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ハリルJAPAN初陣、フレッシュなメンバーが攻撃と守備で見せた方向性
文=河治良幸
「多くの選手、試合にあまり出ていない選手にチャンスを与えたい」という前日会見の通り、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は代表初選出の藤春廣輝をはじめ、フレッシュな選手を多く先発させた。
チーム全体が心がけたのは4−2−3−1のシステムに流動性を加えながら、グラウンダーでスピーディにボールをつないでゴールを目指すこと。またボールを失った瞬間に切り替えてコンパクトなブロックを高めに入り、コースを限定しながら球際を厳しくしてボールを奪い返すことだ。
攻撃面で方向性が良く表れたのが、永井謙佑のスピードを活かした右サイドの仕掛けだ。SBの酒井宏樹を起点にトップ下の清武弘嗣がボールを受けた瞬間に永井が飛び出し、左ウイングから右に流れた武藤嘉紀が連動するなど、テンポの良いつなぎの中でハリルホジッチ監督が送り出した攻撃陣の機動力が発揮されていた。
ただ、せっかくのチャンスにフィニッシュのタイミングが遅れたり、シュートが相手のブロックにかかって決めきれない場面が特に前半は多かった。チュニジアにフランスのモナコで活躍するアイメン・アブデヌールというハイレベルなDFがいたこともあるが、武藤にしても、川又堅碁にしても、好機にもっとスピーディにDFを外してシュートを打ち切ることが求められる。
ハリルホジッチ監督の求めるプレーが随所に見られたものの、縦パスや動き出しのタイミング、判断の精度には課題が見られた。2タッチ以内のパスを意識するのがいいが、相手のディフェンスが張られているところにパスを出してしまい、受け手が体格に勝る相手とまともなフィジカルの勝負を強いられる場面が多く見られた。
また相手のプレッシャーを避けるために出したバックパスが長くなり、そこから縦にパスを入れるタイミングが遅れてしまい、ハリルホジッチ監督がテクニカルエリアで声を張り上げる場面も見られた。やはり攻撃のテンポを停滞させるプレーは指揮官が最も嫌う1つと言えそうだ。
守備に関しては、高い位置では相手のビルドアップをはめる意図が良く出ており、チュニジアの攻撃精度を落とさせることができていた。チュニジアはかなりの頻度で1トップのアーメド・アカイチか左右のウイングに縦パスを入れ、そこから高い位置に起点を作ろうとしたが、多くの場合はDFラインが体を前に入れてカットすることができていた。
それによりチュニジアのパスが狭くなり、日本が中盤でボールを奪える要因になっていた。…