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リー・クアンユー氏死去、「明るい北朝鮮」シンガポールってどんな国?
シンガポールの元首相で、建国の父とも呼ばれるリー・クアンユー氏が23日、シンガポール国内の病院で亡くなりました。シンガポールはリー氏の手腕によってアジアでもっとも豊かな国のひとつに成長し、最近では、富裕層を中心に日本から移住する人も増えています。一方で、同国はリー一族の独裁体制ともいわれており、言論の自由がなく、一部からは「明るい北朝鮮」とも揶揄されています。シンガポールとはどのような国でリー氏はどんな政治家だったのでしょうか。
[写真] シンガポール「建国の父」 リー・クアンユー氏が死去(代表撮影/ロイター/アフロ)
シンガポールはマレー半島の突端に位置する東京23区ほどの大きさしかない都市国家です。もともとは英国領でしたが、太平洋戦争中は日本が占領していました。終戦後、シンガポールはマレーシアの一部として英国から独立を果たしますが、マレーシアでは、中華系とマレー系の対立が激しく、シンガポールは事実上、マレーシアから追放されてしまいます。
同国には天然資源がほとんどありませんから、リー氏は国家を自立させるために徹底した工業化を進めました。日本や米国から資本を導入し、国家主導でインフラを整備し、工場を誘致したのです。教育に力を入れ、優秀な若者は次々と外国に留学させて、最新の手法を導入していきました。工業化が一段落すると、今度は金融ビジネスに舵を切り、シンガポールをアジア有数の金融センターに成長させました。同国の1人あたりGDPは670万円と日本の1.5倍もあり、国民は圧倒的な豊かさを享受しています。
一方、こうした成長最優先の社会を実現するため、リー氏は独裁的な国家運営を強行しました。国内の言論は統制されており、政府批判ができない状態が今でも続いています。現在の首相はリー氏の長男であるリー・シェンロン氏が務めていますから、事実上の世襲制といってよいでしょう。
シンガポールは単純労働を行う移民は期間限定での受け入れとし、永住を認めない一方、外国のエリート層や資産家に対しては積極的に移住を推奨しています。日本からもエリート層や資産家の一部が、男女平等のビジネス環境や安い税金に惹かれてシンガポールに移り住んでいます。
リー氏が類い希な卓越した政治家であり、シンガポールの国家運営が大成功していることは誰もが認めるところでしょう。しかし、アジアでもっとも成功した国に、十分な民主主義が育っていないという現実は何とも複雑です。
(The Capital Tribune Japan)
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