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京大、シロアリを用いて昆虫が有性生殖と単為生殖を切り替える仕組みを発見
京都大学は11月18日、昆虫が有性生殖から単為生殖に繁殖様式を切り替える仕組みを発見したと発表した。
同成果は同大学農学研究科の松浦健二教授と同 矢代敏久 特定研究員によるもので、米国科学誌「Proceeding of the National Academy of Sciences USA (PNAS)」のオンライン速報版に掲載される予定。
多くの動物は卵と精子を授精させて次世代を作り出す有性生殖によって繁殖している。しかし、有性生殖はオスを作らなければならないため、メスだけで繁殖する単為生殖より効率が悪い。自分の遺伝子を残すという観点からも、オスの遺伝子を必要としない分、単為生殖のほうが有効といえる。
今回の研究では、女王が有性生殖と単為生殖の両方を使い分けているヤマトシロアリに注目した。昆虫の卵の表面には、卵門と呼ばれる精子を通すための孔が開いていおり、ヤマトシロアリの卵には平均9個の卵門があるとされる。
ところが、松浦教授ら計6000個の卵を調べたところ、卵門の数にばらつきがあり、一部の卵には卵門が全くないことが判明。卵の中で発育中の胚を解析した結果、卵門の無い卵は単為生殖、卵門がある卵は有性生殖で発生していることがわかった。さらに、女王が若いうちは卵門の多い卵を産み、老化と共に卵門の無い卵を産むようになることがわかったという。
ヤマトシロアリの卵門(上図)。多くの卵の卵門を色素で染めて調べると、一部の卵には卵門がないことが判明した(左下図)。右から卵門数9、4、2、0。
女王の老化と卵門数の比較
つまり、シロアリの女王は、通常は有性生殖によって働きアリや羽アリを生産しているが、老化して死ぬ前に卵門の無い卵を生むようになり、自分の後継女王を単為生殖で生産していることが判明した。
今後、卵門の開閉というメスの形質に着目した研究がさまざまな種で行われることにより、昆虫における性の異議と単為生殖の進化の理解が深まることが期待される。
BT、5千万人のデータを活用した製薬業界向けクラウドサービスを発表
BTジャパン代表取締役社長の吉田晴乃氏
BTジャパンは11月18日、製薬やバイオテクノロジーなどライフサイエンス企業の研究開発向けクラウドサービス「BT for Life Sciences R&D」を日本市場に向けて提供すると発表した。
BTグループは英国の国営医療サービス・NHSと共同で、5千万人分の医療情報をビッグデータ化する事業を展開しており、今回の新サービスはその経験が母体となる。具体的には、日本の製薬会社などが、英国で集約された医療データを研究開発に活用できるようにする。
BTジャパン代表取締役社長の吉田晴乃氏によると国内においては「患者データはたくさんあるが、病院がそれぞれでカルテを持っていたり、システムが異なるため、データを集約できていない」などの課題があり、「BT for Life Sciences R&D」は英国で長年実績のある同グループならではの取り組みと言える。
同サービスはライフサイエンス業界で求められるセキュリティや法規制、コンプライアンスに適応可能なプラットフォームであるため、クラウド上で運用するアプリケーションも企業の意向を反映して導入することができる。また、日本においては、個人情報保護の規制を考慮して、同サービスは国内のデータセンターでホスティングされるとのこと。
研究者はBTプラットフォームポータルを通じてシミュレーションを実施することで研究時間を短縮できるほか、コストを低減することができる。
ソーシャルメディアツールをはじめチャット、テレビ会議など、離れた場所にいる研究者との協業もスムーズに行うことができる。
「BT for Life Sciences R&D」は2015年1月の販売開始を見込んでおり、利用形態としては四半期ごとに契約を更新する方式で、利用頻度や目的に応じたパッケージプランが用意される予定。
Intel、第3世代のXeon PhiとXeon Phi向けインタコネクト技術を発表
Intelは11月17日(米国時間)、Intel Xeon Phiプロセッサを搭載した次世代HPCシステムの構築に向けたビルディングブロックを公開した。
今回発表されたのはすでに発表済みの次世代Xeon Phi「Knights Landing(開発コード名)」の次の世代となる10nmプロセスを採用した第3世代Xeon Phi「Knights Hill(開発コード名)」および、Knights Landing以降で用いられる次世代インタコネクトテクノロジー「Intel Omni-Pathファブリック」だ。
Kights Landingは2015年下期に一般出荷が予定されているが、すでに50社以上が搭載製品の提供を予定しているという。また、すでに先行して米国のロスアラモス国立研究所とサンディア国立研究所が共同開発するスーパーコンピュータ「Trinity」や、米国エネルギー省の国立エネルギー研究科学コンピューティングセンター(NERSC)のスーパーコンピュータ「Cori」などが採用しているという。
Knights LandingとKnights Hillの概要。Kights Hillについては10nmプロセスを用いること、第2世代のOmni-Pathアーキテクチャが用いられることのみが明らかにされた
また、Omni-Pathアーキテクチャは、100Gbpsの接続速度を実現可能で、InfiniBandを利用した場合と比較して中規模から大規模のクラスタでスイッチ・ファブリックの遅延を最大56%低減することを可能とする。また、スイッチ・チップを48ポート搭載しているため、現行の36ポートのInfiniBandと比較して、ポート密度とシステムの拡張性が向上するほか、必要なスイッチの数が減るため、設計の簡素化とインフラにかかるコスト削減が可能になるという。
Omni-Pathアーキテクチャの概要
さらに同社は、Omni-Pathアーキテクチャベースのソリューションの拡大に向けたエコシステムの形成へ向け、「Intel Fabric Builders Program」を開始したことも発表しているほか、機能を強化した「Intel Enterprise Edition for Lustreソフトウェア」の最新バージョン(v2.2)と「Intel Foundation Edition for Lustreソフトウェア」も併せて発表している。
「Intel Fabric Builders Program」の開始により、サードパーティがOmni-Pathに対応したソリューションを提供することが可能になった
田中貴金属工業、3Dプリンタ向け白金基金属ガラス粉末を開発し造形に成功
TANAKAホールディングスは11月18日、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、粉末焼結式積層法による3Dプリンタに対応する白金基金属ガラスの粉末を開発し、造形に成功したと発表した。また、白金およびイリジウム添加ニッケル基合金の白金族金属粉末材料も開発し、造形物の作製に成功した。
田中貴金属工業は、2004年に白金基金属ガラスの組成で特許を取得しているが、今回、独自の加工設備を用いて粒径や流動性などを調整することで、既存の粉末焼結式積層法に用いられる3Dプリンタ装置で使用可能な白金基金属ガラスの粉体化に成功した。加えて、白金とイリジウム添加ニッケル基合金の2種の粉末材料も併せて開発した。また、大阪府立産業技術総合研究所と共同研究を行い、粉末の材質と、形状に適したレーザエネルギーの照射条件を解明することにより、白金、白金基金属ガラス、イリジウム添加ニッケル基合金の造形物の作製に成功した。3Dプリンタを用いた白金基金属ガラスの造形は世界初になるという。これにより、田中貴金属工業では、白金族金属粉末材料の提供に加え、ユーザーの要望に合わせた白金族金属粉末の粒径サイズ加工、白金族合金製造における組成の提案、および造形物の製造を実施するとしている。
これまで、白金族金属は高融点で耐久性があるが、特に合金は切削加工や塑性加工などの加工性が低いものも多く、既存の造形法では形状に限りがあった。これらの材料を3Dプリンタでの造形を可能にすることで、複雑形状の造形や、溶融温度が異なる異種材料を複合した製品の作製が可能になる。今回の開発により、耐食性が要求される医療材料の多品種少量製造や、耐熱性が要求される自動車産業および航空宇宙産業分野における、特殊部品の工業用製品の展開が期待されるという。田中貴金属工業は、3Dプリンタ用白金族金属粉末材料の提供で、2020年度までに年間売上4億円を目指すとしている。
白金基金属ガラス造形物、1ブロック8×8×5mm
白金基金属ガラス粉末材料
マントルの底のマグマは『暗かった』
地球科学に新しい成果がもたらされた。地球内部のマグマは深くなればなるほどその色が「暗く」なり、従来予想されていたよりもずっと熱を伝えにくくなることを、東北大学大学院理学研究科の村上元彦(むらかみ もとひこ)准教授らが初めて超高圧の再現実験で明らかにした。深さ約2900kmのマントルの底に存在する重いマグマが、持つ巨大な高温マントル上昇流(スーパーホットプルーム)の発生に重要な役割を果たしていることを示した。
図1. マントルの底から発生する巨大高温マントル上昇流(スーパーホットプルーム)の模式図(提供:東北大学)
地球内部の核からマントルへの熱輸送の特性に手がかりを与え、46億年の地球史に迫る発見といえる。米カーネギー研究所のアレキサンダー・ゴンチャロフ主任研究員、高輝度光科学研究センターの平尾直久(ひらお なおひさ)研究員、日本原子力研究開発機構の増田亮(ますだ りょう)博士研究員(現、京都大学原子炉実験所)、三井隆也(みつい たかや)主任研究員、米ネバダ大学のシルビアモニク・トーマス博士研究員、米ノースウェスタン大学のクレイグ・ビーナ教授との共同研究で、11月11日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。
図2. ダイヤモンドアンビルセル中の高圧力下の極微小試料(提供:東北大学)
図3. スーパーホットプルーム発生の鍵を握るマントル底部の「暗い」マグマ(提供:東北大学)
半径約6400kmの地球の内部は、厚さ5~70kmの地殻の下に深さ約2900kmまでマントルがあり、さらにその内側が液体の外核、固体の内核で構成される。高温高圧の核の熱が地表に輸送され、地震や火山、地殻変動が起きている。地震波の観測で地球内部の研究が1980年代から進み、南太平洋とアフリカ大陸の下には、マントルの底に地震波超低速域が存在し、キノコ状にわき上がる巨大な上昇流「スーパーホットプルーム」があることがわかってきた。しかし、この地球内部からの熱の輸送を担うマントル対流の発生原因は謎だった。
研究グループは、マントル底部に存在するとされる重いマグマと同じ成分(ケイ素、マグネシウム、鉄などの酸化物)を持つガラス物質をマグマの模擬試料として、「ダイヤモンドアンビルセル」という超高圧力発生装置に入れて再現実験をした。マントル深部に相当する80万気圧まで圧力を上げていくと、試料の色が著しく「暗く」なった。さらに、大型放射光施設Spring-8(兵庫県佐用町)で分析して、試料中に含まれる鉄の電子状態が圧力の増加に伴って変化することが「暗く」なっていく原因であることを突き止めた。
物質の色が暗くなるほど、熱は伝わりにくい。実験結果から、マントル底部の重いマグマの放射熱伝導率は、周囲を取り囲むマントルの鉱物より5~25倍も小さいことを確かめた。周囲より熱を伝えにくい重くて「暗い」マグマは核からの熱の輸送を妨げる。研究グループは「その存在がごくわずかでも、核とマントルの境界の熱流量を不均質にして、大きな熱流量の違いになり、マントル底部に根っこを持つスーパーホットプルームが生み出される」と解釈した。
村上元彦准教授は「実験で再現した重いマグマは、原始地球を覆っていたマグマの海の名残が、高温のマントルの底に現在に至るまで固化せずにわずかに残っているとも考えられる。実験結果は、マントル底部での地震波観測異常とスーパーホットプルームの発生という地球科学のふたつの大きな謎に、整合的な説明を与えるもので、46億年の地球史に光を当てる新しい手がかりになる」と話している。