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タワレコ主催“第四世界”FINALライブレポ
【STAGE“QUARTETTO”】
主催のタワーレコードと共にBRAHMANがキュレーターを務め、宮古、南相馬、石巻と東北を巡ってきたライヴ・イヴェント〈Bowline 2015〉。その最終公演が4月11日に新木場STUDIO COASTで開催。BRAHMANが掲げた〈第四世界〉というテーマのもと集結した、4人編成というスタイルに誇りと強い信念を持つアクト8組が熱いステージを繰り広げた。
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■RADIOTS
バグパイプが朗々と鳴る雄大なSEを掻き消す地鳴りのようなギターでトップバッターがスタート。さっそく猛者たちの拳が上がり、モッシュ&ダイヴも上等だ。YOSHIYAがマイクを通さず〈パンク・ロック好きか!〉などと熱くアジると、軽快なマンドリンで幕を開ける“TEENAGE IN THE CIGARETTES BOX”に突入。観客からは〈サイコー!〉の声も上がるなかラストまで一気に駆け抜けた。一発目からホットな兄貴節に痺れる!
■FIGHT IT OUT
横浜発ハードコア・バンドのステージは必要最小限の青白い照明のみで、かなり異様な空気に包まれていた。只ならぬムードのなか1曲目“That’s Saggin”をやり終えると、まだ温まり切らないフロアへ殴り込むかのようにヴォーカルのYANGがフロアへ降りて観客を震え上がらせる。すると、凶暴極まりない曲が進むにつれて本気のモッシュが次々に起こり、そのガチなムードにはゾクゾクするほど興奮させられた。最高すぎる。
■COKEHEAD HIPSTERS
鬼気迫る前アクトの雰囲気から一転、ユルめのMCも挿んで会場を和ませたヴェテランのステージは、ニュー・オーダー“Blue Monday”のカヴァーや“TOMORROW”など、タイトでキレのあるプレイを畳み掛ける。現在制作中という新しいマテリアルのなかからギターのカッティングがイカした新曲を披露しつつ、KOMATSUのシャウトにもアガるラストの“TOO DRANK”まで、流石のパフォーマンスで魅せた!
■SLANG
札幌ハードコア界を代表するSLANG。速い・重い・厚い・巧いの4拍子揃ったカオティックながら均整の取れた演奏には度胆を抜かれた。しかし、このサウンドを背にしながらもがむしゃらに情熱をぶつけるのではなく、泰然と舞台を闊歩し熱くシャウトするヴォーカル・KOの佇まいは実にクール。そんな重厚感たっぷりなパフォーマンスながら、彼らのステージや観客への丁寧な礼の尽くし方は素晴らしく、人間性の面でも大変感銘を受けた。
■AA=
後半戦に突入し、AA=は怒涛のデジタル・ハードコアで圧倒! ブロステップの要素も交えた“KILROY WAS HERE”などではヘヴィーなサウンドながらもエモーショナルなヴォーカルによって開放的な空気が生まれ、レイヴィーな“WARWARWAR”あたりではダンスフロアよろしく観客がグワングワンと縦に揺れる。シンセのノイズも強烈な“GREED…”からのラスト“FREEDOM”における拳を突き上げてのシンガロングはなかでも壮観だった!
■怒髪天
そして怒髪天の男祭りがスタート。ゴキゲンなお囃子を聴かせる“酒燃料爆進曲”、〈鳴かぬなら俺は自分で鳴く〉との合唱も泣ける“ホトトギス”など、お馴染みの〈R&E(ロック&演歌)〉はやはり圧巻だ。増子直純の燻し銀MCでもオーディエンスの心を掴む一方、〈男の夕暮れ時〉を歌った“ひともしごろ”ではホロリとさせる一幕も。とんでもない曲展開を見せる締めの“宜しく候”では強烈な一撃を喰らわされた!
■SiM
揃ってのヘッドバンギングで始まったSiMは、“Get Up, Get Up”“Blah Blah Blah”という冒頭の展開で会場のテンションはさっそく沸点に! MAHの扇情的なダンスやSINとSHOW-HATEによるお馴染みのステージアクションでも魅せつつ、“GUNSHOTS”ではみずから振りを手ほどきして楽しみ方を提示する。ライヴだとより壮大に響く“Same Sky”が良いアクセントとして全体を引き締めていたのも印象的だ。そしてMAHがイントロ途中で観客にダメ出しをして気合いを注入し、仕切り直されたラスト“KiLLiNG ME”の鉄板ぶりたるや!
■BRAHMAN
BRAHMANの歴史の一端が刻まれた映像がヴィジョンに映し出され、この日いちばんの歓声が上がる。スリリングな“初期衝動”から、会場全体の息の合い方は衝撃的なほど見事。隙間なく入った人の波が見事に上下左右に揺れ、その場にいる全員の意識がステージ上の4人に注がれる。20年に渡るそれぞれの時代のキラー・チューンが間断なく繰り出され、アグレッシヴに攻めた前半からミディアム多めの後半という構成も素晴らしい。TOSHI-LOWがフロアに乗り込んだ“警醒“から“霹靂”、ラストの“ARTMAN”まで、激しさと優しさと力強さがぎっしり込められた一曲一曲の熱量は実に圧倒的だった。
【STAGE“QUARTER”】
今回の〈Bowline〉の新木場STUDIO COAST公演は、新たな試みとして弾き語りステージ〈STAGE "QUARTER"〉を設置。こちらには日本のパンク/ハードコアの黎明期を牽引した4人組バンドのフロントマンを中心に、現在も活躍する大ヴェテラン5組が登場。それぞれ滋味溢れる貫録のパフォーマンスを披露した。
■小河原良太(JIGHEAD/ex.THE POGO)
1番手は、元THE POGO/現JIGHEADの小河原良太。マーシャルに直結した赤いテレキャスターをかき鳴らしながらJIGHEADのナンバーをしゃがれ気味のヴォーカルで歌うと、楽曲の基調となっているブルースの部分がよりむき出しで伝わる。終盤に向けて演奏のテンションはぐんぐん上がり、ロビーまで溢れるほど集まったオーディエンスを惹きつけていた。
■八田ケンヂ(KENZI&THE TRIPS)
続いて登場したのは、KENZI & THE TRIPSやスマ・ロ子での活動で知られる八田ケンヂ。名曲“BRAVO JOHNNY”を皮切りに、胸に迫るようなヴォーカルで“幸せ”“Hey Young”などを朗々と歌いあげる。曲間では「俺らはTOSHI-LOWに〈レジェンド組〉って呼ばれてる」と明かし、最後にはケントリの“DIANA”を1コーラス披露して集まったファンを大いに喜ばせていた。
■桑名六道(axkxaじゃじゃ岩城fromザ・スカラベリーズ/ex.LIP CREAM)
お次は元LIP CREAM、現ザ・スカラベリーズのじゃじゃ岩城こと桑名六道。リハーサルから本人が「さっきのは第1部」と表現するほど力が入っており、小林旭“北帰行”で始まった本編でも、アコギの心地よいサウンドとハードコア仕込みのしゃがれた歌声/シャウトのコントラストでオーディエンスを圧倒。「レジェンドじゃなくて現役バリバリです」という言葉通りのステージを展開した。
■フグ&ジャム(GAUZE、JAVARA.)
4番手はGAUZEのフグとJABARA.のジャムによるユニット、フグ&ジャム。アコギを手にしたふたりはステージにどっかりと胡坐をかき、フォーキーながらヒリヒリするナンバーを連発。顔をくしゃくしゃにして熱唱するフグの歌声のさすがの説得力で、ふたりのハーモニーもジャムの吹くハープの音色も胸に染み入る。たっぷりの熱量で演奏されたラストの“新宿日高屋”と“酒持って来い”まで、そのパフォーマンスに観客は釘づけだった。
■遠藤ミチロウ(ex.THE STALIN)
そして〈STAGE "QUARTER"〉のトリを務めたのは、THE STALINで日本中に衝撃を与え、還暦を過ぎた現在も精力的な活動を続けている遠藤ミチロウ。“Just Like a Boy”と “オデッセイ・2015・SEX・福島”(“オデッセイ・1985・SEX”の福島弁ヴァージョン)、“天国の扉”の3曲を鬼気迫る演奏と咆哮で歌い切り、ロビーまですし詰め状態になるほど集まった観客を沸かせる。急きょ実現したアンコールで“お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました”が披露されるとファンはさらに熱狂! 幅広いオーディエンスが集まった〈STAGE "QUARTER"〉は、こうして最後までメイン・ステージに勝るとも劣らない盛り上がりを見せていた。
Photo:
STAGE"QUARTETTO" 三吉ツカサ(Showcase)
STAGE"QUARTER" 山川哲矢(Showcase)