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新型アルファードの“金歯グリル”はファントムにだって負けてない!?
燃費を気にしてエンジンはエコ化(草食化?)しているのに、近年どんどん主張が激しくなっている“クルマの顔”。見た目の肉食化が進んでおります。こうしたクルマの顔面変化はいつから始まったのか? 新型アルファードのあまりの変貌ぶりを見て、ちょっと知りたくなりました
⇒【写真】新型アルファード&各社「フロントグリル」比較
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆マイルドヤンキー“究極の夢” 新型アルファードはギラギラ世界No.1!!
自動車は成熟商品なので、デザインに関しても、フツーに思いつくことはたいてい試されている。しかし新型アルファードの顔にはギョッとした! それは、縦に3列並んだギラギラ光る金歯だったのだ! しかも金歯の口は閉じている! どこからも空気が入りそうにない! スゲエ!
クルマのフロントグリルを直訳すると「前の網」。内側にあるラジエターに大きなゴミなどが当たって破損するのを防ぐ目的で誕生したものだ。でもアルファードのフロントグリルは、ゴミも空気も全部はね返す鎧なんだよね!
アルファード/ヴェルファイアと言えば、トヨタの最高級ミニバンであり、マイルドヤンキーの究極の夢。近年は政治家や経営者、芸能人の移動の足として使われる例も多く、もはや日本を代表する高級車だが、思い切ったもんだ。
フロントグリルには、クルマの顔としての視覚効果もある。よって太古の昔より各社グリルのデザインには趣向を凝らしており、高級車はここで威厳を表現することを狙った。その代表がロールス・ロイスのパルテノングリルである。
が、クルマの進歩とともに、あまり巨大なラジエターは必要なくなり、それに合わせてフロントグリルも小型化。「グリルレス」というツルンとしたデザインも生まれた。
その流れが逆回転しはじめたきっかけは、10年前にアウディが「シングルフレームグリル」というデカ口を導入したことだ。バンパーで上下に分割するのが普通だったフロントグリルを、上下つなげてデカ顔をイメージさせ、それまで上品で衛生的だったアウディを、攻撃的にイメチェンすることに成功。これが大ヒットとなり、各社いろいろなデカ口を投入していったんだよね。
国産車では、現行クラウンの王冠グリルや、レクサス各車のスピンドルグリルがまさにそれだ。空気穴としての機能なんかどーでもエエとばかりに、奇抜な形状で鬼面人を驚かせ、強烈な印象を植え付けることに成功したのであった。
ただ、見た目の口はバカデカくても、実際に空気が入る部分は中央から下側だけで、それ以外は視覚的な飾りにすぎない。なぜ空気の取り入れ口を小さくするかというと、エンジンルーム正面にデカい穴を開けすぎると、空気抵抗が増えて燃費や走行安定性が低下するからである。
つまり現在のデカ顔の潮流は、「実際よりも空気穴をデカく見せる」という方向性だ。たくさん空気を吸い込むように見えたほうが、エンジンパワーがあるようにも感じるし、なんだかんだでイバリが利く。そういうことですね!
なのに新型アルファードは、空気がぜんぜん入らないっぽいギチギチの金歯なんだよ! この金歯グリル、よく見ると中央より下側の黒い部分には穴が開いていて、そこそこ空気が通るようになってるが、あえて空気が通らないっぽく見えるデザインを採用したグリルというのは、世界初ではないだろうか?
⇒【後編】に続く http://nikkan-spa.jp/811534