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【大人になっても読みたい児童文学】『おはなしりょうりきょうしつ こまったさんシリーズ』、『わかったさんのおかしシリーズ』

【大人になっても読みたい児童文学】『おはなしりょうりきょうしつ こまったさんシリーズ』、『わかったさんのおかしシリーズ』

 

幼い頃に読んだ絵本や物語を、ふと思い出してしまうことはありませんか。大人になってからも、心にひっかかっているあのシーンや、あのフレーズ。この記事では、そんな懐かしい児童文学作品をご紹介します。今回取り上げるのは、『おはなしりょうりきょうしつ こまったさんシリーズ(以下、『こまったさんシリーズ』)』(作・寺村輝夫 絵・岡本颯子/あかね書房)、そして『わかったさんのおかしシリーズ(以下、『わかったさんシリーズ』)』(作・寺村輝夫 絵・永井郁子/あかね書房)です。

物語を楽しみながらレシピが分かるというのが、2つのシリーズの特徴です。幼い頃、この本を見ながら、初めて料理やお菓子作りに挑戦した人もいるかと思います。
1982年に『こまったさんのスパゲティ』、1987年には『わかったさんのクッキー』が出版され、すでに両シリーズとも完結しています。続き物ではなく、1冊で完結するので、何巻から読んでも楽しめます。
物語は、こまったさんやわかったさんが、不思議な出来事に巻き込まれ、それを解決するために料理やお菓子のレシピを教わるという内容。ただ物語の展開は、ナンセンス文学特有の独特さがあります。独特と言っても、とても読みやすく、分かりやすく描かれています。ちなみに、作者の寺村さんは、大人気作『王様さまシリーズ』や『かいぞくポケットシリーズ』の作者でもあります。寺村さんの描く、ユニークな物語の大ファンという方も多いのではないでしょうか。

●『おはなしりょうりきょうしつ こまったさんシリーズ』
『こまったさんシリーズ』はカレーライス、ハンバーグ、シチューなどの料理を取り上げ、全部で10巻が出版されています。
主人公のこまったさんは、小さな花屋さんの奥さん。ご主人のヤマさんと九官鳥のムノくんと暮らしています。ちなみに『こまったさん』というのは、ヤマさんが付けたあだ名。何かあると、すぐに「こまった」と言うので、『こまったさん』と呼ばれるようになりました。
こまったさんが不思議な出来事に巻き込まれるのは、いつも突然です。見知らぬ手紙が届いたり、珍客が訪れたり、料理の真っ最中だったり。読んでいると、「それはこまったなあ」と思わずにいられない内容です。どんな内容なのか、一部をあらすじで紹介します。

『おはなしりょうりきょうしつ (4) こまったさんのオムレツ』
おいしいオムレツを作らないと家にはかえしてもらえないオムレツ島。こまったさんは、なっとうのオムレツを作りますが……。

『おはなしりょうりきょうしつ (8) こまったさんのコロッケ』
ひょんなことから、こまったさんはサッカー場へ。とんでくるポテトや卵のボールをものともせず、コロッケを作りますが……。

※全て、あかね書房HP(http://www.akaneshobo.co.jp/)より抜粋。

本文中には、九官鳥のムノくんマークが付いている文章があり、そのマークには、料理のコツが書かれています。そして巻末には、料理についてのあとがきが付いています。寺村さんの料理のこだわりや各国の調理法などが書かれており、どちらかというと大人向けの内容。大人になった今読めば、より楽しめるかも知れません。

●『わかったさんのおかしシリーズ』
『わかったさんシリーズ』ではドーナツ、アップルパイ、ショートケーキなどを取り上げ、全10巻が発売されています。ちなみに、第1巻の『わかったさんのクッキー』は、こまったさんの第1巻が出てから5年後の出版。こまったさんの方が先輩です。
主人公のわかったさんは、クリーニング屋の娘で、お父さんとお母さんの3人暮らし。小さなワゴン車で、クリーニングの配達に行くのが、わかったさんの仕事です。『わかったさん』というのは、両親に「事故起こすなよ」、「間違えて届けたらダメよ」など注意されるたび、「わかったわかった」と返事するため、そう呼ばれるようになりました。
わかったさんは、配達中に、不思議な出来事に巻き込まれて、お菓子作りをすることに。個人的な印象ですが、こまったさんよりも「こまった」状況に巻き込まれている気がします。それでも、わかったさんは「わかったわかった」と立ち向かっていくのが、すごいところ。その一部をあらすじで、ご紹介します。

『わかったさんのおかしシリーズ (6) わかったさんのプリン』
子どものギャングのババロワにゆうかいされたわかったさん。深い森の中にある家で、プリンの作り方を教わってこいと言われます。

『わかったさんのおかしシリーズ (10) わかったさんのマドレーヌ』
女海賊にお菓子作りを教えることになったわかったさん。自分にもできるかんたんなお菓子を教えないと命をもらう、と言うのです。

※全て、あかね書房HP(http://www.akaneshobo.co.jp/)より抜粋。

こまったさん同様、わかったさんの本文には、カギマークが付いており、お菓子作りのカギを知ることができます。巻末には、あとがきはありませんが、物語に登場したお菓子のレシピが掲載されています。可愛いイラスト付きで分かりやすく紹介されているので、ぜひ挑戦してみて下さい。

こまったさんもわかったさんも、特別に料理が上手というわけではありません。なので、料理やお菓子を作るのは、いつも一生懸命。その姿がとても可愛らしく、思わず応援したくなります。
ちなみに学校や図書館に置いてある両シリーズは、どの本もレシピが書かれているページは汚れているそうです。その話を聞いた時、多くの子どもたちが、この本で料理やお菓子を作ってきたんだなあと、しみじみ感じました。
皆さんも、『こまったさんシリーズ』と『わかったさんシリーズ』を参考に、「こまった」と悩んだり「わかった」と納得しながら、料理やお菓子を作ってみてはいかがでしょうか。

『おはなしりょうりきょうしつ(1)こまったさんのスパゲティ』
作:寺村輝夫
絵:岡本颯子
出版社:あかね書房
価格(税抜き):900円
発行:1982年7月
参考:http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251036018

『わかったさんのおかしシリーズ(1)わかったさんのクッキー』
作:寺村輝夫
絵:永井郁子
出版社:あかね書房
価格(税抜き):900円
発行:1987年12月
参考:http://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251037510

※画像は、絵本ナビ様(http://www.ehonnavi.net/)より引用しています。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「すえこ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?( http://j.mp/1CYcNa1 )

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