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ラブファンタジーと等身大の恋 変わらぬ『なかよし』と『りぼん』
『りぼん』2015年5月号(集英社)
今年、創刊60周年の『なかよし』と『りぼん』。1980~90年代のかつての読者に向けたグッズ企画なども展開されているため、改めて雑誌を手に取る人も多いのでは? せっかくなので当時を懐かしむだけでなく、今の作品にもぜひ注目してほしい。
『なかよし』は、90年代より『美少女戦士セーラームーン』を代表格に、ラブファンタジーに力をいれてきた。今もそれは健在だ。神様を癒す儀式を司る16歳の巫女の物語『かみかみかえし』、霊や妖怪が見える女の子と人間の姿をした鬼の兄弟が出会う『百鬼恋乱』などが出色だ。共通点は、絶大な力を持つが不器用な主人公と、そんな主人公を命がけで守るイケメンヒーローの存在。セーラームーンでいえば、うさぎとタキシード仮面の関係にあたるが、このセオリーは、いくつになってもキュンとするものだ。
『りぼん』は、ファンタジーよりは、学校などを舞台とした等身大の恋物語に力を入れてきたが、そこは変わらずぶれない。例えば『なないろ革命』は、友達に無理に合わせるのではなく、自分らしく生きたい! と一念発起した女の子の成長物語。Lineによる仲間はずれなど、現代の少女に寄り添った悩みも描かれるが、テーマは普遍的。「自分らしさ」を追求して悩む本作は、むしろ大人の読者にこそ突き刺さるかもしれない。
ここでは一端しか紹介できなかったが、60年間受け継がれてきたそれぞれの色と、現在の少女に寄り添った新鮮な物語を、改めて雑誌で楽しんでほしい。
文=倉持佳代子/『ダ・ヴィンチ』5月号「出版ニュースクリップ」より
本記事は「ダ・ヴィンチニュース」から提供を受けております。
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