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エプソントヨコム、3cm単位の高さで気圧変化を検出する絶対圧センサを発表

エプソントヨコム、3cm単位の高さで気圧変化を検出する絶対圧センサを発表 

 エプソントヨコムは8月24日、絶対圧センサ「XP-6000CA」を開発したことを発表した。2010年10月よりサンプル出荷を開始する予定となっている。

 絶対圧センサ「XP-6000CA」

 同製品は、水晶素材をベースに同社の精密微細加工技術「QMEMS」技術を用いることで独自の受圧構造を開発。圧力総合精度±30Pa、分解能0.3Paを実現しつつ、7.0mm×5.0mm×2.0mmの小型パッケージサイズを実現している。

 また、水晶をセンサ素子の素材としているため、温度などの外部環境の変化に対して安定したセンサとなっており、使用温度範囲は-40℃~+85℃となているほか、測定圧力範囲は30kPa~130kPaとなっている。

 さらに、圧力計測を行うために水晶振動子の計測技術を応用した周波数カウント方式を採用する事で、ノイズの影響を受けにくい圧力計測を実現している。

 ちなみに0.3Paの分解能というのは、例えば高さが1cm変化すると気圧が約0.1Pa変化することから換算すると、0.3Paの気圧変化は、高さ換算で約3cm単位での変化量が検出できるということとなる。同社では、このような微小な圧力変化の検出を小型サイズで実現することで、活動量計やPersonal Navigation Device(PND)などのモバイル機器において、細かな高度計測が可能となることから、こうしたモバイル機器の活用の幅を広げていければとしている。

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コンピュータアーキテクチャの話 (203) 動作周波数重視からマルチコアへのシフト

コンピュータアーキテクチャの話 (203) 動作周波数重視からマルチコアへのシフト 消費電力の制約

 このようなムーアの法則や、デナードスケーリングを超えるトランジスタ数の増加やクロック周波数の向上は、プロセサの性能向上にとっては望ましいのであるが、デナードスケーリングよりも素子数やクロックが向上すると、チップの消費電力一定とはならず、ハイエンドプロセサでは消費電力が100Wを越えるようになってしまった。

 また、微細化に伴い電源電圧を下げることがデナードスケーリングの消費電力の低減の原動力であるが、スイッチ速度の比例的改善を維持するためにはMOSトランジスタのスレッショルド電圧も電源電圧に比例して低減する必要がある。しかし、スレッショルド電圧を下げるとMOSトランジスタのリーク(漏れ)電流が指数関数的に増加し、漏れによる無駄な電力が動作電力と同程度、さらにスレッショルド電圧を比例低減すると動作電力を超えるようになってしまうという問題が出てきた。このため、図10.3に示すように、電源電圧が1~1.5Vに達した2000年頃から、その後の電源電圧の低下には急ブレーキがかかることとなった。

 図10.3 マイクロプロセサの電源電圧の推移

 そして、結果として、電圧についてはデナードスケーリングが適用できなくなり、消費電力の制約から性能向上の第一の牽引力であったクロック周波数の向上が大きくスローダウンすることになってしまい、性能向上はムーアの法則によるトランジスタ数の増加に頼ることになってしまった。

マルチコア化による性能向上

 そこで増加するトランジスタをどのように使うかであるが、これまで述べてきたスーパスカラによる並列実行やOut-of-Order実行などのIPC(Instruction Per Cycle)を向上させるアーキテクチャ機構に増加するトランジスタを注ぎ込んできたが、その効果は飽和しつつある。このため、多数のトランジスタを注ぎこんでも、消費電力の増加に見合った性能向上が得られなくなってしまった。

 ということから、各社とも、1つの半導体チップに、ある程度のIPCを持つコアを複数搭載するマルチコア化で性能を上げるという方向に転換することになった。これが、現在、マルチコアが主流となっている理由である。

 マルチコアプロセサは、その名の通り、物理的には複数のプロセサコアを1つの半導体チップ上に搭載したものであるが、論理的には、これまで個別のプロセサチップを複数使用して作られてきたマルチプロセサシステムを1つの半導体チップの上に集積し、さらにプロセサ間を接続するコモンバスやクロスバもチップに内蔵したものであり、これまでに述べたマルチプロセサシステムの考え方が適用できる。

 なお、アプリケーションを作る側からは、複数のコアに効率よく仕事を分担させることは必ずしも簡単ではなく、処理によっては1つのコアしか使えないというケースもあり、性能の高い単一コアのCPUが欲しいという要望が聞かれる。しかし、単一コアの性能向上は、超音速機のコンコルドのようなもので、音速より若干遅めに飛ぶジャンボジェットなどと比べて目的地に早く着くという大きな利便性はあるのであるが、燃費が大幅に悪く、運べる乗客数も少ない。航空機が音速の壁を超えると経済性が損なわれるのと同様に、プロセサもスケーリングの壁にぶつかっており、残念ながら高速単一コアは経済的な解には成りえない。

ルネサス、米Acacia Researchと特許ライセンスに関する戦略的提携を締結

ルネサス、米Acacia Researchと特許ライセンスに関する戦略的提携を締結 

 ルネサス エレクトロニクスは8月24日、米Acacia Researchと戦略的提携関係を構築することで合意したことを発表した。

 同提携により、ルネサスが有する4万件以上の半導体関連特許および特許出願の中から、両社が合意した特許をライセンスのためにAcaciaへ譲渡することとなる。

 また、提携の理由についてルネサスは、特許流通が日常化してきた今日、特許ライセンスの重要性が高まっている一方、そうした環境の中において、ルネサスが自社製品のカスタマを守ることが重要であり、この目的を達成することを目的に特許ライセンスの先端企業であるAcaciaと提携することに決めたと説明している。

キヤノン、APS-Hサイズで約1億2000万画素を実現したCMOSセンサを開発

キヤノン、APS-Hサイズで約1億2000万画素を実現したCMOSセンサを開発 

 キヤノンは、APS-Hサイズで同社が製品化している従来品比で7倍の画素となる約1億2000万画素(13280×9184画素)を実現したCMOSセンサを開発したことを明らかにした。

 キヤノンが開発した約1億2,000万画素のCMOSセンサ

 CMOSセンサは、多数の画素を高速に読み出すために並列処理を行うが、並列処理の信号数が増加すると信号遅延やタイミングのズレが問題となってくる。同社では読み出し回路のタイミング制御方法を工夫することでセンサ信号の高速読み出しに成功。 これにより、1秒間に最高約9.5コマの出力が可能となり、高精細画像の連続撮影を実現できるようになるという。

 また、フルHD(1920×1080画素)の動画出力機能も搭載しており、センサ画面全体のうち、約1/60の任意の領域をフルHD動画で出力することができることから、同社では今回開発された同センサを用いることで、画面の一部だけを切り出すトリミングや、電子的に画像の一部を拡大する電子ズームなどを行っても、これまで以上に高精細で鮮明な画像を得ることができるようになるほか、広い範囲を静止画で確認した上で、任意の領域を指定して、フルHD動画として見ることも可能となるとしている。

産総研、触れる立体テレビを実現するシステムを開発

産総研、触れる立体テレビを実現するシステムを開発 

 産業技術総合研究所(産総研)は8月25日、人間の錯覚を利用して高感度な触力覚を連続的に提示できる小型の非ベース型錯触力覚インタフェースと立体テレビを組み合わせることで、立体映像に触覚(感触)や力覚(手応え)を与え、さらに感触で確認しながら形状デザインを行うことができるシステム「i3Space(アイ・キューブ・スペース)」を開発したことを明らかにした。

 同システムは触覚や力覚に関する錯覚を利用して触感や手応えを提示する技術を応用したもの。立体映像に感触や手応えを与え(可触化)、複数の指で立体映像を直接操作(マルチタッチの3次元化)できるようにしたバーチャルリアリティー(VR)空間生成システムで、錯覚(illusion)を活用し、直感的(intuitive)な空間理解と自然な操作性によって、ひらめき(insight)の創出を支援する活動空間(space)を提供することをコンセプトとしている。

 産総研が開発した高感度・非ベース型錯触力覚インタフェース(左)、触れる立体テレビ(中)、位置測定用マーカーを装着した錯触力覚インタフェース(右)

 立体映像の触力覚シミュレーションを行うリアルタイムVR空間生成システム、錯触力覚インタフェース(触力覚を提示する錯触力覚デバイスとデバイスを制御する錯触力覚コントローラー)、指の動きを測定するマルチ・ポジション・トラッカーシステムから構成されている。リアルタイムVR空間生成システムは、コンピュータ内のVR空間で、環境や物理モデルの動きをシミュレーションし、動きに合わせた反力や立体映像を生成するシステムで、ユーザーの動作や指の位置から物理モデルに働く力を計算し、この力による物理モデルの変形・動作がシミュレーションされ、ユーザーに働く力や立体映像がリアルタイムで生成される。

 i3Spaceのシステム構成

 また、マルチ・ポジション・トラッカーシステムは、ユーザーを複数のカメラで取り囲み、指先に装着したマーカーの位置を測定するシステムで、複数台のカメラを使用することで死角のない測定を実現している。

 錯触力覚デバイスは産総研が開発した、対象物の位置・大きさ・硬さの知覚や動き・形状の変化といった多様な表現を可能にした非ベース型錯触力覚インタフェース「GyroCubeSensuous」を採用している。

 通常、LCDなどのタッチパネルは接触対象であるパネルが平面であるため、操作ポイントの選択や確認が容易であるが、立体映像に対するタッチ操作では、触ったという触力覚フィードバックがないと接触の確認のため、映像上の接触点を凝視しなければならないという問題があった。また、立体映像からの反力がないために自然な操作性が得られにくいという課題も存在していた。そこで、同システムでは、指先の位置を測定し、指と立体映像との接触および力の相互作用を計算、その力を錯触力覚インタフェースで提示することで立体映像に指で触れた感覚を与えている。

 指を押しつけるという動作に対して、抗力や摩擦力を再現することは、指の動きと力の方向が一致しない場合や実体が存在しない立体映像の場合は難しい。また、静止した指に対して力を感じさせ続けることはさらに難くなるが、今回のシステムでは振動に対する錯覚を利用することで実体が存在しない立体映像でも触力覚の提示を可能としている。

 さらに、立体視では、映像が手元に見えるように飛び出し感を強調し過ぎると眼精疲労の原因になりかねないという課題があるが、これは、右眼および左眼に入射する映像の分離が悪くなることと、ユーザーが感じる立体映像の位置と実際のディスプレー画面における画像の位置が一致しないことによることから、同システムでは立体像と指の位置を一致させずに、立体映像にかざした指先に手応えを提示する間接的可触化を行った。

 加えて、同システムでは、マルチ・ポジション・トラッカーシステムによって6方向から同時に複数の指の動きを測定するため、指の動きが手のひらによって隠されることなく、指の位置から、指と立体映像との接触、立体映像をつまんだクリップ動作、クリップした後の拡大・縮小動作を検出することが可能。これをもとに、立体映像と指との間に働く感触や手応えを計算し錯触力覚インタフェースを制御することで、力を感じさせることに成功。これにより、複数の指先の動作で立体映像の移動・変形・回転操作を3次元で直感的に行うことが可能になったという。

 立体映像からの感触や手応えを得ている様子

 3次元マルチタッチ(変形)

 結果として、同システムを応用することで、立体映像の変形による反力を力覚で確認しながら変形具合を調整し、3次元形状をデザインすることが可能となり、同時にデザイン結果が数値データとして得ることが可能となる。また、足元のバランスセンサにより体重移動および姿勢をモニタリングすることで3次元空間内での視線の移動を補助できるため、ろくろを用いた陶芸のように、立体映像を回転させ感触で確認しながら壺の立体造形を行うことができ、感性を刺激しながらの創作活動を支援することができるようになるという。

 なお、産総研では、今回の成果は産総研の単独開発によるものであることから、将来的にはベンチャー創業を目指す方針で開発を継続し、今後は小型化・高機能化を進めるとともに、スマートフォンなどへの対応および家電・情報機器メーカーとの連携・共同開発を推進することで、用途に応じた開発および実証実験を図って行きたいとしている。

HN:
上原健二
性別:
非公開
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