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カープファンの過剰な期待 年俸4億円「黒田」復帰の光と影
プロ野球の開幕まで1カ月となった。春季キャンプから、ひときわメディアの注目を集めているのが広島である。専門家予想でも「優勝を狙えるチャンス」と近年にないフィーバーぶり。その中心にいるのが名門・ヤンキースから古巣・広島に復帰した黒田博樹だ。背番号「15」への期待が熱を帯び、キャンプの話題を独り占めしている。しかし、40歳という年齢は何とも気がかりで、その黒星はチームにとって相当の“痛手”となるだろう。今季、前田健太との両エースで、仮に30~35勝を挙げても、残り40勝を他の投手で積み上げなければ「優勝ライン」に届かない。2015年シーズンはカープにとって勝負の年となるが、ここでリーグ制覇を逃せば泣くに泣けない。
■チーム最高年俸の「重圧」
年俸20億円というメジャーの破格の提示を振り切って、8年ぶりに日本球界に復帰した黒田。年俸4億円といえどチーム内では群を抜く存在で、マエケンの3億円が続く。
セ・リーグの年俸順位で最下位が「指定席」の節約市民球団・広島にとって、黒田の4億円は決して安くはない。広島で年俸が10番目に高い木村昇吾と黒田を比較すると、約10倍の「格差」がある。シーズンを戦う中で、こうしたギャップが不協和音のタネにならないとも限らない。
新加入の移籍選手や外国人がチーム内で最高の年俸であることはよくあることで、今季の場合、ソフトバンクの松坂大輔が4億円、ヤクルトの成瀬善久が2億円で、いずれもチーム最高年俸だ。しかし、高い年俸額に見合うだけの活躍をしなければ、選手間で「反発」「摩擦」が生じるのは必至である。
■安い年俸で強いチームは作れるか
選手の年俸とチーム成績の相関関係について興味深い分析がある。「勝つことで人気が出れば、チームにはさらに強くなれる可能性が生まれる。人気は球団収入に直結するので、補強費を増やせるようになるからだ。プロスポーツビジネスでは、やはり、資金を潤沢に持っているチームが強い」
オリックスの井箟重慶元球団代表は自らの経験をもとに球団経営の内幕を著書『プロ野球もうひとつの攻防』(角川SSC新書)に記した。本来、球団経営者からすれば、年俸以上の成績を残してくれる方が大歓迎だ。
実際、阪神大震災が発生した1995年に優勝したオリックスは当時、年俸順位がリーグ5位だった。選手の「世代交代」が順調に進み、イチローや田口壮といった20代の若手選手が活躍したという。球団経営者にとっても最高のシーズンとなった。
「年俸総額が高いから勝てる」という図式は必ずしも正しいわけではない。井箟は両者の関係について「ベテラン選手が増えることで新人選手の成長が遅れるため、毎年のように即戦力の補強を続けなければ強さを維持できない側面を持つ」と指摘。一方、ベテランを切って若手の育成によって戦力を高めようとすれば、「年俸総額は低く抑えられるが、勝てない時期が長く続くかもしれない」と、球団経営の難しさを明かす。
■40歳の覚悟と悲壮感
「不惑」の域に達した黒田だが、広島での復帰会見で「最後はカープのユニホームで投げたい」「この先、長くないプロ野球人生…」と、心の叫びを口にした。ヤンキースで先発ローテーションの一角を担ってきたベテランに、長年の“勤続疲労”がのぞき、悲壮感すら漂っていた。
背番号「15」の復活を広島ファンは心から喜び、開幕前から関連グッズは売れ行きを伸ばし、年間シートは完売という。しかし、球団の側に立てば、この先長くはないベテランに高額年俸に見合うだけの結果を残してもらわないと皮算用が成り立たなくなる。
黒田の復帰によって球団経営は一時的に潤うかもしれないが、人気も実力も40歳のエース一辺倒では、その屋台骨が崩れたときに“修復”が大変であろう。今シーズンは何とか戦えても、近い将来、引退は訪れる。元メジャーリーガーという財産をどう生かすのか、球団経営の手腕も試されている。(金額はいずれも推定)