＜春闘＞電機大手、ベア３０００円軸に攻防

　

　２０１５年春闘で、電機大手の労使交渉は賃金水準を底上げするベースアップ（ベア）について、前年を大幅に上回る３０００円を軸にした攻防となっている。自動車大手の一部は４０００円以上を視野に回答水準の検討に入っており、１８日の集中回答日に向け、ギリギリの駆け引きが続きそうだ。電機、自動車の労使交渉は春闘の相場形成に影響力があり、他産業や中小企業にも賃上げの波が広がる可能性がある。
　
　　電機大手の労組はベア６０００円を要求。これまでの交渉で、経済の好循環実現に向け賃上げが必要との認識では一致している。大手電機幹部は「賃上げを求める社会的期待は理解している」と前向きで、前年実績（２０００円）を大幅に上回る３０００円程度を容認する考えを示唆した。
　
　　新興国向けのインフラ需要を取り込んで業績を伸ばす日立製作所、東芝、三菱電機は１５年３月期、過去最高の営業利益を上げる見通しで、労組側も強気の姿勢で交渉に臨んでいる。ただＮＥＣや富士通は「なお回復途上」との認識が強い。電機大手労組は同一回答を求めているが、経営側でも水準をめぐり意見が分かれそうだ。前年は４０００円要求のちょうど半額で妥結しており「今年も半額でという単純な図式にはしたくない」（大手幹部）との声も出ている。現実的には２５００円〜３５００円程度で交渉が進みそうだ。
　
　　自動車大手もベア６０００円を要求。経営側は「そのまま応えるのは到底不可能」（トヨタ自動車の上田達郎常務役員）と満額回答には否定的だが、円安効果で電機以上に業績好調な自動車に対しては、政府からの賃上げ期待も大きい。ある大手幹部は「４０００円以上で交渉が進む」との認識を示した。ただ「部品メーカーや販売会社を考慮せず、突出した回答を出すつもりはない」（大手首脳）との考えも経営側には根強く、交渉最終盤までもつれる可能性もある。【大久保渉、山口知、種市房子】