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「あかつき」の噴射テストは9月7日と14日に実施、使用可能かどうかの判断に
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月5日、金星探査機「あかつき」(PLANET-C)が実施する軌道上噴射テストについて説明会を開催、詳細を明らかにした。予定している噴射回数は2回。これがうまくいけば、当初予定していた金星の観測軌道へ投入する見通しが得られることになる。
「あかつき」の模型を使って説明するJAXA宇宙科学研究所・宇宙航行システム研究系の石井信明教授(JAXAの中継映像より)
OMEが使えるかどうかで最終軌道が変わる
「あかつき」は2010年5月に打ち上げられた日本初の金星探査機。同年12月、金星周回軌道に入るための逆噴射を実施したものの、機体の姿勢が大きく乱れたことにより噴射を中断、減速が足らずに金星を通過してしまった。このとき何が起きたのか、詳しくは6月末に調査報告が出ているので、それに関しては別記事を参照して欲しい。
現在、「あかつき」は太陽を周回する軌道を飛行中。2015年に金星に再会合するためには、今年11月に軌道変更を実施するのが都合が良いが、「あかつき」の軌道制御エンジン(OME)はスロート(一番細くなっているところ)付近で破断し、ノズルの大部分が失われていると推測されている。軌道変更にこのOMEを再び使うことができるのかどうか、それを調べるのが今回の噴射テストの目的である。
OMEの噴射テストの結果から、2通りの方針のうち1つを選ぶことになる
もしOMEが使えそうなら(ケース1)、計画通りの金星周回軌道への投入が可能となる。ノズルがなくても、スロートが残っていれば燃焼室の圧力は維持でき、推力の発生は可能。もちろん万全とは言えないが、昨年の噴射で異常が発生したあとも、定格の6割である300N程度の推力は確認されていた。早めに噴射が中断し、推進剤(燃料+酸化剤)が十分残っていたことも幸いした。
しかしOMEが使えないとなると状況は厳しい(ケース2)。本来、軌道制御用ではない姿勢制御エンジン(RCS)を使うことになるが、推力が小さい上に、燃費も2液式のOMEに比べると良くない。RCSでは不要になる酸化剤(RCSは1液式なので燃料のみを使う)を捨てて探査機を軽くしたとしても燃料が足らず、金星の周回軌道までは投入できるものの、観測に適した軌道までは到達できない。
ただし、もしOMEが使えるということになっても、依然として耐久性には不安が残る。長時間の噴射に耐えられるのか。さらに壊れることはないのか。これについて、現時点では何とも言えないが、軌道変更のチャンス(近日点)は今年11月だけではなく、来年6月にもある。11月にもしOMEの破損によって失敗したとしても、ケース2に切り替え、来年6月に再チャレンジすることも可能だろう。
2回の噴射テストで制御ロジックを構築
噴射テストはまず、1回目を9月7日に実施する。この時はまだ横推力などの姿勢外乱がどのくらいになるのか分からないため、噴射時間は2秒に抑える。
OMEの噴射で懸念されているのは、姿勢外乱の大きさである。OMEはスロート付近で破断していると考えられており、その影響によって燃焼ガスは軸方向だけでなく横方向にも漏れる可能性がある。これが横推力となり、探査機の姿勢を乱す原因となるのだ。
1回目のテストで外乱の強さを定量評価。それを受けて制御のパラメータを決定し、9月14日に実施する2回目の噴射テストで検証する。噴射時間は20秒を予定しており、RCSで姿勢を維持しつつOMEで推力を出せるかどうかを試す。昨年のOME噴射中に異常が起きたときにも横推力が観測されていたが、これと同程度の大きさであればRCSの姿勢制御能力で抑えられる見通しだ。
噴射テストの考え方。9月中に2回実施する
ちなみにこの噴射テストを9月に実施するというのは、11月の軌道変更に向けて検討する時間が必要ということもあるが、軌道傾斜角の変更にちょうど良いタイミングであったという理由もある。これはもともと再会合のために必要なものだったので、噴射テストでついでに実施すれば大事な推進剤を無駄にしなくてすむ。そのため、2回の噴射テストはOMEを軌道面に対して上下方向に向けて実施する。
噴射の開始時間は2回とも11時50分(日本時間)の予定で、同日夕方までには結果が分かる見通し。ただしこの時に分かるのは噴射したかどうかくらいで、推力や外乱がどのくらいだったかの評価はデータを詳しく解析してからになる。前述のケース1と2のどちらで行くか、決定するのは今月末~10月頭くらいになる見込みだ。
11月の近日点で400秒程度噴射、遠日点を金星軌道近くにまで下げる
同日会見したJAXA宇宙科学研究所・宇宙航行システム研究系の石井信明教授は、「なるべく早く、金星観測が実施できる軌道に投入できるよう、全力を尽くしたい。昨年の金星投入に失敗したあとも、探査機の健全性は確認できている。エンジンに関しては地上試験で様々な可能性を検討してきた。そのデータを有効に活用しながら、万全の体制で臨みたい」と意気込みを述べた。
産総研、安価なセンサとマイコンでサーバの消費電力量の見える化を実現
産業技術総合研究所(産総研)は、安価な電力計測器の開発と、それを用いた電力可視化システムを産総研内の計算サーバ室に構築したことを発表した。
これは同情報技術研究部門 スマートグリッド研究グループ 村川正宏 研究グループ長および計測標準研究部門 電磁気計測科 昆盛太郎研究員らの研究グループによるもので、開発された電力計測器は1台で4点の同時測定が可能なもので、市販のクランプ型電流センサと安価な1チップマイコンで構成されており、、量産した場合、計測点1点あたり2,500円程度のコストで製作できるという。
産総研が開発した電力計測器(左:全体、右:信号処理部、信号処理部サイズ:W90mm×D45mm×H25mm)
また国家標準に基づいた校正システムであり、電力計測器の精度を保証することができ、実際に電力計測器を評価したところ誤差は1%程度で、低コストながらも十分な精度が得られているが確認されたという。
加えて研究グループでは、同電力計測器の計測値をインターネット上のクラウドサーバに収集、蓄積する電力可視化システムを構築。クラウドサーバ(Google App Engine)を利用することで、合計249点を計測し計算サーバごとに使用電力を可視化するシステムを短期間で構築したという。
電力可視化システムの全体構成
今回の開発においては、以下の4点を基本方針とした開発が行われた。
電力不足が本格化する夏までの短い期間で迅速に立ち上げる既存の技術を活用し確実に動作するシステムとする安価な市販電子部品を用いて、できるだけ安価な電力計測器とする測定点が後からでも容易に増やせるスケーラブルな構成とする
具体的には産総研では節電対策として、所内の主要な計算サーバを、1カ所の計算サーバ室に集約することで、排熱に対応した空調の集中による効率の向上を図っている。今回、この計算サーバ室に集約されたサーバごとの使用電力を計測し、サーバの利用者がリアルタイムで視認できるシステムが構築された。
システムは主に、(1)電力計測器、(2)データ収集器、(3)データ収集サーバ、(4)可視化アプリケーションで構築されており、このシステムの規模は、電力の測定点が249点(電力計測器を66台、配置の関係で4点すべてで計測を行っていない電力計測器もあり、データ収集器は4台で構成)となっている。
なお、産総研では、計算サーバ室内のサーバごとの電力使用量が可視化されたため、計算サーバ室の空調に要する費用についてもサーバの使用者に対して電力使用量に応じてそれぞれ可視化することを検討しており、これにより、サーバ使用者の節電意識をより喚起し、節電につなげたいとしている。
また、データセンター内機器の電源断制御による省電力化に、今回開発した使用電力情報収集技術を応用することも検討しているという。これはデータセンターが処理する仕事量の変動に合わせて、稼働する機器を自動的に増減して消費電力を調整する技術との連携であり、具体的には、仕事量が減ったときに一部のサーバに仕事を高速に集約し、残りのサーバの電源を落とすことで全体として省電力化を図り、この集約化のスケジューリングに各サーバの電力使用状況をリアルタイムにフィードバックすることで、さらなる集約の効率化および消費電力量の削減が期待できるという。
京大、放射線からDNAを修復するたんぱく質「NBS1」についての新発見
京都大学は9月2日、放射線の修復たんぱく質「NBS1」による「RAD18ユビキチン酵素」を介した損傷乗り越えDNA合成の開始について発表を行った。同大学放射線生物研究センター教授の小松賢志氏や同研究員の柳原啓見氏らによる発見で、成果は科学誌「Molecular Cell」電子版に掲載された。
電離放射線感受性や高発がん性を特徴とするヒトの遺伝病「ナイミーヘン症候群」。原因遺伝子はNBS1だが、このNBS1は放射線照射による最も重篤なDNA損傷であるDNA二重らせんの切断に対して再結合を行うこと、再結合の間は細胞増殖を停止させる機能を有することも判明している。また、コンパクトに折りたたまれたDNAを再結合に先立って解きほぐすのにも、このNBS1だ。
そして、日光(紫外線)過敏症および日光暴露部位からの皮膚がんを呈するヒト遺伝病の「色素性乾皮症バリアント」。その原因遺伝子は、損傷乗り越え型のDNA複数酵素「Pol eta」(ポリメレース・イータ)である。通常のDNA複製酵素からのこのPol etaへの変換にはRAD18ユビキチン酵素が必須だ。
こうした発見が積み重ねられてきているわけだが、RAD18が紫外線による損傷をどのようにして認識するのかについては、DNA結合たんぱく質「RPA」が重要であるとする報告もあったが、矛盾点もあり、未解決のままだったのである。
研究グループでは、ナイミーヘン症候群の患者の細胞内には、放射線感受性に加えて紫外線感受性を示す者がいることを発見。解析の結果、通常のRAD18は「RAD6」と結合して活性化されるが、NBS1はそのRAD6と似たDNA構造をしていることがわかったのである。紫外線照射を受けると、NBS1がRAD6に代わってRAD18ユビチキン酵素と結合、そして紫外線損傷部位にRAD18ユビキチン酵素をリクルートする。これにより、損傷部位で通常のDNA複製酵素から損傷乗換型酵素のPol etaへの交換が起こり、損傷乗り越え合成が始まるというわけだ。
逆にNBS1が欠失すると、RAD18ユビチキン酵素およびPol etaは損傷部位に集まらず、損傷乗り越え合成が進まない。その結果として、紫外線高感受性になってしまうのだという。
放射線は生物にとって最も重篤なDNA損傷を発生する。このため、DNA機構修復機構のみならず、修復期間は細胞増殖を停止させる機構など、複数の機能の協調的な刺激が必要だ。NBS1は、DNA修復、細胞増殖停止、DNA構造の弛緩、そして今回発見された損傷乗り越え合成の制御など、実に多くの機能を持つ。そのため、これらを統一的に行わせるコーディネート(指令)たんぱく質である可能性が高いとする。
また損傷乗り越え合成は、制がん剤のシスプラチン処理からの細胞修復や、免疫多様性獲得のためのクラススイッチ機構に重要であることが知られており、このためコーディネートたんぱく質NBS1機能を阻害させる方法を開発することで、放射線治療や抗がん剤の増感や免疫機能を人工的に低下させるといった医用応用が期待されているとした。
そして残る謎が、修復たんぱく質の起源。電離放射線は1895年のレントゲンによるX線の発見からまだ110年あまりの歴史しかなく、それにも関わらず発見時に既にヒトの細胞は電離放射線から防護するDNA修復機構が存在しており、その点は未解明となっている。
生物は放射線照射を一度に多量に受けると障害が大きいが、ゆっくりと時間をかけて受けた場合は、障害が少ない。DNA二重鎖切断の修復機能が働くからだ。
電離放射線のたんぱく質として知られるNBS1が、紫外線(太陽光)によるDNA損傷にも機能をしていることを示した今回の発見は、電離放射線の修復機構の起源を探る重要な手がかりとして期待されているとした。
放射線の修復たんぱくNBS1の機能
凸版印刷、さまざまな形状に製造可能なNFC対応ICタグを9月中旬より発売
凸版印刷は9月2日、多種多様な形状に加工可能な近接型無線通信方式「NFC(Near Field Communication)」に対応したICタグを開発し、2011年9月中旬から販売を開始するとした。ターゲットは、コンサートのチケッティングやアミューズメント施設の入館管理、ガソリンスタンドのID認証など幅広い用途に向けている。
今回開発されたのは、ISO14443-TypeA、FeliCa、ISO15693の3種類の方式に対応した、高感度で高耐久性を有する小型アンテナ。小型のため、タグ自体の小型化や各種形状への加工を可能にし、携帯電話クリーナーなどへの一体化高なども実現した。さらに、顧客用途に合わせた幅広いシーンでの利用可能なNFC対応ICタグを製品化し、カスタマイズ対応していく予定だ。
若年層を中心に、携帯電話やキーホルダーにぶら下げたり、リストバンドとして身につけたりするなどのカジュアルに使うニーズが拡大していることから、今回の開発では、既存のプラスチックカード型に加えて、キーホルダー型やリストバンド型などバリエーションを豊富にした点が特徴だ。
NFC市場に関しては、今後、リーダ/ライタ機能を持つNFC対応携帯電話やスマートフォンの普及が予想されており、2015年には国内の携帯電話の約半数となる5900万台がNFC対応になることが見込まれている。そのほか、NFC搭載端末やこれらを活用したサービスの普及に伴い、NFC関連市場は2015年までに累計300億円規模になるという。同社としては、今回の製品で2012年に1億円の売り上げを目指すとした。
さらに同社の今後の展開としては、非接触IC決済サービスのpaypass、Visa payWaveなどの電子マネー対応ICタグ製品の開発を行っていくとしている。
今回のNFC対応ICタグは、顧客用途に合わせた幅広いデザインに対応可能となっているのが特徴
浜松ホトニクス、放射線検出モジュール「C12137」の製品出荷を12月から開始
浜松ホトニクスは9月1日、ガンマ線検出を目的とした放射線検出モジュールの新製品「C12137」を発売するとした。2011年10月1日から可搬型やインライン型などの用途向けとして、国内の放射線計測装置メーカーにサンプル出荷を開始、2011年12月から製品出荷を開始する予定としている。
福島第一原子力発電所が大規模な放射性物質漏洩事故を起こしたことから、非常に放射線に対する不安が高まっているのが現状だ。そのため、放射線測定器の供給不足が伝えられているという。
放射線測定器には個人用途から分析用途まで機能や精度が異なる測定器があるが、同社は核種同定定量評価の分析・解析用途や、モニタリングなどの環境計測用途向きの高感度で高エネルギー分解能が要求される光電子増倍管を、学校教育支援用の簡易放射線測定器や個人被ばく管理などの計数のみの用途には小型のものを、安価な光半導体素子のSi PINフォトダイオードを測定器メーカーに供給中だ。
しかしながら、光電子倍増管とSi PINフォトダイオードの中間に当たる素子がなく、可搬型高感度検出器や製造現場における受入検査やライン監視、出荷検査といったスクリーニングなどの計数のみの測定用として、高感度でいて従来よりずっと安価なものが希求されていた。そこで開発されたのが、今回の両社の特徴を併せ持つ同社独自の高感度半導体光検出素子「MPPC」(Multi Pixel Photon Counter)を搭載したC12137というわけである。
特徴は、前述したようにMPPCを搭載していること。MPPCは、高感度でエネルギー分解能が高い光電子増倍管と、小型で安価な光半導体素子のSi PINフォトダイオードの両者の特徴を併せ持っている。光電子を100万倍程度に増倍して極微弱光を検出することが可能な一方で、小さく薄い外見を持つことから、高精度な測定器の小型化、モバイル化も可能だ。
また、放射線測定の検出効率に大きく影響するシンチレータのサイズだが、搭載されている「CsIシンチレータ」は13mm×13mm×20mmという大きさ。MPPCはCsIシンチレータと組み合わせているため、放射線に対する感度が高く、短時間での性度の高い計測を可能としている。
さらに、MMPCはSi PINフォトダイオードと比較してSNが50倍程度改善され、低エネルギーのガンマ線計測が可能。放射性物質のエネルギー弁別に必要とされる30KeVの低エネルギーのガンマ線計測ができるため(上限は2MeV)、セシウム137やヨウ素131などの放射性物質の判別を行える点も特徴だ。エネルギー分解能は8% セシウム137 662keV、測定範囲は0.01μSv/h~20μSv/hとなっている。
それから、測定器に組み込みやすい点もポイント。計測に必要な信号処理回路やバイアス電源、A/D変換器を、111mm×55mm×30mmというコンパクトな筐体に内蔵している。しかも、USBからの電源供給のみで動作するため、各種装置への放射線測定機能の込み込みが容易だ。
今後は、スループットの良いインライン測定器向けに、シンチレータの体積や形状変更の要求に対応することも検討中とした。
放射線検出モジュールの新製品「C12137」