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ヤクルト・由規、「3・11」から始まった完全復活へのカウントダウン

 ヤクルト・由規、「3・11」から始まった完全復活へのカウントダウン

 「3・11」のマウンドで躍動した仙台出身の右腕「少しでも被災された東北の方に届いていたら」

 「3・11」に背番号11が帰ってきた。3月11日に行われたオリックスとのオープン戦(京セラドーム)。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・仙台市出身のヤクルト・由規は、特別な思いで先発のマウンドへ上がった。

 「震災から4年経ちますけど、自分もその年の秋に右肩をケガしてから3年半が経ちます。その間、プレーで勇気や元気を届けられなかった。だからこそ今年は精いっぱいプレーして、元気な姿を見せたい。今日のピッチングが少しでも、被災された東北の方に届いていたらいいなと思います」

  最速150キロの直球とキレのあるスライダーを駆使し、3回を1安打無失点4奪三振。内容も十分だったが、何よりも気持ちで抑えた38球だった。

  志願してこの日を選んだ。今季初登板となった2月22日の日本ハムとのオープン戦(浦添)では最速151キロをマークし、2回を無失点。だが、3年ぶりの1軍キャンプを過ごしていたこともあり、試合翌日には体全体に張りが出た。そのため、次回登板は万全の状態に戻るまで間隔を空けることを高津投手コーチと確認。3月11日か12日の登板を提案され、迷わずに「3・11」を選んだ。

 「この日に投げられるというのはなかなかないこと。この3年半の間はプレーしたいと思ってもできずに、もがき苦しんでいた。3年前はアクシデントもあって途中で降板してしまったので、悔しい思いがありました」

投手コーチも「いいものを見せてもらった」と評価

  2012年の同じ日。由規は広島とのオープン戦(福山)に先発した。意気込んで臨んだが制球が定まらず、2回までに6安打3失点。最後は松山の打球を右膝下に受けて、3回途中で降板した。

  そのことが脳裏をよぎったのか、この日も試合前のブルペンではフォームのバランスが悪く、お世辞にもいいとは言えない内容だった。

 「無事に最後まで投げられるか不安はありました」

  そんな心配をよそに、マウンドでは別人に変貌した。直球の制球が悪いと見るや、スライダーを軸に組み立てを変更。糸井嘉男、ブランコ、中島裕之らがスタメンに名を連ねた重量打線を手玉に取った。

  高津投手コーチは「ブルペンでは良くなくて、ヒヤヒヤしたけど、あれだけ投げられるとは思わなかった。ゲームに入ると、1つギアが上がる。いいものを見せてもらいました」と驚きを隠さなかった。…

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