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惜しまれつつラストランした『北斗星』3月廃止はウソだった!?
3月14日の到着列車をもって廃止となったJRの寝台列車『北斗星』。当日は土曜日ということもあって、終着駅の上野駅13番線ホームは朝から大混雑。警察も出動したほどのフィーバーぶりだった。
ちなみに記者が現場に着いたのは、到着予定時刻の40分ほど前。すでにホームの先頭車両周辺はカメラを構えた鉄道マニアで溢れ、北斗星を直視することもできそうにもない。ホーム最前列で撮影していた男性に後で話を聞くと、「昨晩は上野の漫画喫茶で夜を明かし、駅には4時半に来た」とのこと。
しかも、到着の少し前に来た記者に対して、「鉄道ファンや北斗星を舐めすぎ。最後の雄姿を見たいならもっと早く来ないと!」とダメ出しされてしまった。人よりは多少鉄道が好きなほうではあるが、どうやら考え方が甘かったらしい。
確かに、北斗星がホームに入線すると、カメラのシャッター音に混じって「ありがとう!」などの声援も聞こえる。さらに記者の近くで北斗星を眺めていた50代の男性は目を潤ませ、ハンカチで涙を拭いていた。
声をかけると、「北斗星はこれまで10回以上乗った、特に思い入れの深い列車。大学生の時は1人旅で、結婚後は夫婦や家族の旅行で、出張でも利用したことがあり、いろんな思い出が頭をよぎります。仕方ないことかもしれないけど、残してほしかった」とやはり寂しそうだ。
でも、感動のフィナーレを迎えた北斗星だが、本当は3月で廃止ではない。実は、4~8月も臨時列車として上下線合わせて112本の運行がすでに発表されているのだ。
これについてJR職員は、「14日で廃止なのは、あくまで通常ダイヤで運行される北斗星。この日にはJRのダイヤ改正の初日ですし、マスコミやファンに向けた対外的なセレモニーとしての意味合いが強いんです」と明かす。
現時点で発表されているのは上野発が8月21日、札幌発は8月22日が最後。来年3月開業の北海道新幹線の試験走行やそれに向けた青函トンネルの整備期間を考えると、これが本当の意味での“完全廃止”のXデーと見ていいだろう。
なお、北斗星の予約は運行日の1か月前の10時から。JR各駅のみどりの窓口で行われる。つまり、GW中や夏休みを利用して北斗星に乗るチャンスはまだあるというわけだ。
予約殺到で「最後に乗ることができなかった……」と諦めた人にとっては、これが本当のラストチャンス。延命期間は約5ヶ月。この機会に絶滅寸前のブルートレインの旅を楽しみたいものだ。
(取材・文・撮影/高島昌俊)