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放医研、マウス凍結受精卵をISSへ打ち上げ
放射線医学総合研究所(放医研)は4月8日、マウスの凍結受精卵を米SpaceXのドラゴン補給船に載せて、4月13日に宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げると発表した。
同実験は、宇宙放射線被ばくによる発がんと次世代への影響を調査する目的で行われるもので、ISSの日本実験棟「きぼう」でマウスの凍結受精卵を約6カ月間保管する。地上に戻した後、融解した受精卵を仮親に移植して個体を発生させ、寿命や発がん、遺伝子変異を調査する。
打ち上げられる受精卵は、遺伝的に放射線感受性の高いマウス、がんになりやすいマウス、遺伝子突然変異解析用マウス、遺伝子の変異を持たない普通のマウスなどさまざまな系統のマウスのものを用いる。放射線感受性の高いマウスやDNA修復欠損マウスの受精卵を発生させた宇宙マウスでは、地上マウスに比べて個体発生率の低下、寿命短縮、発がん率の増加及び宇宙放射線特有の遺伝子変異などが観察される可能性があるという。
放医研は、長期宇宙滞在による宇宙放射線の哺乳動物への影響に関する知見を活用し、将来の有人宇宙探査における放射線防護のための基礎データを提供し、リスク評価や防護基準の策定に貢献していくとしている。
保管実験の流れ
保管実験後の実験のイメージ
ACCESS、IoTの開発・運用をパッケージ化した「ACCESS Connect」
ACCESSは4月8日、IoT(Internet of Things)機器およびサービスの開発・運用を効率化するソリューション「ACCESS Connect」とプロファイルの提供を開始すると発表した。
ACCESS Connectの特徴は、デバイス用のSDKとクラウド用のBaaS(Backend as a Service)をパッケージ化。これだけで、IoTサービスの開発・運用に必要な技術的な要素が揃うという。
「ACCESS Connect」構成図
SDKは、同社の高度な組込技術を集約し、多彩なサービスの開発に対応する。iBeacon、ECHONET Liteなど用途別に求められる業界規格に準拠しているという。
一方のBaaSは、クラウド上でのユーザー管理機能やファイル管理機能などを搭載する。データをクラウド上で管理することで、Eメールなどの情報配信、コンテンツのプッシュ配信などの情報配信などの活用が可能となる。さらに、DMP(Data Management Platform)といったビッグデータ解析機能も搭載させる予定だ。
プロファイルは用途ごとに用意する。プロファイル同士は互換性があり、単独での利用のほかに、複数を同時に利用することも可能だという。提供を開始したのは「O2O Profile」「M2H Profile」「UI Profile」「xEMS Profile」の4種類。
O2O Profileは、モバイルデバイスの位置情報を収集し、集客・送客、ターゲットマーケティングなどに活用するプロファイル。同社の「ACCESS Beacon Framework」のiBeacon技術に準拠しており、今後はデジタルサイネージ連携などに応用させる予定としている。
続くM2H Profileは、機器(Machine)と人(Human)との接続を提唱するM2H用のプロファイル。「Linkit」のチャット技術をベースにすることで、機器と人の双方向リアルタイムコミュニケーションが可能となるという。
UI Profileは、LinuxなどのOSを搭載できないデバイスをインターネット接続し、スマートフォンライクなタッチパネル機能を実装可能とするプロファイル。M2H機器に理想的なUI(User Interface)エンジンで、「paneE(パネイー)」の技術を採用している。
最後のxEMS Profileは、住宅、マンション、ビルなどの消費電力を可視化、遠隔制御、連携動作、効率的な電力使用のレコメンドといったサービスを実現するプロファイル。ECHONET Lite規格準拠のミドルウェア「NetFront HEMS Connect SDK」の技術を採用する。
HEMS(Home Energy Management System)やMEMS(Mansion Energy Management System」向けサービスの開発に最適化されているが、BEMS(Building Energy Management System)」といったビルでの応用へと拡大させる予定だという。
「O2O Profile」と「M2H Profile」の同時利用での活用例
「xEMS Profile」と「M2H Profile」の同時利用での活用例
さらに、センサー技術を活用してリアルタイムに、人・モノの位置情報や移動履歴を提供する「Location Profile」、資材・機材などモノの位置情報や移動履歴を管理する「InventoryProfile」 といったプロファイルを夏に提供するとしている。
理研、新スパコンシステム「HOKUSAI GreatWave」を稼働
理化学研究所(理研) 情報基盤センターは、2015年4月1日より新スーパーコンピュータ(スパコン)システム「HOKUSAI GreatWave(HOKUSAI-GW)」の稼働を開始したと発表した。
同スパコンシステムの超並列計算システムの理論演算性能は1PFlopsで、理研の幅広い研究分野、物理学、化学、工学、生物学、医科学での利用ニーズを考慮して設計されたという。具体的には機能の異なる3つの以下の演算システムをInfiniband FDRで接続して1つの計算システムのように利用できる環境を構築。これによりシミュレーションから実験パラメータへのフィードバックや、実験データのシミュレーション利用などデータ連係を容易に行うことができ、実験とシミュレーションのスムーズな連携を可能にしたとする。
外部記憶装置であるストレージ・システム(オンライン・ストレージ・システム、階層型ストレージ管理システム)超並列演算システムアプリケーション演算システム(GPU搭載、大容量メモリ搭載)
ちなみにHOKUSAIは、浮世絵師である葛飾北斎の名にちなんで付けられたとのことで、浮世絵の題材の持つ多様性と浮世絵制作のさまざまな技法が相まって高まる芸術性への情熱を、理研の多様な研究分野と研究者の研究開発に対する情熱に見立てたという。なお、理研では、2016年頃に「HOKUSAI BigWaterfall(HOKUSAI-BW)」を導入する予定としており、2システムを統合した利用環境やストレージ領域により、「HOKUSAIシステム」として一体となった運用を行い、研究者に必要不可欠な研究環境をリプレースの影響を感じさせることなくシステムを増強し、最新の計算機技術から遅れることなく利用者に提供していく計画としている。
HOKUSAI-GWシステムの全景
HOKUSAI-GWシステムの概要
DNP、医療用輸液バッグの外装材向け高耐久性透明バリアフィルムを開発
大日本印刷(DNP)は4月7日、独自の化学蒸着技術(CVD)を用いて製造したバリアフィルム「DNP透明蒸着フィルム(IBフィルム)」を用いて輸液バッグを入れる外装材を開発したことを発表した。
医薬品業界では、廃棄物削減や医療事故防止を目的として、輸液の容器を従来のビンやプラスチック容器から、薬品名や内容物などが印刷されたプラスチックフィルムを使用した輸液バッグへと切り替えを進めているが、輸液バッグを入れる外装材は、内容物である水分・電解質や栄養素などが、水蒸気や酸素などにより劣化するため、これまでプラスチックフィルムにバリア性の高いアルミを貼り合わせたものを使用していた。しかし近年は、内容物が確認できるように透明のフィルムを使用したいとの要望が増えてきており、高い耐久性を持つ透明バリアフィルムが求められていた。
同製品は、そうしたニーズを受け開発されたもので、折り曲げなどに対する耐久性に優れ、バリア性の劣化が少ないほか、水蒸気や酸素に対して高いバリア性を有しているため内容物の劣化を防ぐことが可能。また、透明性が高く、内容物を目視で確認できるほか、アルミ蒸着による従来の透明バリアフィルム比で約20%の耐久性向上を果たしたとする。
なお同社では、同製品を国内外の輸液バッグを製造している医療・医薬品メーカー向けに販売し、2018年までに10億円の売り上げを目指すとしている。
従来品(赤線)と今回の開発品(青線)の屈曲信頼性の比較
理研と東大、メタボ/糖尿病治療のカギとなる受容体の立体構造を解明
理化学研究所(理研)と東京大学は4月9日、メタボリックシンドロームに関連する分子として注目されているアディポネクチン受容体の立体構造を解明したと発表した。
同成果は理研横山構造生物学研究室の横山茂之 上席研究員と、東京大学大学院医学系研究科の門脇孝 教授、山内敏正 准教授らの共同研究グループによるもので、4月8日(現地時間)付の英科学誌「Nature」オンライン版に掲載される。
アディポネクチン受容体は、細胞膜に存在する膜タンパク質で、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというホルモンによって活性化し、細胞において糖と脂質の代謝を促進し、抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を発揮する。
タンパク質の立体構造を知ることは、創薬において有用とされる。特に、膜タンパク質は細胞外からの情報を細胞内へと伝達する役目を担っているため、薬の標的分子として注目されている。しかし、アディポネクチンは試料調整が難しく、その立体構造情報を得ることができていなかった。
同研究では、高純度の膜タンパク質を大量に製造する手法や、結晶化手法などを使い、アディポネクチン受容体の結晶化に成功。この結晶を大型放射光施設「SPring-8」を用いてX線解析することでその立体構造を調べたところ、同受容体は現在までに知られている膜タンパク質とは異なり、膜貫通部位に亜鉛イオンを結合するなど新規の構造をしていることが判明した。
今回の研究成果はアディポネクチン受容体の情報伝達メカニズムの解明につながるだけでなく、メタボリックシンドローム・糖尿病の予防薬や治療薬の開発に有益な情報となることが期待される。
アディポネクチン受容体の立体構造。X線結晶構造解析で決定したAdipoR1(左)およびAdipoR2(右)の立体構造。亜鉛イオン(シアン色の球)が7本の螺旋構造に囲まれている。