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ADI、大型QWERTYキーパッド向けコントローラを発表
ADIのGPIOポート・エキスパンダ/キーパッド・マトリックス・コントローラのパッケージイメージ
Analog Devices(ADI)は、プログラム可能で低消費電力のGPIO(汎用入出力)ポート・エキスパンダおよびキーパッド・マトリックス・コントローラ「ADP5585」「ADP5589」を発表した。2製品ともにすでに量産出荷を開始しており、1000個受注時の単価はADP5585が0.75ドル、ADP5589が1.20ドルとなっている。
2製品は、低い動作時電流ドレインと小型パッケージにプログラマブルロジック/PWMを集積しており、消費電流がキーを押している時でも30μA未満(typ.)、キーがアイドル状態の時には1μA未満(typ.)を実現している。
また、メインプロセッサへのI/OをADP5585の場合、最大10本、ADP5589で19本サポートしており、インタフェース・コネクタを簡略化することが可能だ。複数のキーの同時押しの検出ができ、押して離す動作を16バイトのFIFOを介して時系列に伝達することができるほか、組込みプログラマブル・ロジック・デバイスに加え、プログラマブル・リセット発生器を2つ組み込んでいるため、設計者は、キーやGPIO、あるいはロジックの変化をプログラミングしてリセット信号を発信し、ロックされているプロセッサを再起動させることができる。
2製品ともにメイン・プロセッサでキーパッドを監視する必要がなくなるため、消費電力の低減に加え、帯域幅を他の機能用にまわすことができるようになるほか、すべてのキー・スキャニングとデコーディング機能を組み込んでいるため、新しくキー・イベントが発生した際には、割り込みラインを用いて、メイン・プロセッサにフラグを立てることができる。最大16イベントをストアできるFIFOレジスタを備えているため、イベントがストアされるとプロセッサがI2C互換インタフェースを介してリードバックすることができるようになっている。
アルバック、有機EL製造装置などに対応する大型振り子バルブなどを製品化
アルバックは8月29日、有機EL製造装置などのFPD製造装置や大型真空装置に対応した大型振り子バルブ「VFR-400」「VFR-500」を開発、製品化したことを発表した。また、合わせて異なる測定範囲の測定子が接続可能なトランスデューサタイプのG-TRANシリーズ「マルチイオンゲージ・SH2」ならびに自動高速分光エリプソメータ「UNECS-3000A」も開発、製品化したことを発表した。
アルバックが今回発表した新製品各種の外観
真空装置では、真空室(真空チャンバ)と真空ポンプは真空バルブにより仕切られている。真空バルブは一般的に「L型バルブ」や「ゲートバルブ」が多く使用されてきたが、近年では小型化や低振動といった特徴を持つ「振り子バルブ」がメインバルブとして用いられつつある。従来、振り子バルブは6~14インチサイズが主流であったが、有機ELや液晶などのFPDプロセスでは、より大型の振り子バルブが求められていた。
近年、従来バルブに比べ小型化、低振動の振り子バルブが真空装置のメインバルブとして用いられつつある
VFR-400/500はこうしたニーズに対応することを目的としたもので、VFR-400が16インチ、VFR-500が20インチとなっており、それぞれメカニカルロックを使用せず、独自のシール機構の採用により、振動の少ない開閉動作を実現したほか、バルブケーシングを装置から外すことなく、弁体ユニットの着脱が容易に行えるようにしたことによるメンテナンス性向上を実現した。
半導体やFPDなどの製造装置、しかもその一部分という地味な話題ではあるが、真空状態を構築するのは時間がかかるので、メンテナンス性が向上すると、そうした非生産的な時間を減らすことができるようになる
一方のマルチイオンゲージは、従来の1原理で大気圧(10+5Pa)から高真空(10-8Pa)までを測定することができなかったという欠点を克服を図った製品。ピラニゲージ「SPU」と大気圧センサ「SAU」の信号を取り込んで3機種を連動させる分離型の広帯域対応真空計で、カスタマの要求する真空度の領域に合わせて搭載する測定子の選択が可能なほか、故障した測定子だけの交換を可能にしたことによるランニングコストの低減や、視認性の高いLEDの搭載による遠くからの異常検知性の向上などが図られている。
従来の複合的真空計の利点と問題点、およびアルバックのマルチイオンゲージ「SH2」の特長
また、エリプソメータ「UNECS-3000A」は、高次移送子を用いた分光偏光方式を採用し、偏光干渉により得られるスペクトルが波長に依存して変化するため、スナップショットで瞬時に測定することが可能な装置で、300mmウェハに対応した自動マッピング機能によりウェハ表面の膜厚分布をマッピング測定することが可能だ。
最大6層まで膜厚を測定することが可能で、1層当たり最速20msでの測定が可能。300mmウェハ上で106ポイントを測定した場合、約120秒以下で測定を完了することができるという。
従来方式とUNECSシリーズの測定方式の違い
なお、振り子バルブについては2011年9月からの販売を予定しており、価格はVFR-400が138万円、VFR-500が188万円としているほか、マルチイオンゲージは中真空~高真空領域向け本体「SH2」が12万円、低真空~高真空領域までに対応したSH4とSPUを接続したタイプが18万円、SH2、SPUにSAUをさらに加えたタイプが23万円となっており、UNECS-3000Aは1500万円(本体/コントロータ、PC一式を含む)となっている。
なお同社では2011年10月から、規格品事業部で取り扱っている真空機器コンポーネントのデザインを変更する予定
京大、体内でO2分圧の感知と組織への供給を制御する新たな仕組みを発見
京都大学は8月29日、好気性生物が体内に取り入れることが可能な可能な酸素分子(O2)の分圧を感知し、組織へのO2供給を厳密に制御する「O2センサ」の仕組みとして、イオンチャネルタンパク質「TRPA1」が機能していることを究明、発表した。
同大学地球環境学堂/工学研究科教授の森泰生氏と、先端医工学研究ユニット特定助教の高橋重成氏による研究成果で、ニューヨーク時間8月28日13時に「Nature Chemical Biology」(オンライン版)に公開された。
TRPA1が酸化物に反応するのは、「システイン残基」の働きによる。システイン残基は酸化物に対して極めて高い感受性を示し、高O2濃度溶液中においてTRPA1はO2による酸化を受けて活性化・開口。その一方で、低O2濃度溶液中でもTRPA1は活性化・開口し、ここではO2濃度依存的な「プロリン水酸化酵素」による阻害から、TRPA1が低O2濃度で解放される機構が働いていることを発見した。これはまったく前例のない新しいイオンチャンネルの活性化・開口機構を示すものである。また、活性化・開口したTRPA1は感覚神経細胞や迷走神経細胞などにイオン電流を生じさせて神経活動を引き起こすことも確認した。
さらにTRPA1遺伝子欠損マウス(TRPA1 KOマウス)においては、高O2および低O2ガス吸入に伴う迷走神経の活動と、それに伴う呼吸反射が著しく損なわれることが判明。TRPA1 KOマウスは、通常O2濃度下においては肺障害および肺高血圧症を示すが、これらの症状は高O2および低O2濃度両環境下では、さらに重篤化することも確認。これはTRPA1 KOマウスでは、生体内O2センサとしての機能が失われているものと考察され、つまりTRPA1が生体内のO2センサとして機能し、O2の体内供給を厳密に制御していることが示されたものである。
哺乳動物、特にヒトにおける大気中のO2の感知に関しては、旧来より化学受容器の中でも「頸動脈小体」が特に重要であると考えられ、頸動脈小体の「glomus細胞」におけるさまざまなO2センサ機構が乱立して提案されてきた過去を持つ。今回の成果は、肺や気管に感覚神経や迷走神経などが投射する化学受容器が、TRPA1を介して生体のO2感知に果たす重要な役割を新たに示したといえるだろう。
また今回、低O2分圧のセンサに比べると見過ごされてきた、O2毒性を避けるための高O2分圧のセンサにも光を当てることになったが、微生物や線虫、昆虫などのいわゆるより原初的な生物では広くみられる応答・行動様式である「酸素忌避」(oxygen avoidance)に準じる機能を哺乳類も備えている可能性があることを示した結果となった。
さらに今回の研究の意義として、大気中の海抜ゼロ地点におけるO2分圧変動を感知できるTRPA1のO2センサとしての高い性能も挙げている。この点は、通常飼育下においてTRPA1 KOマウスが示す上述の病理学的表現型が支持しており、TRPA1の微妙な狂いが神経因性疼痛や呼吸器障害などさまざまな疾患に関与しているとも考えられるとした。
迷走神経終末での、TRPA1によるO2感知機構のイメージ図
大阪市大、水道水ミスト散布によるエアコンの省エネルギー化の調査を開始
大阪市立大学は8月17日、実施期間は8月19日から9月末をめどにNTT西日本日本橋ビルにおいて、水道水ミスト散布によるエアコンの省エネルギー効果などを検証する実測調査を水道局と共同で行うことを発表した。
同大工学研究科の中尾正喜教授を中心とする研究チームはミストの蒸発冷却現象の基礎的研究を行っており、ミストの空気冷却能力(ミストの蒸発率)を計測する方法を確立、ミストの粒子径、外気温湿度、蒸発距離とミスト蒸発率の関係などを明らかにしてきた。
今回のミスト散布活用によるエアコンの省エネルギー化は基礎研究の応用として取り組むもので、調査場所となるビルの所有者である西日本電信電話(NTT西日本)では、環境対策の一環として、「大阪市水道局・ドライ型ミスト装置導入サポート制度」の活用による事務室空調(エアコン)室外機周辺に約100台の水道水ドライ型ミスト装置を導入する。
夏場高温になるエアコン室外機周辺の空気を冷却すると、機器の効率が高まり省エネルギー化(節電効果)につながることが期待されている。今回の取組みの実施にあたっては、水道局、大阪市立大学とNTT西日本で連携協定を締結、エアコン室外機周辺での水道水ドライ型ミスト散布の実測調査によって、省エネルギー対策やヒートアイランド対策などの観点から、「空冷室外機周辺でのミスト散布実施による蒸発冷却特性の検討」「省エネルギー対策効果の検証」「ヒートアイランド対策効果の検討」などの調査検証を行う予定としている。
実測調査の対象となっているNTT西日本日本橋ビルのエアコン室外機
赤外線天文衛星「あかり」、銀河系の外側に謎の遠赤外線放射を検出
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、赤外線天文衛星「あかり(ASTRO-F)」が、銀河系の外側の宇宙の明るさ(宇宙背景放射)を観測した結果、謎の遠赤外線放射を検出したことを発表した。
同研究は松浦周二・宇宙科学研究所・助教を中心とする国際研究チームにより行なわれ、その観測成果は、米国の、天文学と天体物理学の学術雑誌「The Astrophysical Journal」の2011年8月10日号に掲載される。
宇宙には、エネルギーのほとんどすべてを赤外線として放射する特殊な銀河、いわゆる「赤外線銀河」があり、その正体は猛烈な勢いで星を生成している銀河である。これは、そうした銀河の内部にある星間ダスト(固体微粒子)が、星の紫外線で暖められ赤外線で明るく輝くためで、現代の銀河進化シナリオでは、宇宙初期には、ほとんどの銀河でこうした赤外線銀河のような爆発的星生成が起こっていたと考えられていた。
今回の研究は「あかり」を用いて、それを確かめるために、原始の赤外線銀河の群れを宇宙背景放射として捉えることを試みたものであったが、その結果はそうした予測とは異なるもので、確かに宇宙背景放射の大半は赤外線銀河からによるものであったが、それだけでは説明のつかない謎の放射成分が含まれていることが判明したという。
今回の観測は、赤外線銀河が明るい遠赤外線波長において、「南天あかりディープフィールド(ADF-S)」と名付けられた、約12平方度の広領域で実施。同領域を選んだ理由は、観測の妨げとなる銀河系内のダストの放射が最も弱いためであり、これまでの観測により大量の赤外線銀河が発見されている。
宇宙背景放射の測定は、観測された空の明るさから太陽系や銀河系内のダストの放射を差し引き、残る銀河系外の信号を調べることにより行なわれる。また、宇宙初期の放射だけを測定するには、個々に検出できる比較的近い銀河を、できるだけ取り除いておく必要があるが、「あかり」は、過去に宇宙背景放射の観測を行なったCOBE衛星(1989年に打上げられた米国の宇宙背景放射観測専用衛星)の100倍近い解像度を実現しており、これまで以上に暗い銀河も取り除くことが可能となっている。
図1 「あかり」によるADF-S領域の遠赤外線画像(波長90μm)。白っぽい多数の輝点は個々の銀河で、それらの背後には、より遠方の天体からなる宇宙背景放射が存在している(出所:JAXA Webサイト、(C)ISAS/JAXA)
その結果、観測された値は、最新の銀河進化モデルから推定された宇宙の全銀河による宇宙背景放射よりも、約2倍ほど明るいものであり、観測されたスペクトルや空間的な一様性などを分析したところ、確かに宇宙背景放射のかなりの部分が赤外線銀河によるものであるが、それだけでは説明のつかない放射成分が存在していることが判明した。
この2倍という差を宇宙の全エネルギーとして捉えた場合、膨大な量となり無視することはできない。研究チームではこの謎の遠赤外線放射を出す天体を考察。ある程度予測されていた原始の赤外線銀河でないとすれば、さらに昔の天体かも知れないとしている。
図2 「あかり」による遠赤外線の宇宙背景放射の観測結果(●部分が「あかり」の観測値)。現在の銀河進化モデルで予想されるすべての銀河の光を合わせた明るさ(点線部)では観測値が説明できず、それに加えて、謎の遠赤外線放射(斜線部分)が存在していることがわかる(出所:JAXA Webサイト、(C)ISAS/JAXA)
実際に図2における謎の遠赤外線放射は、原始の赤外線銀河を主とする全銀河の放射(図中の銀河進化モデル)よりも短い波長にピークを持っており、こうした「高温」スペクトルを持つものとして、研究チームでは、宇宙初期のブラックホールからの放射の可能性があるとしている。
また、関連する最近の研究では、宇宙で最初に生まれた星々は、短い寿命の後に超新星爆発を起こしてブラックホールを残すと考えられるようになってきた。ただし、この解釈に直接的な証拠があるわけではなく、今後も解明への努力が必要となっている。
そのため、研究チームでは、科学的解釈はまだはっきりしないものの、今回の観測結果は、現在の銀河進化の描像に転換を迫るものであることに加え、宇宙初期の天体形成の研究に重要な手がかりを与える可能性があるとしており、将来の大型赤外線天文衛星「SPICA」や宇宙背景放射観測ミッション「EXZIT」などを活用することで、こうした課題の解明ができるようになるかもしれない期待を示している。
なお、「あかり」は2006年に打上げられ、目標寿命3年を大きく越える5年以上にわたり観測運用が行われてきたが、2011年5月24日に発生した電力異常による影響で、日陰と日照のたびに電源のON/OFFが繰り返される状態となっており、同6月17日に今後の科学観測が困難であるとの判断から観測運用の終了が決定されており、今後は衛星運用の安全な終了を目指す取り組みが進められる予定となっている。