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村田製作所、小型電気二重層エネルギーデバイスの量産を開始
村田製作所は、mΩレベルの低抵抗を小型かつスリムパッケージで実現した電気二重層エネルギーデバイスの量産を開始したことを発表した。
同製品は2008年に事業提携した豪州CAP-XXの技術を導入したもの。電極構造などの電気化学システムを最適化することで、幅広い温度領域で高出力から低出力までフレキシブルな充放電が可能なほか、短時間のピーク出力を補助することで、バッテリーの負荷軽減やバッテリーでは出力が困難な高出力の機能の駆動が可能となるという。
mΩレベルの低ESR(等価直列抵抗)により、大電流や高出力の充放電が可能で、ピーク電圧は2.7V/セル、-30℃~+70℃の使用温度範囲で安定した出力特性を維持している。
開発された電気二重層エネルギーデバイスの特性
想定適用アプリケーションはデジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話用のLEDフラッシュ用補助電源 のほか、ピーク出力補助によるバッテリーの負荷変動軽減、GSMやオーディオ出力のバッテリーの負荷変動の抑制、小型モーターの駆動時のピーク出力補助、SSDなどのバックアップ、USBバスパワーのピーク出力アシスト などとしている。
村田製作所が開発した電気二重層エネルギーデバイスの外観
すでに瞬時最大許容電圧2.7V品および5.5V品の2製品が月産数十万個規模で量産を開始しており、2012年までに月産100万個体制が確立される予定。サンプル価格は2.7V品が300円、5.5V品が500円となっている。
ESRの温度特性
放電特性
IMSと総研大、有機薄膜太陽電池のエネルギー構造を制御することに成功
自然科学研究機構 分子科学研究所(IMS)の平本昌宏教授と総合研究大学院大学(総研大)物理科学研究科博士課程学生の石山仁大氏らの研究グループは、ドーピング技術により、有機薄膜太陽電池の共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御することに成功した。
Si結晶系の太陽電池は、n型およびp型の半導体に関する基礎科学が確立されているため、エネルギーバンド構造を理論的に導くことが可能で、それに基づいて電池の設計と性能予測が可能だ。しかし、有機太陽電池では、そうした基礎科学的な研究が十分行われておらず、その結果、電池の性能を設計、予測して製造するためには、有機太陽電池の電圧の起源(内蔵電源)を生み出す有機半導体の基礎的な研究が必要とされていた。
平本教授は、2011年3月に、代表的なn型有機半導体であるフラーレン(C60)にモリブデン酸化物(MoO3)を共蒸着によりドープし、p型になることを示しており、これにより、有機太陽電池も無機系太陽電池のように、設計した性能のものを制御可能な方法で製造することができることが示された。
単独C60では光電流の大きさが小さく、実用レベルの光エネルギーの変換効率の向上を目指すためには、現在主流で実用的光電流量を発生できる、アクセプター性のC60とドナー性の有機半導体(例えば、今回のアルファセキシチオフェン)の共蒸着膜に対して直接高精度のドーピングによるpn制御を確立する必要があった。しかし、三元蒸着やppmドーピングという、有機半導体に対してこれまでに例のない高度な技術を開発する必要があり、これまで誰も成功していなかった。
今回、研究グループは、n型の有機半導体であるフラーレン分子(C60)と、流れる光電流を増加させることが知られているアルファセキチオフェン(α-6T、または6T)の共蒸着膜に対して、ドーパントとしてモリブデン酸化物(MoO3)を同時に蒸着する三元蒸着により、ドープされた共蒸着薄膜を作製した。
三元蒸着によるモリブデン酸化物(MoO3)のドーピング
今回、MoO3の蒸着速度を精密に制御、つまりゆっくりとした速度で蒸着する手法を確立したで、蒸着膜の膜厚が正確に制御できるようになり、ドーピング濃度をppmレベルで自在に操ることができるようになり、MoO3が20ppmでもドーピングを精密に行うことに成功した。
ドーピングのメカニズムのモデル図。C60と6Tは両方ともp型として働く
この手法により、MoO3ドープ濃度が、0ppm、400ppm、600ppm、1100ppm、4300ppmの薄膜を作製し、光を照射したときに生じる電流を測定したところ、ドープ濃度が0ppmと400ppmのときはn型、600ppmのときは絶縁体類似型、1100ppmと4300ppmのときはp型の構造となることが判明した。
さまざまなMoO3ドープ濃度での蒸着薄膜を作製
この結果は、ドーピング技術により、共蒸着膜の特性を、n型、絶縁体型、p型と自在に制御できることを世界で初めて示したものであるという。
さまざまなMoO3ドープ濃度での蒸着薄膜の特性。0ppmと400ppmのときはn型、600ppmのときは絶縁体類似型、1100ppmと4300ppmのときはp型
また、p型層にMoO3ドープ濃度が3000ppmの共蒸着膜を用い、疑似n型層としてドープしないものを用いて、疑似pn電池も作製したという。
疑似pn電池の構造と電池の性能
n型、p型、絶縁体型は、太陽電池の設計の基本的パーツであり、今回の成果は、有機太陽電池も無機系太陽電池のpn接合、pin接合、タンデム接合などのように、設計した性能予測可能な太陽電池を制御可能な方法で製造することができるという基盤技術の1つが確立されたことを意味する。また、今回確立された手法は、今回の実験で使用した物質以外にも普遍的に適用ができるため、6Tに代わる、より効果的な物質を探索し、その物質に適用することでさらに変換効率の向上が期待できると研究グループでは説明している。
NXP、オールインワンPCおよび標準PC向けeDP-LVDSブリッジICを発表
オールインワンPCや標準PCプラットフォーム向け組み込みDisplayPort(eDP)-LVDSのブリッジIC「PTN3460」
NXP Semiconductorsは、9月13日~15日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたIntel Developer Forum(IDF)において、オールインワンPCや標準PCプラットフォームに最適な組み込みDisplayPort(eDP)-LVDSのブリッジIC「PTN3460」を出品したことを発表した。
同製品はeDPソースとLVDSディスプレイパネル間のプロトコル変換ブリッジを提供するもので、組み込みマイクロコントローラとオンチップフラッシュメモリを搭載しているため、ファームウェアの更新を簡単に行うことが可能だ。
また、先進機能としてオンチップEDID ROMエミュレーション機能を搭載。最大1KBまで個別のEDID ROMの代用が可能であり、これにより、システムインテグレータは組み込みEDID ROMを搭載していないパネルの使用が可能になるほか、AUXチャネルやI2Cバス、ハードウェアピンでDisplay Port(DP)をサポートすることで、柔軟なディスプレイ設定が可能となる。
さらに、追加コンポーネント不要で輝度調節を実行できるため、全体の部品数の削減も可能となっている。
eDPからLVDSへの変換ではDP v1.1a/1.2およびeDP v1.1/1.2規格に準拠し、最大2レーン動作で1.6 /2.7Gbpsのリンク速度をサポートするほか、最大112MHzのピクセルクロック周波数、色深度18/24bppのシングルまたはデュアルLVDSバス動作をサポートしており、3.3Vおよび1.8V電源での動作が可能となっている。
なお、同製品はすでに量産出荷を開始しており、価格はパッケージや数量で異なるものの、1万個未満では2.30ドルからとしている。
慶応大、新生児の脳でも日本語の抑揚の変化に反応することを確認
慶應義塾大学(慶応大)の研究チームは、新生児の言語脳機能について、新生児の抑揚、音韻に特化した脳機能とその側性化を明らかにしたことを発表した。
同成果は、同大大学院社会学研究科・人文グローバルCOEの皆川(河合)泰代特任准教授、渡辺茂教授、慶應義塾大学医学部小児科学教室の有光威志助教、池田一成専任講師、高橋孝雄教授によるもので、「Frontiers in Psychology」(電子版)に掲載された。
実験方法は、慶應義塾大学病院で生まれた新生児17名(正期産児、平均5日齢)の日本語の抑揚の変化と音韻の変化(ここでは母音変化)に対する前頭部、側頭部の脳反応を近赤外分光法(光トポグラフィ、NIRS)にて計測するというもの。
具体的には基本の音声刺激として「/itta/(行った)」を繰り返し呈示し、聞き慣れたところで、最終母音の異なる音韻変化条件「/itte/(行って)」、もしくは語末の音調が異なる抑揚変化条件「/itta?/(行った?)」を呈示。一般の成人では、聴覚野近傍および言語野を中心にこの音の変化を検出する脳反応が得られるが、新生児でも音変化検出の脳反応が得られたことが確認され、新生児は抑揚変化に対して聴覚野近傍で右半球優位な脳反応を示した。
また、音韻条件の母音変化に対しては聴覚野近傍の反応の左右差は見られなかったが、言語野の一部である縁上回で左優位な強い反応が見られたという。
一般的に右利きの成人では、音楽や言語の抑揚、アクセントなどメロディを右半球の聴覚野優位に処理し、母音や子音の音韻の違いを左聴覚野優位に処理する。これは左右半球の「機能側性化」と呼ばれ、これまでに1歳までにこの左右半球の機能が側性化することが報告されていたが、7カ月以下の乳児については何も検討されていなかった。
今回の研究の結果、初めて新生児でも抑揚処理機能がすでに右聴覚野近傍に側性化しており、抑揚処理に特化した脳内回路が右聴覚野を中心に構築されていることが示唆されたこととなり、これは胎内でも、ある程度音調変化は聞えることにも関係しているかもしれないと研究チームでは説明している。
新生児の抑揚変化、音韻変化刺激に対する脳反応(赤~黄~白の順で血液量が多く、脳反応が大きい状態を示す。灰色は有意な活動がないチャンネル)破線は聴覚野近傍領域、白実線で囲んだ部位が縁上回
一方、母音の変化に対しては未だ左聴覚野への側性化が完全ではなく、今後の言語体験により母国語の音韻特性に特化した脳内回路が1歳までに左半球を中心として構築されることが考えられるという。
これらの成果は、これまで成人のfMRI(機能的磁気共鳴画像)を用いた研究で言語野の縁上回と呼ばれる部位が言語の音韻記憶に関与していることが示されてきたが、実験で音韻条件でのみこの部位が強い反応を示したことは、新生児でも音韻の記憶に関連する機能をこの部位が担っていることを意味しており、これは、新生児における言語聴覚処理の脳機能がこれまで考えられてきたよりも比較的成熟していることを示すものとなる。そのため、研究チームでは、この成果は言語機能の神経学的基盤とその発達過程を明らかにすることにつながると説明している。
NAIST、駆動電流0.85mAで動作可能な全光型メモリを開発
奈良先端科学技術大学院大学(NAIST) 超高速フォトニクス研究室の河口仁司教授と片山健夫助教らの研究グループは、光信号を電気信号に変換しないで、すべて光信号で情報処理を行う「全光型」の実現の鍵を握る、光信号をそのまま記憶する半導体レーザー(スイッチング・メモリ素子)の動作電流を従来の1/4になる1mA以下に抑えることに成功したことを明らかにした。2011年9月13日より開催されている「2011年電子情報通信学会ソサイエティ大会」で発表された。
インターネットのトラフィック量は、ユーザー数の増加と回線の高速化により年々増加しており、通信経路の切り替えを担うルータ(交換機)の高速化も求められるようになってきている。現在のルータでは光ファイバを通して伝送されてきた光信号を一度電気信号に換え、電子的に処理した後、再び光信号に換え、光ファイバに送り出しているが、ここままこの技術を延長したとしても信号処理速度が近い将来限界に達すると言われている。また、通信のために消費される電力も、通信量に比例して増加しており、2030年頃には現在の日本の総発電量に相当する電力が通信のためのみに必要となると言われている。
そのため、次世代の光通信システムに必要な毎秒ペタビット(Pbps)クラスの処理速度を持つ光ルータでは、電気的な処理を行わない全光型の信号処理が必須と言われており、その実現のためのデバイス・システム開発が各所で進められている。しかし、光信号を処理する全光型デバイスは駆動電流が、数mAから数十mA程度と従来の電子デバイスと比較して大きいという問題があった。
研究グループは、同システムのキーデバイスとなる光メモリの実現を目指し、面発光半導体レーザー(VCSEL:Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)から出力される光の偏光(光の振動の向き)を切り替えることで実現する偏光双安定スイッチングと呼ばれる独自手法の研究を進めてきた。
VCSELの全光型偏光双安定動作
同技術は1つの半導体レーザーで、受信、メモリ、送信の3つの機能を有しており、高速・低エネルギーで動作し、集積化が可能という特徴を有している。2007年には1ビットの光メモリ動作を発表しており、2009年にはその光メモリを直列と並列に接続することで拡張可能な方式を提案し、4ビットメモリを実現したことを発表していた。
今回の研究では、VCSELの低消費電力化に有効な手段として電気の通り道を狭めて、効率を上げるために酸化電流狭窄構造を、この全光型スイッチング・メモリ素子へ導入し、低駆動電流化と偏光双安定性の実現を両立させることに成功した。
VCSELは種類の異なる半導体薄膜を積層し、活性層(電子を光に変換し、増幅する領域)や発生した光を共振させる反射鏡により形成されている。活性層の近くに、酸化狭窄層という酸化されやすい半導体の層を配置し、高温で水蒸気をあてることで周辺部より酸化が進む。酸化された領域は電気抵抗が高くなり、酸化されていない中心部に電流が集中して流れるようになり、少ない電流でも効率的にレーザー発振が起こるようになったという。
酸化狭窄偏光双安定VCSELと赤外線カメラによる酸化電流狭窄構造の透過像(3μm角の黒い部分を除き50μm角の白い部分が酸化により抵抗が高くなっている。電流は3μm角の中心部分にのみ流、電子を光に変換する活性層の一部に集中し、少ない電流でも効率的にレーザー発振するようになる)
この構造を0.98μm帯の波長の光を出力するVCSELへ導入したところ、0.85mAの駆動電流(消費電力1.7mW)で、光パルス入力により発振偏光を切り替える全光フリップ・フロップ動作を実現。この結果は、これまで世界最少であったベルギーのゲント大学によるリングレーザーを用いた全光型フリップ・フロップの駆動電流の3.5mA(消費電力5.3mW)を下回るものとなった。
VCSELの全光型フリップ・フロップ動作(0°偏光の光パルスを入力すると発振偏光が0°となり、次に90°偏光の光パルスを入力すると0°発振が止まり90°偏光の発振となっている。光パルスの入力が無い間は、偏光の状態が保持されている)
今回、実現されたシフトレジスタ機能を有する全光型バッファメモリは、VCSELとマイクロレンズやマイクロミラーなどの光学素子を組み合わせた3次元集積化が可能であり、単一の全光型機能素子が、低消費電流で実現できるようになることから、研究グループでは、将来的には高速光ルータが実現できる可能性が高まったとしている。