解釈して遺跡や文化施設の破壊を続け、米当局などによると奪った遺物を密売しているとされる。ボコバ氏は密売が「テロリズムの財源になっている」として対抗措置を続ける意向を強調した。