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東芝、画素サイズ1.12μmのBSI型CMOSイメージセンサを開発
東芝が開発した画素サイズ1.12μmのBSI型CMOSイメージセンサ
東芝は、携帯電話やスマートフォン向けに画素サイズ1.12μmのBSI(裏面照射)型CMOSイメージセンサを開発したことを発表した。2011年7月下旬よりサンプル出荷を開始し、2011年末から量産を行う計画としている。
BSI構造は、受光部が配線層で減衰しないよう裏面から光を入れる構造とすることで、CMOSセンサの画素の小型化に伴い感度が低下する課題を解決する物。
同製品の仕様は、光学フォーマット1/4インチ、画素数8.08Mピクセル、画素サイズ1.12μm、フレームレート30fps(8Mピクセル)、60fps(1080p/720pに対応)となっている。
なお、同社は携帯電話やスマートフォンなどが小型化する流れに応じた1.12μmのBSI型CMOSイメージセンサを開発しラインアップに追加することで、BSI市場に本格参入するとしている。
産総研、Dyを用いずに高い磁石特性を実現した等方性焼結磁石を開発
産業技術総合研究所(産総研)サステナブルマテリアル研究部門 相制御材料研究グループ 尾崎公洋研究グループ長および高木健太 研究員は、重希土類元素であるジスプロシウム(Dy)を含まない等方性サマリウム-鉄-窒素(Sm-Fe-N)系磁石粉末を90%以上の高い相対密度で焼結する技術を開発したことを発表した。
Sm-Fe-N系磁石粉末はネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)系磁石に次ぐ高い磁石特性を持つ材料。Nd-Fe-BはDyを添加して保磁力を高めているが、Dyは重希土類元素で、地殻埋蔵量が少なく、かつ採掘できる場所が限られているため、輸入価格の高騰などの影響を受けている(国内のNd-Fe-B系磁石用Dyはすべて輸入品)。そのためSm-Fe-N系磁石が、Dyを使用しない高性能磁石材料として期待されているものの、磁石粉末としての特性は高いが、500℃以上の高温で焼結すると磁石特性を失ってしまうため、通常の焼結法では高特性の焼結磁石が作製できず、磁石粉末を樹脂などで固めたボンド磁石だけが製品化されていた。
産総研では、Dyを使用しない高性能磁石の開発を目指し、Nd-Fe-B系ではない磁石の実現に向けSm-Fe-N系磁石粉末を焼結する技術開発を進めてきており、アモルファス合金粉末を低温で高密度に焼結する技術を開発。これを用いてSm-Fe-N磁石粉末の焼結を行ってきたが、これまでは密度を上げることができず、最大エネルギー積100kJ/m3に満たなかった。今回、こうした焼結技術をさらに高度化することで、Sm-Fe-N系焼結磁石のエネルギー積の向上を図った。
具体的には、Sm-Fe-N系磁石粉末の磁石性能の低下を防ぐために400℃程度の低温での焼結で、しかも高い相対密度の焼結磁石を作製するために、パルス電流によって焼結するパルス通電焼結法に、荷重制御をするためのサーボプレスを組み合わせた焼結法を用いた。
パルス通電焼結法の概略図
パルス通電焼結法は、粉末の入った金型に電流パルスを流して焼結を行うもの。通常、金型と粉末は電気抵抗を持つため、そこを電流が流れると金型や粉末自身が発熱する。すなわち、直接加熱する手法であるため、短時間での昇温が可能で結晶構造の変化を防ぐことができる。さらに、パルス電流を使うことで、粉体の温度を上げることなく粉末界面での結合を促進することができる。これらにより、元の粉末特性を低下させることなく焼結することが可能となったという。
また、今回のパルス通電焼結法では、サーボプレスによるプログラム荷重制御を行うことで緻密化を促進させたほか、金型には超硬合金を使用し、サーボプレスによる荷重を大きくし相対密度の増大につなげており、これらの技術により低温で、稠密な焼結体を作製することができたとしている。
実験では、大同特殊鋼の等方性Sm-Fe-N系磁石の粉末を用いて、焼結温度400℃、保持時間1分で90%以上の高い相対密度の等方性焼結磁石を作製(作製された磁石のサイズは直径6~15mm)。作製した等方性Sm-Fe-N系焼結磁石の特性は残留磁束密度0.91T(9.1kG)、保磁力770kA/m(9.68kOe)、最大エネルギー積129kJ/m3(16.2MGOe)となり、最大エネルギー積以外は元の磁石粉末の90%以上を保持し、最大エネルギー積も約88%の性能を維持していることが確認された。
今回開発したSm-Fe-N系焼結磁石の例
今回、作製された等方性Sm-Fe-N系焼結磁石は、材料特性の改善や結晶制御により、さらに性能を高めることが期待できるほか、磁石材料の選択肢にDyを使用しない磁石材料をつけ加えることで、資源の寡占状態の緩和に貢献することが期待されると研究チームでは説明している。
今回開発した直径15mm、厚さ6mmのSm-Fe-N系焼結磁石を2段重ねにしたもので1個約4gの鉄球30個が磁着している様子
なお、研究チームでは今後は、異方性のSm-Fe-N系磁石粉末を用いて異方性焼結磁石を開発するとともに、焼結技術だけではなく、磁石粉末自体の研究開発を行い、さらに高性能なSm-Fe-N磁石の開発を目指すとしている。
名大、植物の気孔調整タンパク質を解析
名古屋大学(名大)の木下俊則教授の研究チームは、植物の二酸化炭素取り込みを行っている気孔の突然変異体の解析の結果、フロリゲン(花成ホルモン)として知られているFT(FLOWERING LOCUS T)が、気孔開度制御において重要な働きを担っていることを発見した。同成果は米科学誌「Current Biology」に掲載された。
植物は光合成を行うことで成長し農作物となるほか、二酸化炭素(CO2)を吸収し、地球環境を人間や動物が住みやすいように整えている。植物におけるCO2取り込み口となっているのが、植物の表面に存在する気孔と呼ばれる孔で、太陽光下で開口して光合成に必要なCO2を取り込んでいる。
図1 ツユクサ表皮の気孔の写真。気孔は光照射によって開口し、乾燥ストレスに曝されると植物ホルモン・アブシジン酸の作用により閉鎖する。気孔は、光合成に必要なCO2取り込みの唯一の取り込み口となっている
しかし、どのようにして気孔の開き具合が調節されているのか、多く部分が不明であった。 1920年にGarnerとAllardにより花芽形成が日長に支配されることが発見され、1937年にChailakhyanによる日長を感知するのは葉で、葉からなんらかの物質が植物の茎頂に移動し、花芽を付けさせることが分かった。この物質はフロリゲン(花成ホルモン)と名付けられ、発見から70年を経た2007年に、日本人を含む研究者らにより、FTと呼ばれるタンパク質が日長に応じて葉で作られ、葉脈(維管束)を通って茎頂に移動し、花芽を付けさせることが明らかになり、FTがフロリゲン(花成ホルモン)の実体であることが証明された。
しかし、花芽誘導は植物にとって栄養成長から生殖成長に切り替わる一大イベントであるにも関わらず、FTの花芽誘導以外の機能は知られていなかった。
今回、研究チームでは、気孔が顕著に開いたシロイヌナズナの突然変異体(scs1-1)を単離し、解析を行った。その結果、FTが気孔を構成する孔辺細胞にも発現しており、scs1-1変異体の孔辺細胞ではFTの発現が顕著に高まっていることを発見。FTを人為的に孔辺細胞に過剰に発現させたところ、気孔が大きく開き、一方、FTの変異体を調べた結果、気孔が開きにくくなっていることが判明した。
図2 FTを用いた人為的な気孔開口促進。シロイヌナズナの気孔に緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質としてFTを発現させた形質転換体の気孔の明視野と蛍光像写真(上)と気孔開度の実測値(下)。野生型FTを過剰発現させた気孔は大きく開口するが、変異型FTは気孔開口を促進しない。Nは核を示す。バーは5μm
これらの結果から、これまでフロリゲンとして知られていたFTは、気孔の開度調節においても重要な機能を担っていることが明らかとなり、このことは、植物は花を咲かせる時、気孔開口を促進し、光合成活性を高め、栄養の多い種を数多く作ろうとしていると考えられ、植物の花成時におけるFTの新たな機能の発見となった。
また、気孔でのFT量を調節することにより気孔開度の調節が可能であることが示されたことから、今後、同技術を利用することで、CO2の吸収能が増大した植物体の作出など、植物を利用したCO2削減への応用が期待できるようになるという。
名大ら、宇宙の真の明るさの計測に成功
名古屋大学大学院理学研究科の松岡良樹 特任助教を中心とする、名古屋大学と東京大学の共同研究グループは、宇宙の真の明るさを計測することに成功したことを発表した。同成果は、7月14日付(米国東部時間)の米国科学誌「The Astrophysical Journal」(電子版)に掲載される。
宇宙がどれほどの可視光に満ちているのか、可視光を放つ天体が宇宙にどれだけ存在するのかという問題に対し、地上あるいは人工衛星から観測を行う場合、地球大気の放射や黄道光が夜でも見かけ上あまりにも明るく、微弱な宇宙空間の明るさを測定するためには致命的な障害となっていた。
そこで、研究グループは、そうした大気の放射や黄道光の邪魔を受けずに宇宙空間の真の明るさを計測するためには、地球や太陽から遠く離れた地点で観測を行うことが必要と考え、米国航空宇宙局(NASA)が打ち上げた惑星探査機パイオニア10号および同11号の天文観測データを基に研究を行った。
パイオニアによる観測イメージ(画像提供:松岡良樹 名古屋大学 特任助教)
宇宙の真の明るさを測るためには、地球大気の放射や黄道光などの影響を除かないと難しい(背景の宇宙の画像:(C) R. Williams (STScI), the Hubble Deep Field Team and NASA)
パイオニア10・11号が火星以遠で見た宇宙の明るさ
パイオニア10・11方は、1970年代に火星-木星軌道間を飛行中、搭載された可視光観測装置によって空の明るさを継続的に測定を行っており、そのデータは主に黄道光の研究に用いられた後、1985年以降では、ほとんど用いられることがなかった。研究グループは、このデータを、現在の天文学における知識とデータ、解析技術を用いることで再分析を実施した。
パイオニア10・11号が火星以遠で見た空の様子を再現し、天の川銀河の星々のわずかな光を取り除く作業を実施、さまざまな空の方向において、残った光の明るさと、その方向に存在する星間塵のエネルギーを比べた。その結果、星間塵が増えるほど光が強くなる傾向が見られ、これらの塵も光を放っていると結論することができたという。逆に星間塵がゼロになった所での明るさは、天の川銀河内部のすべての光を取り去った後の空の明るさを表しており、これが宇宙空間の真の明るさ(宇宙可視光背景放射)となるという。
さらに研究グループではこうした宇宙空間の明るさは、全宇宙に存在する、可視光を放つすべての天体が元となっているが、多くの銀河および無数の星々からの光だけで、この明るさが説明できるかを検討、ハッブル宇宙望遠鏡による高精度観測で発見されたすべての銀河からの光の総和と、今回測定された宇宙の明るさとの比較を行った。その結果、両者がほぼ(誤差の範囲内で)等しいことが判明したという。
星間塵の分布イメージ((C)NASA/JPL-Caltech)
可視光の明るさと天の川銀河に漂う星間塵のエネルギーの相関関係
これは、宇宙の闇に可視光を放つ未知天体が潜む余地は小さいことを意味しており、結果として宇宙に満ちている可視光の起源を、人類がすでにほぼすべて解き明かしてしまったことを示すものとなる。また、副次的には、正体は不明ながら、重力を介して周囲に強い影響を及ぼす謎の物質「暗黒物質」が宇宙には大量の存在するとされるが、これらの物質は非常に微弱なレベルでも光を放っていないこととなり、まさに光では見えない暗黒の物質であることが示されたこととなる。
今回の成果により宇宙の闇に可視光を放つ未知天体が潜む余地は小さいということが示されたこととなる((C) R. Williams (STScI), the Hubble Deep Field team, NASA、S.Beckwith (STScI),the Hubble Ultra Deep Field team)
なお、研究グループでは、「今回の研究による、宇宙に満ちる可視光の起源を、人類はすでにほぼすべて解き明かしているという結論が、1つの終着点に辿り着いたことを明示したことになるが、これが土台となり、銀河と暗黒物質、そしてそれを含む宇宙全体の姿を解明するための研究への発展につながることが期待される」とコメントしている。
田中電子工業、銅製ボンディングワイヤを日/中/シンガポールの3拠点で生産
TANAKAホールディングスは、ボンディングワイヤ製造を行う田中貴金属グループの田中電子工業が、銅製ボンディングワイヤの生産を日本と中国、シンガポールの3拠点体制にしたことを発表した。
3拠点体制に向けた投資額は約10億円で、同社の中国工場(杭州)で銅製ワイヤの生産を開始するほか、シンガポール工場での生産能力を現在の3倍に増やし、従来からある佐賀県の佐賀工場と合わせた3拠点体制の構築により、2011年度内に全社的な生産能力を現在の2倍となる月間2億mに引き上げる計画。また生産増強に合わせ、現行品よりもランニングコストを低減でき、接着性が向上する銅製ワイヤの新製品「CLR-1A」の生産も開始するという。
田中電子工業が製造する銅製ワイヤの新製品「CLR-1A」
半導体のダイと外部電極をつなぐボンディングワイヤは、金価格の高騰から従来の金から銅へと置き換えが進んでいる。従来、銅製ワイヤは、表面酸化による劣化が早く、品質安定性が低いという欠点があったが、表面処理技術などの加工技術の向上により、最近では耐腐食性や安定性が強化され、その結果、低価格製品の需要が高い中国をはじめとするアジア新興国を中心に、2010年より本格的に需要拡大が加速しており、ボンディングワイヤは現在、世界で月間10~12億m製造されていると考えられるが、銅製ワイヤは全体の15%程度を占め、2013年にはそれが約40%にまで拡大することが見込まれている。
CLR-1Aは、銅表面にパラジウムの被膜を形成し、耐腐食性や接着性を向上させた同社の銅製ワイヤ「CLR-1」の改良版で、現行品より、キャピラリ(ワイヤを通す微細管)の寿命を75%向上させたほか、品質の安定性を左右するセカンドボンディングの接着性も向上させている。
なお、田中電子工業では、CLR-1Aのほか6種類の銅製ワイヤを製造しており、2013年までに銅製ワイヤの販売を月間8億円に引き上げることを目指しており、今回の3拠点体制の構築により、サプライチェーンとして自然災害や社会インフラの傷害などへのリスク分散が可能となることから、さらなる安定的な製品供給を進め、国内外の市場の拡販を行っていくとしている。