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警察庁を直撃、二輪車もオービスの速度取り締まり対象に? 

警察庁を直撃、二輪車もオービスの速度取り締まり対象に? 

 スピード違反を自動で取り締まる通称“オービス”。警察庁は今年度、検挙率アップのため海外製の新型オービスの導入を検討、すでに一般道へテスト配備済みだ(記事はこちら→http://wpb.shueisha.co.jp/2015/03/22/45443/)。

新型は従来よりかなり小型の装置であり、これまで「ネズミ捕り」が難しかった生活道路での取り締まりが容易になる見通し。今後はこれを活用して二輪車の取り締まりも強化されていくという。

狭い道幅の中に歩行者や自転車や車が混在する生活道路では、2013年は約6万3000人の歩行者や自転車利用者が死傷した。約9分に1人の計算だ。その意味では、速度違反車両を取り締まる手段として新型オービス導入は有効かもしれない。

だが、それが安易な速度違反取り締まりにつながることに警鐘を鳴らす声もある。交通法科学研究会の事務局長を務め、数多くの交通裁判を手がけてきた高山俊吉弁護士だ。

「スピードの出しすぎがどれだけ危険なのかをしっかり調べた上で新型オービスを導入するならまだしも、そこの考えがよく見えてこない」

実は走行速度が上がれば事故発生率が上がるというデータはない。全国の都道府県警察では2011年から13年にかけて一般道路の速度規制見直しを行ない、1911区間で交通事故の増減率を分析した。すると、規制速度の引き上げ、引き下げに関係なく事故が減少したか横ばいだった区域が7割を占めたのだ。

一方、速度違反取り締まり件数は確実に減ってきている。ピークは1985年の564万7393件(全違反件数の約45%)。それが2014年には約67%減の183万5930件(同約19%)となっている。

なのになぜ今、新型オービス導入なのか? まさか取り締まり件数の激減による収入減を食い止めるため?

「警察は、違反車両を停車させる場所がないなどの理由で生活道路での速度取り締まりが難しいというが、運転者の速度を抑制したいのなら道沿いに警官をひとり立たせておけばいいんです。そうではなく、違反させておいてひそかに取り締まり、その結果、罰金を取るだけではドライバーを血祭りに上げているのと同じです」(高山弁護士)そこで、警察庁にストレートに疑問点をぶつけてみた。

―生活道路での速度取り締まりには今までどんな困難があり、新型オービスの導入でそれがどう変わるのですか。

「従来の定置式速度取り締まりでは一定のスペースを必要とするため、取り締まりが必要であると判断した箇所において取り締まり箇所が確保できないという問題や、取り締まりを行なう時間帯により制約を受けるという問題があります。

新たな速度違反自動取締り装置の導入により、取り締まりスペースの確保が困難な生活道路や深夜など警察官の配置が困難な時間帯における取り締まりが可能になると考えています」

―新型オービスで撮影するのは静止画? 動画?

「違反車両を前方から撮影し、運転者等の顔やナンバープレートが静止画像で撮影されるものです」

―二輪車は取り締まりの対象に含みますか。

「現時点では二輪車を取り締まりの対象から外すことは考えていません」

―時速30キロをオーバーした場合の赤切符(一般道の場合)に加えて、それ以下の速度違反の青切符でも取り締まるのでしょうか。

「各装置の運用方法については試行運用の結果を踏まえて今後検討することとしています」

―測定値の信頼性はどう担保するのでしょうか。

「信頼性については、専門家等の協力を得て確認を行なっています」

―駐車違反の放置違反金のように速度違反で車両の使用者責任(車両登録上の使用者の責任)を問うことは検討していますか。

「現時点では考えていません」

この他、新型オービスを使って全国で取り締まりを始める時期や具体的な取り締まり形態などを尋ねたが、「未定」「今後検討する」などの回答だった。

警察庁は現時点で答えられるものをストレートに回答してきた印象だが、それでも疑問点はまだ残る。やはり、二輪車の取り締まりも前提に、財源確保のための取り締まり強化と推測されるのだが…。

(取材/桐島 瞬)

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