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ネット配信へ秒読み、NHK 悲願達成も視界不良
NHKが4月にも放送番組のインターネット配信を試験的に始める。総務省が2月16日付で実施基準を認可し、ゴーサインを出した。ただ先行きは明るくない。本格的な配信には民放への配慮や受信料制度を巡る議論が不可避だが、籾井勝人会長の様々な発言が問題視され、迷走が続く。米動画配信大手が日本上陸を表明するなか、NHKはどこへ行くのか――。
■脱・公共放送、公共メディアへ
NHK放送センター外観(2014年3月、東京都渋谷区)
「こんなことをやってる場合じゃないのに……」
NHKのある関係者はこう漏らした。「こんなこと」とは国会で繰り返された民主党議員と籾井会長の質疑応答だ。籾井会長の過去や直近の発言の真意をただし、適格性を追及する議員と、開き直りともとれる発言を交えながら弁明に追われる会長。本来、経営計画について説明し、予算案について審議すべき場で、経営計画とも予算とも関係ない話題で終始する。ネット配信や国際放送の拡充、受信料制度の見直しに向けた議論など、課題山積なのに……と関係者は天を仰いだ。
NHKは1月に発表した「NHKビジョン」でラジオやテレビの放送を手掛ける「公共放送」から、ネットを含めた「公共メディア」に進化すると宣言した。同時に発表した新しい3カ年の経営計画では、放送番組をネットでも同時に配信する「同時再送信」やネットを使った様々なサービスを拡充すると発表した。
また、ネットを含めたコンテンツ視聴状況を把握する「トータルリーチ」という計測手法を開発することも発表。各家庭のテレビを基に集計してきた従来の視聴率ではつかみきれない、ネット配信を前提とした体制の整備に本格的に乗りだした。
新しいネットサービスやネット配信を前提とした視聴状況の計測手法は、民放のネット戦略やネット配信時代の広告料算定のあり方にも影響を与える可能性がある。年間6600億円を超える巨額の収入があるNHKの動きが、民放の競争を阻害するのではないかとの懸念の声も強い。
一方、公共放送としての立ち位置との兼ね合いも議論を呼んでいる。NHKの収入は大半が視聴者が払う受信料だ。現在は受信料も視聴率と同様、テレビの設置の有無で支払いを求めているが、ネット配信が主流になるとテレビ受像機を買わなくても、スマートフォン(スマホ)やタブレット、パソコンでNHKの番組を視聴できる。
公共性の高いNHKは、民間の有料テレビのように個人認証して課金するような料金体系がなじまない。過去の番組のオンデマンド配信では有料配信もしているが、災害情報や国民的な関心事も放送するNHKがネット配信で常時、有料課金するのは難しい。