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京大、高血圧の予防に向けた血圧調節機構を解明

京大、高血圧の予防に向けた血圧調節機構を解明  

 京都大学(京大)の竹島浩 薬学研究科教授、山崎大樹同特定講師らの研究グループは、小胞体カウンターイオンチャネルであるTRICチャネルが血管平滑筋において興奮性調節のシグナル伝達に参画することにより、血圧調節に寄与する機構を解明した。また、ヒトTRICチャネル遺伝子の一塩基多型が本態性高血圧の発症に密接に関与すること、ならびに高血圧リスク一塩基多型を有する高血圧患者は汎用される降圧薬に対して抵抗性を示すことも明らかにした。同成果は米国の医学誌「Cell Metabolism」(8月3日号)に掲載された。

 細胞内小器官である小胞体はCa2+を貯蔵し、各種の刺激に応答してCa2+を細胞質へ放出する機能を備えている。小胞体Ca2+放出による細胞質のCa2+濃度上昇は恒常性や機能維持に重要で、筋細胞の収縮、伝達物質の放出、遺伝子の発現、細胞死や細胞増殖など様々な生理反応を制御している。

 小胞体Ca2+放出を担当するイオンチャネルとしてはリアノジン受容体とイノシトール三リン酸受容体が知られており、それぞれ独自の機構によりCa2+を放出するが、両チャネルの開口に伴い陽イオンであるCa2+が放出されると、小胞体内腔に負の電荷が発生することとなり、以降のCa2+放出が抑制されることが推定されている。

 生理的条件下で観察される数十ミリ秒に及ぶ小胞体Ca2+放出を持続するためには、この負電荷を中和する機構が必要であるとされており、この機構を担う分子であるカウンターイオンチャネルとして、一価陽イオン特異的なTRICチャネルが京都大学大学院薬学研究科にて同定されていた。動物においては、TRIC-AとTRIC-Bの2種類のTRICチャネルサブタイプが独自の組織特異的パターンにより分布しており、両サブタイプは3本の膜貫通セグメントを有して、核膜や小胞体膜内でホモ3量体を形成し、細胞内環境下では主にK+透過性チャネルとして機能している。TRIC-Aチャネルは筋組織や脳などの興奮性細胞群に高発現することが確認されていたが、その生理的意義については不明であった。

 今回の研究では、TRIC-A遺伝子欠損マウスにおいて観察された高血圧に注目した。同変異マウスの血管平滑筋細胞では、小胞体膜上のリアノジン受容体と細胞膜上の大コンダクタンスCa2+依存性K+チャネルによる過分極シグナルが障害されており、興奮性の亢進による電位依存性Ca2+チャネルの異常活性化も確認されたことから、血管平滑筋の過分極シグナルはTRIC-Aチャネル、リアノジン受容体とCa2+依存性K+チャネルの機能共役により成立していることが判明した。

 TRIC-A欠損マウスにおける高血圧。(A)は血圧テレメトリ計測によるTRIC-A欠損マウスにおける慨日血圧変動。(B)は昼期のテールカフ計測による過剰降圧薬による血圧降下作用(Pra:アドレナリンα1受容体阻害薬プラゾシン、Can:アンジオテンシンII受容体阻害薬カンデサルタン、Nic:電位依存性Ca2+チャネル阻害薬ニカルジピン、Ver:電位依存性Ca2+チャネル阻害薬ベラパミル)

 TRIC-A欠損腸間膜動脈の筋原性収縮異常とTRIC-A欠損血管平滑筋細胞におけるCa2+ハンドリング異常。(A)は腸間膜動脈の血管径モニタリング。血管内圧を変化させた際の血管径の経時変化。(B)は腸間膜動脈より内皮細胞を剥離した試料を用いて、Fura-PE3を負荷した抵抗血管平滑筋の細胞内Ca2+動態を蛍光可視化イメージング解析したもの。細胞外溶液からのCa2+除去、Ca2+チャネル阻害薬ベラパミルまたは活性化薬BayK8644の定常状態の細胞内Ca2+濃度に対する効果を検討したという

 TRIC-A欠損血管平滑筋細胞における過分極シグナル異常。(A)はCa2+スパークを全反射顕微鏡にて測定したCa2+スパークの代表的データ。(B)はパッチクランプ法によるSTOC測定実験の代表的なデータ

 一方、正常血圧群と高血圧患者群におけるヒトTRIC-A遺伝子内の一塩基多型(SNPs:single nucleotide polymorphisms)を検討した結果、日本人の約7%で観察されるSNP型で本態性高血圧の発症が18%上昇することが明らかになったほか、この高血圧リスクSNPsを有する高血圧患者においては、一般に処方される降圧薬3種に対して抵抗性を示すことも明らかとなった。

 血管平滑筋細胞における細胞内Ca2+シグナルとTRIC-A欠損による変化

 このTRIC-Aチャネルが血圧調節に関与しているという発見は本態性高血圧の病態解明につながるもので、高血圧の予防、降圧薬選択や投薬量決定などの個別化医療への展開が期待されるという。

 TRIC-A遺伝子SNPと高血圧リスク・降圧薬感受性。(A)はTRIC-A遺伝子SNPsの高血圧ケース-コントロール試験における解析。TRIC-A遺伝子領域におけるSNPsの連鎖不均衡マップに、高血圧リスクSNPs(p<0.05)を示す。(B)は各SNPsでの接合体存在比。rs17796739およびrs901792では低頻度のホモ接合体が統計上有意に高血圧を発症し、発症リスクがそれぞれ約18%、14%上昇した。一方で、rs2279449の低頻度ホモ接合体は高血圧発症リスクが低いことが確認された。(C)は高血圧リスクrs901792Cホモ接合体患者における降圧薬抵抗性。TRIC-A遺伝子中のrs901792において遺伝子型CCの高血圧患者は、他の遺伝子型患者と比較して3剤の降圧効果が顕著に低いことが確認された

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京大など、極低温の原子気体を用いて物質の新しい量子状態を作製に成功

京大など、極低温の原子気体を用いて物質の新しい量子状態を作製に成功 

 京都大学 高橋義朗 理学研究科教授、素川靖司 同大学院生らの研究グループは、NTTとの共同研究で、レーザー光を用いて作成した人工の結晶の中に極低温の原子気体をとどめることで、これまで存在していなかった物質の新しい量子状態を作り出すことに成功したことを明らかにした。同成果は英国の科学雑誌「Nature Physics」に掲載された。

 真空容器内のイッテルビウム原子気体。中央の緑色の点が波長556nmの緑色光を出して発光しているイッテルビウム原子の気体を表している。なお、原子気体は数mmのサイズ

 近年、光格子と呼ばれる人工の結晶をレーザー光で作る技術が確立し、物質が低温で示す特異な性質を極低温の原子気体を使って調べようとする研究が注目を集めている。

 京都大学では、イッテルビウムを極低温にまで冷却できる技術を有しているほか、NTTでは、数万個の原子が光格子の中で複雑に運動する様子を効率よく解析できる独自の数値計算技術を有しており、今回、光格子中のイッテルビウム原子の状態を高精度に制御・観測する実験を京大にて実施、その実験に対する理論計算をNTTが行った。

 極低温の原子気体に対方向にレーザー光を照射させ、光の干渉により光格子と呼ばれる周期的な構造を作成する。光格子ではレーザー光の強さにより、原子の動きを制御することが可能

 量子力学では、すべての粒子はボース粒子(ボソン)とフェルミ粒子(フェルミオン)と呼ばれる性質が異なる2種類の粒子に区別される。

 絶対温度のゼロ度(絶対零度)では、ボソンとフェルミオンはまったく異なった状態となる。ボソンではすべての粒子が最低のエネルギー状態に落ち込んだ状態になる。一方、フェルミオンでは粒子数に応じて低いエネルギー状態から順に占有されていく。ボソンとフェルミオンのこうした性質の違いが極低温での物性に大きな影響を与えることが知られている

 今回、イッテルビウム原子の同位体を利用して、ボソンとフェルミオンを光格子の中で混合させたところ、ボソンとフェルミオン間に働く相互作用および混合させる数に応じて、多様な量子状態が実現することが明らかとなった。特に、ボソンとフェルミオンが格子点上に1個ずつランダムに入り混じった混合モット絶縁体や、複数のボソンとフェルミオンが合わさって1つの粒子のようになった複合粒子状態は、今回の研究で確認された新しい量子状態だという。

 新たしい量子状態の概要

 今回、見出された極低温原子気体の新しい量子状態は、温度をさらに下げることで多様性に富んだ秩序状態に移り変わっていくと考えられるという。そのため、この秩序状態がどのようなメカニズムで出現するのかを解明することは、物質系の秩序状態である磁性や超伝導などの研究に進展をもたらすものと研究グループでは見ており、今後は、原子気体を冷却する技術を発展させ、物質の性質を決める原理の解明に向けた量子シミュレータの実現を目指すとするほか、将来的には光格子を量子コンピュータへの応用を可能とするため、原子の制御・観測方法の開拓を目指すとしている。

東工大、鉄系超伝導体が銅酸化物系より優れた結晶粒界特性であることを解明

東工大、鉄系超伝導体が銅酸化物系より優れた結晶粒界特性であることを解明 

 東京工業大学(東工大)フロンティア研究機構の細野秀雄教授の研究グループは、国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所の田辺圭一副所長の研究グループと共同で、鉄系超伝導体が銅酸化物系よりも優れた結晶粒界の特性を有していることを明らかにしたほか、金属テープ基板上への高性能薄膜の試作に成功したことを明らかにした。同成果は英国のオンライン限定の学際的ジャーナル「Nature Communications」に掲載された。

 細野教授らの研究グループは、2008年2月に、鉄(Fe)を含むオキシニクタイド化合物LaFeAsOが26Kで超伝導を示すことを発見しており、その後、LaFeAsO、SrFe2As2、BaFe2As2のエピタキシャル薄膜の作製や、高品質化したCo添加BaFe2As2エピタキシャル薄膜を用いたジョセフソン接合素子と超伝導量子干渉素子の作製などを行ってきた。

 鉄系超伝導体は、50Tを超す上部臨界磁場と小さな異方性(γ=1~2)が明らかとなり、高磁場で強く、高性能な線材への応用が期待されており、線材応用を目指した研究としてパウダーインチューブ法という手法を用いたワイヤー試作が進められているが、現在のところ最高で0.01MA/cm2程度の臨界電流密度までしか得られていない。

 同グループではパルスレーザー堆積法を用いてCo添加BaFe2As2エピタキシャル薄膜の高品質化に取り組んでおり、1MA/cm2を超える臨界電流密度を単結晶基板上に直接成長させることにより実現している。

 線材応用を目指した研究で重要な点となるのは、その対象物質の粒界特性であり、Y系銅酸化物の場合は、その粒界が形成する傾角が3~7度を超えると急激に臨界電流密度が減少し始めるため、その結晶配向度を約5度以下に抑制するために、面内配向制御が必須となっており、高コスト化・製作の長時間化の原因となっている。鉄系超伝導体の線材応用を目指すために、その粒界特性を明らかにすることはY系銅酸化物と同様、急務であり、その異方性が小さいことから銅酸化物よりも良好な特性が期待されてきた。しかし、それらに関連する報告はこれまで一例しか無く、それによれば鉄系超伝導体は銅酸化物と類似の粒界特性を有するとされているのみであり、鉄系超伝導体の粒界特性の優位性および1MA/cm2を超える薄膜線材の試作の報告はどこからもなされていなかった。

 今回、研究グループではパルスレーザー堆積法を用いて、MgOと(La, Sr)(Al, Ta)O3(LSAT)のバイクリスタル基板上に、高品質Co添加BaFe2As2薄膜を作製した。

 さらに同薄膜の粒界特性を調査するため、傾角粒界を介する部分にブリッジ構造(傾角粒界接合)を作製し、電流-電圧特性からその傾角粒界における臨界電流密度を調査した。

 図1:バイクリスタル基板上に作製したCo添加BaFe2As2エピタキシャル薄膜に、電流-電圧特性を評価するためのブッリジ構造(傾角粒界接合)を形成。ピンク色の線がバイクリスタル基板の傾角粒界部で、上図はそこを介して形成される傾角粒界接合の拡大図

 その結果、臨界電流密度は9度の傾角まで1MA/cm2以上の高い値を保持することが明らかとなった。

 図2:(a)傾角粒界接合における臨界電流密度の傾角依存性、(b)傾角粒界接合と粒内ブリッジ(傾角粒界を含まない部分)との比。MgO、LSAT両方の傾角粒界接合で同様の傾向が観察され、図中矢印の臨界角9度の傾角までその1MA/cm2を超える臨界電流密度が維持されることが明らかとなった。この臨界角は銅系酸化物(3~7度)よりも大きい

 この臨界角9度は、銅酸化物の代表例であるYBCOの臨界角より大きいほか、その高い傾角側で臨界電流密度が減少する割合にも銅酸化物と違いがあることが分かった。その結果、30度以上の大傾角粒界においては、4Kにおいて銅酸化物を凌ぐ臨界電流密度を有することが判明した。

 また、形成した小傾角粒界と大傾角粒界の微細構造も調査したところ、上記臨界角以下の小傾角粒界の場合、急峻な常伝導転移が観察され、電子顕微鏡像には傾角粒界に周期的な転位が見られた。

  図3:(a)4度の傾角を有する傾角粒界接合の12Kにおける電流-電圧特性(左)と傾角粒界の電子顕微鏡像(右)。シャープな常伝導転移と周期的な転位(右図中矢印)が観察されている。その転位の間隔は、5nmで傾角から予想される距離と一致する。(b)45度の傾角を有する場合。12Kにおける電流-電圧特性(左)はジョセフソン電流が支配的となり形状が変化する。またこの場合は電子顕微鏡像に転位は観察されない。この45度傾角粒界接合の電流-電圧測定(測定温度16K)では、2GHzのマイクロ波照射下でシャピロステップと呼ばれる周期的な電流ステップが観察され、ジョセフソン接合として動作していることがわかる

 これは傾角粒界の傾角から予想される周期と一致したが、大傾角粒界の場合は、ジョセフソン素子として傾角粒界接合が動作することで、電流-電圧特性の形状が変わり、またマイクロ波照射で電流ステップ(シャピロステップ)が観察されたほか、この大傾角粒界の場合は電子顕微鏡像に転位が一切観察されなかったという。この理由はその傾角から予想される転位間隔がBaFe2As2の格子定数とほぼ一致するためであるとしている。

 これらの観察と分析から、作製したバイクリスタル基板上のCo添加BaFe2As2薄膜の傾角粒界部には不純物の析出は一切無く、利用したバイクリスタル基板の傾角に対して、理想的なBaFe2As2の傾角粒界接合が形成されていることが明らかとなった。

 この結果、鉄系超伝導体は銅酸化物よりも高い臨界角を有することから、薄膜線材にする際には、かなり低いスペックである9度以下の配向度を持つテープ基板で良いことが示唆された。実際に5度以上の面内配向度を有する金属テープ基板上(米国 ロスアラモス国立研究所のマティアス博士の研究グループ提供)に、同じパルスレーザー堆積法を用いてCo添加BaFe2As2薄膜を作製し、その超伝導特性(抵抗率と臨界電流密度)を評価したところ、単結晶基板上の試料と比較して超伝導転移の温度幅が広いことが判明した。

 図4:5度以上の面内配向度をもつ金属テープ基板上に形成されたCo添加BaFe2As2薄膜の超伝導特性(赤)。比較のために単結晶上の試料の特性(青)も示す。挿入図は用いた金属テープ基板の面内配向度とCo添加BaFe2As2薄膜の2Kにおける電流密度-電圧特性。その試料もすべて1MA/cm2以上(最大3.5MA/cm2)と、単結晶基板上の薄膜と同等の臨界電流密度を有している

 これは柔らかい金属テープ基板の場合は薄膜成長時の加熱が不均一になり膜組成に不均一が生じているためと思われるが、その臨界電流密度はどれも単結晶上の試料と同等の1MA/cm2を超える高い値(最大3.5MA/cm2)を示しており、これにより鉄系超伝導体は、面内配向度が9度以下の基板を使えば、高い臨界電流密度を示す薄膜線材の作製が可能であることが実証されたこととなった。

 なお、研究グループでは、線材への応用を図る際にキーとなる結晶どうしの傾角粒界において、異方性が小さい鉄系超伝導体の本質的な優位性が明らかになったことで、今後この傾角粒界の微細構造や歪みの詳細な解析等が進み、今後さらなる高い臨界電流密度を得るために、鉄系超伝導体に最適な人工ピンの探索と効果的な導入方法などの研究が加速していくと思われるとするほか、今回の結果は金属テープ基板を製作する際に、これまでの銅酸化物形超伝導体による制約を軽減することにつながり、薄膜線材の低コスト化につながり、特に低温で強い磁場を発生するマグネットへの応用が期待されるとしている。

ETロボコン2011 東京地区大会

ETロボコン2011 東京地区大会  

 9月23日・24日に新宿の工学院大学で「ETロボコン2011 東京地区大会」が開催された(画像1)。初日はAブロック42台、2日目はBブロック40台によってチャンピオンシップ大会進出を目指して熱いバトルが繰り広げられた。チャンピオンシップ大会は11月16日(水)にパシフィコ横浜で行われ、全国11地区大会の上位選手によって競われる。東京地区大会はA、Bブロックそれぞれの上位5位までと特別賞を加えた計12チームが参加する形になる。

 画像1。ETロボコンはレゴ・マインドストームNXTを使用して、ソフトウェアの完成度(NXTの管理も重要だが)を競う組み込み技術者の育成をも目的としたコンテストだ。同じハードでも、ソフト次第でこうも挙動が異なるというのを見られるところが面白さの1つ

 ETロボコンは、国内の組込技術の初級技術者を中級技術者へのレベルアップを目的として開催されている、人材教育系ロボコンだ。全チーム「レゴ・マインドストームNXT」による平行2輪倒立振子型ロボット(走行体)を同一ハードウェアとして使用し、タイムを競うと同時にモデリング手法によるシステム(プログラム)の完成度で勝負する競技。

 競技は、2チーム同時に走ってタイムを計測する。制限時間は2分。コースはインとアウトでレイアウトが異なり、インとアウトを入れ替えて2回走って、そのタイムの合計が走行競技の得点となる。コースは白地に黒地のラインが描かれており、走行体は光(赤外線)センサ1つでそれをトレースして走行していく。いわば、ライントレース競技的な一面もあるのである。

 今年のコースの特徴は、前半がストレートと複数のコーナー、坂道のアップダウンで構成されたシンプルな「ベーシックコース」(画像2・3・4・5・6・7)となっており、後半に難所が集中して用意される形となった。ベーシックコースを通過すればその時点で完走ということになる。難所に挑んだ場合、仮に失敗してもボーナス(完走タイムから規定の秒数が引かれる)が入らないだけというルールだ。難所は昨年のようにスキップするようなルートは用意されておらず(「ET相撲」のみはスキップ可能)、手前から順にクリアしていかないとならない。

 画像2。コースレイアウト全景。画面右上がスタート視点で、中央下のピンクの帯の部分がベーシックコースのゴール。ここまで来れば完走扱いとなり、後はどれだけ難所を成功させてボーナスタイムを稼げるか、という流れになる

 画像3。コースをスタート地点から撮影。ベーシックコースは意外と入り組んでいて距離があるのだが、速い走行体だとゴールまで30秒台で走ってしまう

 画像4。スタート地点。手前がアウトコース。ベーシックコース終盤ではコーナーの内側に入ることもあるが、外側を回る回数が多いため、インコースよりも前でスタートする

 画像5。ベーシックコースの中では難所となる、坂道。昇るよりも、下りでブレーキをかける時の方が難しいようで、不安定な挙動を見せる走行体もチラホラと見られた

 画像6。第1コーナー。スタートに成功して坂道をクリアした走行体なら、ここは難なくクリアしていく

 画像7。連続ヘアピンの2つ目。ここら辺はコーナーのRがキツイため、中にはコースアウトしてしまう走行体もある

 難所の種類は、インコースは「シーソー」(画像8・9)、「階段」(画像10・11)、「ガレージイン」(画像12・13)の3つ。アウトコースは「ルックアップゲート」、「ET相撲」、「ガレージイン」の3つ。シーソーは1回クリアする「シングル」がボーナスタイム10秒。そして、1度ガッタンといった後にバックしてガッタン、さらに前進してもう1回ガッタンと行く「ダブル」は20秒のボーナスタイムだ。階段は2段あって、2段上った後に一気にドスンと着地して完全にクリアすると15秒。両コース共通のガレージインは5秒だ。

 画像8。インコース1つ目の難所のシーソー。普通に通過するシングルと、1回クリアしても降りずにバックして2回通過するダブルがあり、当然ダブルの方がボーナスタイムが高い。ダブルは2日間で1チームだけ決めていた

 画像9。シーソーまでたどり着けるチームはそこそこあったが、難所だけあり、クリア率はあまり高くなかった模様。失敗するパターンとしては、昇る時にの段差で進行方向が逸れてシーソーから転落というケースや、シーソーから降りた時の衝撃で斜めを向いてしまってコースアウト、障害物にぶつかって転倒というケースがあった

 画像10。インコース2つ目の難所の階段。実は、シーソーよりも難しいという意見も。勢いだけで2段を連続で行こうとすると転倒してしまうことが多い。1段上ったら一度速度を落として走行体を安定させ、それから2段目に挑戦すると成功率が高いようだ

 画像11。2段目を昇った直後。昇る時の段差に対して、降りる時は2段分なので、その分衝撃が大きい。降りて安定して走り出すまでは手に汗にぎるような状態である

 画像12。ガレージインは、インもアウトも並んでいるレイアウトとなっている。ガレージイン直前のラインが黒からグレーに変わるゾーンがあるので、それで判断する仕組み。ガレージを形作っているブロックに接触すると、失敗である

 画像13。きっちりとガレージインしたところ。アウトコースはET相撲をスキップできるため、最初からET相撲に挑戦しないと割り切ってしまえば、ガレージにたどり着ける率は高い。イン側はシーソーと階段をクリアしないとならないため、ほとんどのチームがガレージインできなかった

 そしてアウトコースの「ルックアップゲート」(画像14・15)は今年初登場で、いわゆるリンボーダンスのようなもの。高さ235mm、幅320mmのゲートで、そのまま直進すると走行体の頭部が接触する低さ。それを後方斜め45度に走行体を傾けた体勢(転倒防止用の補助輪が降ろされて支える)で前進し、ゲートをクリアするのである。ボーナスは10秒。

 画像14。アウトコースの最初の難所、ルックアップゲート。リンボーダンス体勢で通過するような感じ。ゲートがあることを認識できず、そのまま突っ込んで倒してしまうチームも多かった

 画像15。尻尾を降ろして後方に機体を傾ける形で、ゆっくりとゲートを通過していく。倒し方が足りなくてわずかに接触してしまうような場合も。突破するチームはもちろんあったが、突破率が高いといえるほどではなかった

 ET相撲(画像16・17・18)も今年初登場だ。ラインが分岐してループを描いているエリアがあり、そのループの中央にグレーに塗られたエリアがある。そこに1リットルサイズのペットボトルが置いてあり(そのエリア内なら好きな場所に置ける)、それを「押し出す」か「押し倒す」とボーナスだ。押し出した場合は25秒、押し倒した場合は15秒だ。

 画像16。ET相撲エリア。このグレーのエリア内なら好きな位置にペットボトルを置いてよい。ペットボトルを認識するだけでも難しく、見つけてぶつかっていって押し出したはいいが、そのまま自分も転倒したりコース外に転落したりするケースも見られた

 画像17。ET相撲で押し出しに成功したところ。ペットボトルは倒れやすいため、丁寧に押していかないと「押し倒し」になる可能性が高い。よって、押し出しはボーナスタイムが25秒と非常に大きい

 画像18。ET相撲の押し出しが決まった場面。ET相撲そのものに挑戦できたチームが少ないため、押し出しだけでも大きなアドバンテージとなっていた。ガレージインを捨て、ここで自分自身が倒れてしまったり、コースに復帰できないのを覚悟でペットボトルを押し出したり倒したりする取捨選択を考えたチームもあった

 ちなみに、速いチームだと30秒台で完走するので、インもアウトも最大で40秒マイナスできることから、すべての難所を成功させると、マイナスのタイムも出る可能性があるのだ。ちなみに今年の東京大会のトップタイムは、インもアウトも10秒を切るタイムが出ている。

コンピュータアーキテクチャの話 (238) Hツリーを用いたクロックの分配手法(2)

コンピュータアーキテクチャの話 (238) Hツリーを用いたクロックの分配手法(2) 

 2段目のH-Treeはメタル7の横棒が片側0.67mmで、抵抗が148Ω、容量が0.13pFとなる。Hの縦棒の半分は0.67mmで、抵抗が258Ω、容量が0.13pFである。この回路をLTSpiceでシミュレートしてみると各点の波形は図2.11のようになる。台形の波形が入力波形で、次の波形がHの横棒の端で、最後の波形がHの上端の波形である。なお、この2段目のH-Treeの回路モデルではインダクタンスは無視している。

 図2.11 第2段のH-Treeの回路シミュレーション結果

 図2.11から見ると、H-Treeの遅延時間は50ps程度であるが出力側の波形が鈍っており、380psの周期では振幅が減少してしまっている。このように波形が鈍ると、次のバッファが0/1を判定するスレッショルド電圧が、製造ばらつきで中心の0.5Vから+/-0.1Vばらつくと、クロックのタイミングが+/-20ps程度ずれてしまうことになる。このため、クロックとしてはよりシャープな立上り(と立下り)が欲しい。

 メタル7とメタル6のH-Treeの配線幅を4倍として、配線容量は1.9倍と見込んで同様に回路シミュレーションを行うと図2.12のようになる。

 図2.12 配線幅を4倍とした第2段H-Treeのシミュレーション結果

 図2.12では遅延時間は25ps程度に短縮され、H-Treeの端でもフル振幅が得られている。そして、次段のバッファのスレッショルド電圧が0.1Vずれてもタイミングのずれは5ps程度と、まあまあの波形であると言える。

 この場合、2段目のH-Treeの全配線長は4mmで配線容量は1.52pF、駆動するバッファのエフォートは1,520,000である。これは各段のエフォート4.15で10段のインバータで実現でき、バッファの遅延時間は129ps程度となる。そして第3段のH-Treeは3倍の線幅のメタル7とメタル6で構成すると、配線の遅延は12ps程度、バッファの遅延は125psとなる。

 H-Treeの根元を駆動する第1段のバッファの出力から、20ps(H-Tree第1段)+129ps(第2段バッファ)+25ps(H-Tree第2段)+125ps(第3段バッファ)+12ps(H-Tree第3段)=311psとなる。つまり、この設計では、基準点から4mm角の領域内の64カ所に300ps程度の遅延でクロックを分配することができる。

 クロック分配の遅延時間は、分配する領域の大きさや使用できるメタル配線の抵抗や容量によって大きく変わるので一概には言えないが、前の例に見られるように数100ps程度になる。

 そして、バッファも配線も製造ばらつきがあり、各要素の遅延時間は+/-30%程度ばらつく。このばらつきが相関の無い正規分布であると仮定すると、全体の遅延時間のばらつきは、各段のばらつきの2乗和のルートとなり、0.3×SQRT(t1×t1+t2×t2+…+tn×tn)となる。前の例では合計20段のインバータと3段のH-Treeがあり、計算を簡単にするために全部の段が同じ遅延時間とすると、1段あたりの遅延は13.5psとなる。そして、前の式は0.3×SQRT(23)×13.5psで19.4psとなり、3段目のH-Treeの端点でのクロックSkewは+/-19.4psと見積もられる。

 後述のように、さらに最終分配系が必要であるので、プロセサ全体としてはその部分の遅延時間のばらつきも入れる必要があるが、H-Treeクロック分配系のSkewは、384ps(2.66GHz)のクロックの場合サイクルタイムの+/-5%程度ということになる。ここにあげた設計もSkewによるクロック周波数のロスは約10%で使い物にならないというほど悪い設計ではないが、後述のようなテクニックを使い、現在のマイクロプロセサではより小さなクロックSkewを実現している。

 なお、ここで用いたFastHenry2はhttp://www.fastfieldsolvers.com/から無料でライセンスされているフィールドソルバーである。このパッケージにはFastCap2という寄生容量のソルバーも含まれているが、LSIの配線の場合は絶縁物の誘電率が一様ではなく、どのようになっているかが分からないので、正確な計算は難しい。

 LTSpiceは、アナログ系のLSIの大手メーカーであるLinear Technologyが無料でライセンスしている回路解析プログラムである。狙いとしては同社の製品のLSIを使う設計が出来るようにすることであると思われるが、その他一般の回路設計に使っても良いというラインセンス条件になっているので、ここで示したような使い方もできる。

 回路解析機能とここに示した出力表示に加えて、回路図を入力するスケマティックエディタも付属しており、通常の回路解析には十分な機能を備えている。また、マルチコア並列化もなされており、マルチコアCPUを持つPCで動かすと自動的に全コアを使って並列処理してくれる優れものである。業界標準のSynopsysのHSPICEと比較すると不足している機能もあるが、HSPICEは数10万円程度のライセンス料がかかるのであるが、それが無料であるから贅沢は言えない。

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上原健二
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