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鳴り物入り「NISA」5割超が“休眠”の悲惨 もがく証券業界
「貯蓄から投資へ」の流れを推進するべく、昨年1月に鳴り物入りでスタートした少額投資非課税制度(NISA)が、2年目を迎えた。しかし、すでに開設されたNISA口座のうち、実際に投資した人の割合は半分以下にとどまる。「笛を吹かずとも踊らず」と、証券関係者は現状を打ち明ける。激しい口座獲得合戦を繰り広げてきた証券業界だが、口座の稼働が高められないと「貯蓄から投資」も絵に描いた餅になりかねない。2年目は正念場の年になりそうだ。
■口座の稼働はわずか45%
NISAは年間100万円までの投資なら、株式、投資信託のの売却益や配当が非課税になる制度。ただ、2年目の現在、口座の稼働率でみると決して芳しい状況とはいえない。
「当初の想定よりも相当低いと言わざるを得ない」。日本証券業協会の稲野和利会長は1月の定例会見で、現状のNISA口座の低稼働率を認めた。日証協によると、NISAで開設した口座のうち、実際に株式や投資信託などを買った割合は昨年末時点で45.1%。スタートから1年の節目で口座の稼働率は半分に届かず、過半数の約55%が休眠口座になった計算だ。
昨年末時点で、主要証券10社にある約406万のNISA口座のうち、利用されたのは約183万にとどまった。稲野会長は今後「60~70%の利用を目指し普及活動に取り組む」と強調している。
稼働率が低迷する要因の一つとして、NISAスタート時の口座開設事務手続きに時間がかかりすぎたことが挙げられる。各社は口座開設の事務作業が集中し、最長3カ月程度かかる場合もあったという。
さらに日経平均株価がNISAスタート時の1万6000円台から、1カ月足らずで一時1万4000円台に下落。出だしの株価下落は、せっかく口座を開いた投資家の心理を冷やした可能性がある。稲野会長は「申し込み時から投資するタイミングまで、環境も気持ちも変わることがある」と指摘する。
■「強い勧誘で口座開設しただけ…」
また、NISAスタート時に各社が激しい口座開設獲得を繰り広げたツケが回ってきたとの声もある。
「証券会社の営業マンに強く勧められたから」「テレビCMを見て、自分もやらないと損するような気がした」。
口座を開設した人からこんな声も漏れる。強い勧誘や付き合いで口座開設したケースも見受けられ、必ずしも投資に積極的な顧客ばかりではなかった。結果的に顧客対応がおろそかになり、これも休眠口座の増加につながっている面もあるようだ。
最大手の野村証券の口座数は昨年末時点で146万口座。持ち前の営業力で口座数を積み上げたが、稼働率はやはり40%台の低水準で推移しているとみられる。
こうした現状の中でNISA2年目の反転攻勢をかけるべく、各社が力を入れるのが新規顧客層となる女性や若年層の開拓だ。
野村証券は女性社員による「NISAチーム」を立ち上げ、全国でセミナーやイベントを通した活動に力を注いでおり、女性客を重点にNISA活用をアピールする。
また、SMBC日興証券は大学生と連携した取り組みを始めた。コピー用紙の裏面広告使ったビジネスを手がけるベンチャー、オーシャナイズ(東京都渋谷区)と共同で金融リテラシー向上のためのプロジェクト「UNISA(ユニーサ)」を発足。専用ウェブサイトを運営や、イベント開催を通じてNISAの認知度向上を図る。
一方、ネット証券は投資信託の販売にNISA口座の盛り上がりを託す。
実はネット証券に限ればNISA口座の稼働率が60%以上の証券会社もある。ただ、その多くは株取引。投信販売の認知度は低く、販売実績も多くなかった。
ネット証券は金融グループにあまり縛られず、多くの商品を取り扱える。豊富な商品ラインアップと手数料の安さを売りに販売を伸ばす戦略だ。SBI証券の高村正人社長は「選択肢が多く、顧客の志向に合わせて運用商品を選べる」とネット証券と投信販売の親和性を強調する。マネックスグループの松本大社長も「銀行で販売している投信よりも手数料が安い」とコスト面での優位性をアピールする。
■株式市場好転の追い風
年末からの株価は堅調に推移し、投資環境は好転。証券業界にはまたとない追い風が吹いている。28年には非課税枠が120万円増え、子供版のNISAも始まる。NISA2年目の今年は、業界として成果を問われる節目の年となりそうだ。