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“超小型車”で四輪事業に参入するヤマハの裏にトヨタ
二輪車メーカーのヤマハ発動機が、2019年にも欧州で四輪車事業に参入することが明らかになった。場所は未定ながらも数百億円を投じて専用の工場を設立し、近距離の移動に適した2人乗りの小型車を製造・販売する。日本企業では9社目となる乗用車メーカーの誕生で、二輪車メーカーからの新規参入は半世紀も前に当たる1963年のホンダ以来のことだ。
もっとも同社の四輪車進出は既定路線。’13年11月に開かれた東京モーターショーではコンセプトカー『MOTIV(モティフ)』を公開していた。その際、柳弘之社長は「ヤマハのエンジン技術を凝縮した車を開発している」と明かし、早ければ2020年までには製品化したいと語っていた。
実はヤマハは1964年、すなわち二輪車で最大のライバルであるホンダが参入した翌年から既に四輪車用エンジンの開発・生産でトヨタと協力しており、現在もトヨタの高級車『レクサス』にエンジンを供給している。ホンダへの対抗心からトヨタとタッグを組み、長年培ったエンジン技術を生かすべく、いよいよ四輪車に殴り込みをかける図式なのだ。当然、欧州で投入する小型車のエンジンは自社で開発・製造する。
関係者が注目するのは、自動車メーカーとしての同社の位置付けだ。前述したようにトヨタとはエンジン供与で関係が深いばかりか、現実にトヨタが発行済み株式の3.6%を保有する間柄。情報筋は「ヤマハの決断にトヨタの影がチラつく」と打ち明ける。
「軽自動車のダイハツ、小型車のヤマハを並列させればトヨタ王国は揺るがない。しかも欧州は小型車の伸びが最も期待できる。トヨタでは目立つが、別働隊ならば目の敵にされにくい。だからこそ、四輪車に色気タップリだったヤマハの背中を猛プッシュしたに違いありません」
ヤマハ発動機による四輪参入劇の舞台裏から、トヨタの高笑いが聞こえてくる。