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リコーとアルテック、DDMサービスで業務提携
リコーとアルテックは4月14日、3D プリント関連サービス「RICOH Advanced Direct Manufacturing Services」における協業を発表した。
これは神奈川県厚木市の「RICOH Rapid Fab 厚木」を拠点とし、クライアントの工場で利用する治具や型などのツール類、製品に組み込む部品を3Dプリンタで直接製造するDDM(Direct Digital Manufacturing)をサービスとして提供するというもの。同拠点では専門の技術者と複数の3Dプリンタを10台程度配置することで、さまざまな材料による造形を可能とし、特殊な材料を利用した部品や小ロットの生産にも対応できる体制を構築する。
リコーは自社工場で培ったDDMのノウハウを活かし、クライアントへのコンサルティングから3Dデータの設計、造形までを提供することで製品を市場に出すまでの時間短縮や製品自体の付加価値向上に貢献するとしている。アルテックは、同サービスのニーズの掘り起こしと国内製造業を中心とした顧客への販売も行い、スタラタシス・ジャパンが技術面をサポートする。
「RICOH Rapid Fab厚木」の設備
マツダ、ロードスターのデザインを取り入れた自転車を公開
マツダは4月14日、イタリアのミラノで開催される「Mazda Design クルマはアート」に先立ち、独自デザインの自転車「Bike by KODO concept」やソファ「Sofa by KODO concept」などの作品を公開した。
「Bike by KODO concept」は、自転車本来の美しさを追求した作品。パーツ数を極力抑えたシンプルな構造をベースに、1枚の鉄板からたたき出し丁寧に成形したフレーム、「マツダ ロードスター(海外名:MX-5)」と同じ意匠の赤色ステッチを施した手縫いの黒革サドルを採用した。
Bike by KODO concept
「Sofa by KODO concept」は、マツダのデザイナーとイタリアの家具職人の共同作業により生まれた作品。マツダデザインと、伝統に裏打ちされたイタリアのクラフトマンシップを融合し、マツダ車に共通する力強いスタンスを表現しながら、「マツダ CX-3」に特長的な研ぎ澄まされた造形をもつソファとなっている。
Sofa by KODO concept
同社は「世界の優れたデザインが集まるミラノにおいて、私たちのデザイン領域における新たな取り組みを紹介させていただくことは、マツダデザインの存在感を高めるとともに、マツダブランドの強化につながると考えています」とコメントしている。
大和ハウス工業、ロボットスーツHAL3商品を同時販売-作業支援用も現場実証
大和ハウス工業は4月13日、CYBERDYNEが開発・製造する「ロボットスーツ HAL(HAL)」の3商品を5月1日より販売開始すると発表した。
「ロボットスーツ HAL」は皮膚表面から、生体電位信号を読み取り、装着者の思った通りに動作をアシストするロボット。介護・福祉施設などに向けてリース・レンタルされており、これまでに約160施設で計約360台が稼働している。今回、「自立支援用(下肢タイプ)」「自律支援用(単関節タイプ)」「介護支援用(腰タイプ)」の3商品が発表された。
まず、「自立支援用(下肢タイプ)」は下肢に障がいがある人や、脚力が弱くなった人の動作をサポートするためのロボット。S・M・Lの3サイズがあり、身長150~190cmまで利用が可能で、重量はバッテリーを含めて約14kgとなっている。レンタル料金は18万8000円/月(税別・5年レンタルの場合)。
「自立支援用(下肢タイプ)」
「自立支援用(単関節タイプ)」は膝や肘に装着するトレーニング用のロボットで、1.5kgと軽量だ。座った状態や寝た状態で使用が可能なため、自由度の高いトレーニングを行うことができる。レンタル料金は両側セットで初期導入費用に40万円、その後13万円/月の費用が発生する(税別・5年レンタルの場合)。なお、サイズは1サイズのみ展開される。
「自立支援用(単関節タイプ)」
「介護支援用(腰タイプ)」は介護者の負担を軽減するロボットで、腰に装着することで腰部にかかる負担を軽減でき、腰痛などの身体に係るリスクを軽減することができる。レンタル料金は初期導入費用10万円のほか、7万8千円/月の費用がかかる(税別・3年レンタルの場合)。
「介護支援用(腰タイプ)」
大和ハウスはこれらのほか建設現場で働く職方の重作業負荷を低減する「作業支援用(腰タイプ)」の現場実証を開始することも発表した。2015年5月1日より同ロボットを建設現場などに10台現場に導入し、2016年4月30日までその有効性を検討し、2016年5月より実運用を開始する予定だ。
「作業支援用(腰タイプ)」
周期律表のパズル一つ解明
原子番号103の元素「ローレンシウム」の一番外側にある電子が極めて緩く結合していることを、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構などの国際共同研究チームが初めて確かめた。この論文を掲載した英科学誌ネイチャー最新号は、ローレンシウムのイオン化エネルギーが横に並んだ元素群に比べ低いことを示す元素周期律表の立体的イラストを表紙に掲げ、研究成果の意義を強調している。
nature 2015年4月9日号の表紙(ネイチャー・パブリッシング・グループ)
この研究成果は、日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センターの重元素核科学研究グループ 佐藤哲也(さとう せつや)研究員、浅井雅人(あさい まさと)研究主幹、塚田和明(つかだ かずあき)研究主幹、永目諭一郎(ながめ ゆいちろう)副センター長らの研究グループが、ドイツ・マインツ大学、欧州合同原子核研究所(CERN)などと行った国際共同研究によって得られた。実験に用いられたのは、同機構原子力科学研究所のタンデム加速器実験施設。タンデム加速器で合成された半減期わずか27秒の短寿命同位体ローレンシウム256のイオン化・質量分離に成功、このデータからローレンシウムのイオン化エネルギーの値を初めて導き出した。
ローレンシウムは、アクチノイドと呼ばれる原子番号89から103までの元素群の中で最も重い元素。アクチノイドは、米国の化学者、グレン・シーボーグが命名者で、属する元素発見のほとんどにシーボーグが関わっている。ローレンシウムの半減期は非常に短いため、化学的・物理的性質は分からないことが多い。現在では10を超す原子番号104以上の元素が国際純正・応用化学連合(IUPAC)によって認められているが、ローレンシウムは長い間、周期律表の最後の元素とされていた。
国際共同研究チームの研究で今回明らかになったのは、最も外側の電子がとても緩く結合していることのほかに、「ローレンシウムでアクチノイド元素群が終了することを初めて実験的に証明した」こと。日本原子力研究開発機構は「シーボーグが1940年代に提唱した『アクチノイド元素群が103番元素で終了する』との予測を、半世紀以上経てようやく実証したことになる」と意義を強調し、「理論によって推測された周期律表のパズルが一つ解けたとも言える」と語っている。
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「113番元素の合成確証」
「銀河系外で初めてアクチノイド元素発見」
東工大、高耐熱性と酸化物半導体並みの移動度を実現した有機半導体材料を開発
東京工業大学(東工大)は4月10日、液晶性を付与した高性能な有機トランジスタ材料の開発に成功し、酸化物半導体(IGZO)並みの高い移動度を実用度の高いボトムゲート・ボトムコンタクト型トランジスタで実現できることを確認したと発表した。
同成果は、同大学 像情報工学研究所の半那純一教授、飯野裕明准教授らによるもの。詳細は4月10日発行(日本時間)の英国科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。
有機トランジスタ用半導体材料の多くは、トランジスタの信頼性や素子間のバラつきの抑制に不可欠な、均一性に優れた結晶薄膜の作製が困難であること、またデバイス作製に不可欠な熱プロセスに対する耐熱性が100℃程度という問題のほか、移動度も3cm2/Vs程度にとどまり、実用的に必要なプロセス適正と高移動度を兼ね備えた材料は実現できていなかった。
一般的に有機トランジスタに用いる有機半導体材料は、低分子系材料と高分子系材料に分けられるが、低分子系材料は精製が容易で、高品質の結晶を得やすい半面、均一で表面平坦性に優れた結晶薄膜を得ることが困難かつ耐熱性が低いという問題がある。一方、高分子系材料は成膜性、耐熱性に優れる半面、結晶性が低く、高い移動度を示す薄膜を得るためには200℃を超える高温での熱処理が必要となるほか、材料の精製、分子量分布の制御、合成の信頼性などの問題点がある。
今回、研究グループは液晶性をトランジスタ材料に付与することで、低分子系材料の課題であった成膜性、耐熱性の改善を実現したほか、酸化物半導体に匹敵する10cm2/Vsを超す高移動度を実現する高性能な液晶性有機トランジスタ材料「Ph-BTBT-10」を開発したという。
具体的には、トランジスタを作製後、配線や素子の保護層の形成などに必要な熱処理プロセスに200℃まで耐えることが可能であることを確認したほか、平坦な結晶膜を容易に得られることも確認したとする。また、作製された結晶薄膜は120℃、5分程度の短時間の熱処理で移動度が約1桁向上することも確認したという。
さらに、同材料のトランジスタ材料としての可能性の実証に向け、5枚の基板に多結晶薄膜を形成し、ボトムゲート・ボトムコンタクト型トランジスタを作製、特性を評価したところ、平均移動度は11.2cm2/Vs(標準偏差1.17、最大移動度13.6cm2/Vs)と高い値を示すことを確認したとする。
研究グループは、今回の液晶性を発現させるという手法について、ほかの低分子系有機トランジスタ材料にも応用可能であり、材料の1つの基盤技術として材料開発に活かすことが可能だと説明する。また、多結晶膜による高移動度の実現により、素子の応用範囲を広げることにつながるとするほか、新しい材料設計の可能性が示されたとしており、今後、これらの知見を活用した高移動度有機トランジスタ材料の開発が期待されるとコメントしている。
今回開発された液晶性有機トランジスタ材料「Ph-BTBT-10」の化学構造
Ph-BTBT-10の多結晶薄膜を用いたトランジスタの動作特性