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プロフェッショナル巧の格言 笑福亭鶴笑(落語家) “パペット落語”が国際問題を解決「お笑いの可能性は世界共通」(1)

 プロフェッショナル巧の格言 笑福亭鶴笑(落語家) “パペット落語”が国際問題を解決「お笑いの可能性は世界共通」(1)

 

  大阪の人形芝居と言えば、誰もが思い浮かべるのが人形浄瑠璃「文楽」。だが、文楽以外にも高い評価を集める人形劇がある。それが落語家・笑福亭鶴笑が編み出した「パペット落語」だ。すべて手作りの人形を使う一人二役三役の立体落語。ストーリーも勧善懲悪が中心でわかりやすく、座布団の上での大奮闘は見る者を惹き付ける。高座に別世界を作り上げ、爆笑を呼ぶ鶴笑の落語スタイルは、その容貌と合わせ、伝説の爆笑王・桂枝雀をどこか彷彿させるものがある。
 
  取材当日の高座は、大阪市内の小学校でのボランティア落語会。この日の演目は「西遊記」。両手、両足に膝小僧まで使って、魔物が悟空が大暴れ。高座狭しの大熱演に、子供たちはもちろん大人も大喜びだった。
  「僕にとってパペット落語は格闘技。一人二役の魂と魂のぶつかり合いですわ。こんな僕の生き様を見て、みんなが笑ってくれるのがうれしいです」
 
  鶴笑とパペットとの出会いは、落語家以前に遡る。
  「子どもの頃、小学校の先生をやっていた母親が、いくら言うてもヤンチャが直らん僕に、腹話術の人形を使って説教したことがありました。あれはさすがに堪えました。でも、怒られながら、人形の説得力いうのはすごいもんやな、と変に関心しましてね。その思い出がヒントになったんです」
 
  だが、直接の動機はもう少し下世話だ。
  「吉本に所属してすぐの頃、僕は、あの『心斎橋二丁目劇場』に出てました。劇場で若い女の子がキャーキャーいうんやけど、お目当ては雨上がり(決死隊)やダウンタウンやらのコントや漫才の人ばかり。そんなん見てるうちに『俺もキャーキャー言われたい』と思たんが始まりです(笑)。いったいどないしたらと思って、劇場に来る女の子の鞄を見ると、お人形さんが付いている。それで『これや!』となって、人形を使う落語を思いつきました。思いついた以上は格好をつけんなぁなりません。そこから後は試行錯誤に悪戦苦闘。なんとか人前でやれるようになるまでざっと5年。そら死んだ気持ちでやりました」
 
  今や鶴笑の代名詞となったパペット落語。生み出した作品は、前出の『西遊記』に『モスラ対ゴジラ』『赤ずきんちゃん』など全部で30を超える。昨年には、厚生労働省推薦の「児童福祉文化財」に認定された。見た目の面白さに加え、演者が体全体で表現するメッセージに、単なる落語の域を超えた評価が与えられた。
  だが、ここまでの歩みは、すんなりとはいかなかった。…

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