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富山職員に仰天指令「出張は飛行機で」 北陸新幹線開業の裏に空路廃止の危機
「オラが町にも春が来た」と顔をほころばせる地元民は多い。新幹線開業を機に一気に存在感が増した北陸地方。本格的な観光シーズンを前に盛り上がりは最高潮に達しようとしている。そんななか富山県と富山市が職員に、新幹線ではなく、なぜか飛行機を使うよう通知を出したというのだ。ブームに水を差しかねない一大事。裏を探ってみると富山ゆえの諸事情が…。
「現在のところ週末の人出は以前の約2倍。4月16日以降は雪の回廊で有名な『アルペンルート』がオープンするため、ホテルの部屋に空きがないと聞いている。新幹線ができたおかげで、外国人観光客も飛躍的に増えるだろう」
JR富山駅に近い富山市観光協会の担当者の声は弾む。開通を心待ちにしていた県民にとっては、新幹線が発着する富山駅そのものが観光地にもなり、連日多くの人が見学に訪れている。
そんな3月14日の新幹線開業から先立つ2日前、富山県は職員に対して、首都圏に出張の際は飛行機を使用するよう文書で通達した。
一体どういうことなのか。
「全日空の富山~羽田間の『特割運賃』は最安1万1290円(4月2日現在)で、新幹線の富山~羽田間は1万2730円(通常期の指定席)。最大1440円の差額が生じる。そのため事前に運賃を比較し、飛行機のほうが安ければ空路を利用するよう、職員に求めた」とは県関係者。
血税を大切にする県の姿勢は立派だが、新幹線乗車の機会に待ったがかかった職員の心中は複雑だろう。しかも県庁から富山駅は数百メートルの距離にあるのに対し、富山空港へは駅からバスを乗り継ぐ必要がある。
富山市は、この交通費の件に加え、空港が抱える事情からもう1つの通知を出した。交通政策都市整備課の担当者が説明する。
「富山空港の全日空便は利用者数の問題から、機体の小型化・減便が懸念されている。新幹線が開通することで、空路が廃止にいたった事例もある。富山唯一の(首都圏を結ぶ)国内便を守るため、職員に業務で率先して空路を利用するよう通知を出した」
市は職員に対し、仕事だけでなくプライベートでも飛行機の利用促進を呼びかける念の入れようだ。
お隣の石川県はどうか。「(県庁所在地の)金沢市から最寄り空港の小松空港まではバス代を考慮すると割に合わない」(県担当者)として、飛行機利用の予定はない。金沢市も「その都度料金を比較し、検討するのは煩雑。基本的にJRを利用してきたこれまでの方法を踏襲する」(市担当者)と話す。
富山といえば、顧客が薬を使った分だけ代金を取る「置き薬」発祥の地。お金にキッチリしている「薬売り」のDNAは今も健在のようだ。