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鉄道愛が半端ない東京都・祐天寺「ナイアガラ」で汽車が運ぶカレーを実食!

 鉄道愛が半端ない東京都・祐天寺「ナイアガラ」で汽車が運ぶカレーを実食!

 

 東急東横線・祐天寺駅から歩いて5分ほどの場所にある「ナイアガラ」は、創業から50年以上の歴史を持つカレー店だ。鉄道ファンの間ではかなりの有名店だという同店だが、なぜ有名かは店の前まで来てみれば一瞬でわかる。

 東京・祐天寺のカレー店「ナイアガラ」

店内は隅々まで鉄道づくし!

 その店構えはかなりのインパクト。店頭には踏切の警報機が立ち、ショーウインドーには「D51形蒸気機関車」の先頭部が飾られている。驚きつつ店内に入ると、店内の様子にもう一度驚かされる。そこにはめくるめく鉄道の世界が店いっぱいに広がっているのだ。

 店内はめくるめく鉄道の世界!

 店内に飾られているのは、蒸気機関車や電車のナンバープレートに、網棚、行き先の表示板などさまざま。店頭にある踏切や機関車の先頭部も含めて、これらは全て実際に使われていた本物だという。中にはかつて天皇・皇后・皇太后が利用した「お召し列車」のプレートもあるとのこと。

 さらに、同店ではオリジナルの切符を発行してもらえる無料サービスも。旧国鉄で実際に使われていた機械で刷り上げ、日付のスタンプも押しているというから驚きだ。店内の座席や、キッチンとホールを仕切る扉も、実際に日本の鉄道で使われていたもの。ここでは全てが”本物の鉄道づくし”なのだ。

 希少な「お召し列車」のプレート

 キッチンの仕切り扉も鉄道仕様

 店内には”窓口”も

 網棚の上の制帽も本物

 オリジナルの切符にはハサミも入れてもらえる

メニューは汽車にのって

 同店のもう1つの自慢がカレーライスである。ハンバーグやカツなどトッピングも豊富だが、最もスタンダードなメニューは「ナイアガラカレー」(720円)。辛さは甘口~超特急(激辛)の中から選べる(超特急はプラス300円)。また、プラス180円で大盛りにすることも可能だ。今回は定番の味だという「ナイアガラカレー 辛口」(720円)と、その辛さにやみつきになってしまう人も多いという「ナイアガラカレー 超特急」(1,020円)をオーダーした。

 「ナイアガラカレー 辛口」(720円)

 「ナイアガラカレー 超特急」(1,020円)

 テーブルの脇には線路の模型が

 テーブル席の脇には模型の線路が敷かれている。それを眺めながらメニューが運ばれてくるのを待っていると、カウンターから「発車します! 」という掛け声が。発車……?

 「発車」の合図から程なくして、線路の上を蒸気機関車の模型が走ってきた! 機関車がけん引しているのは、他でもない「ナイアガラカレー」だ。同店ではテーブル席でメニューをオーダーすると、こうして模型の機関車や列車が席まで料理を運んでくれるのである。大人でも思わずテンションが上がるこの仕掛け。鉄道好きな子どもをつれてくれば大喜びかもしれない……。

 機関車が走ってきた!

 カレーを運んできてくれたのだ

 模型はディテールも凝っている

 ”停車”したカレーを取り、早速いただいてみる。「ナイアガラカレー 辛口」は、ニンジンやジャガイモ、豚のヒレ肉などが入ったポークカレー。”辛口”にしてはマイルドで食べやすい印象だが、後味にピリッとスパイスの刺激を感じる本格派だ。

 そんなスパイスの刺激をより楽しめるのが「ナイアガラカレー 超特急」である。一口で汗が噴き出すその辛さは、「辛口」とは比較にならないほど! なんと、「辛口」の50倍の唐辛子を使用しているという。しかしただ辛いだけではなく、スパイスの香りや味わいが複雑に絡み合った深みのある味わいで、思わずもう一口、もう一口と食べたくなってしまう。「”超特急”は熱烈なファンを生む」という同店の話にも納得だ。

 他にも、「ドライカレー(スープ付)」(850円)も同店のおすすめとのこと。カレーライスとは異なる専用のルーで炒め、野菜の食感を生かしたあっさりとした味わいに仕上げている。カレーライスよりスパイスの刺激は抑えめだが、素材の旨みをたっぷり楽しめる一品だった。

 素材の旨みが生きた「ドライカレー(スープ付)」(850円、写真は試食用に小さいサイズで作ってもらったもの)

ディープな店作りに秘められた思い

 店内の鉄道グッズは、全て同店”駅長”の内藤博敏氏が自身の手で収集したものだという。カレー店なのにディープな鉄道の世界が広がる独特の店作りは、どんな思いでなされたのだろう。

 ”駅長”の内藤博敏氏

 駅長の内藤氏は、少年時代を戦時中に過ごした経験を持つ。当時の食生活について、「配給ばかりで大したものは食べられない。悲しい少年時代でした」と振り返った。そんな同氏が地方に疎開する前、母がありあわせの材料でカレーライスを作ってくれたという。その味が今も強く思い出に残っているそうだ。

 終戦を迎えて20歳となってからは、当時できたばかりだったという東急文化会館(東京都渋谷区・2003年閉館)の「東急ゴールデンホール」で13年間料理人として修行。その後、1963年に「ナイアガラ」をオープンさせた。

 手に持つのは旧国鉄の「タブレット」と呼ばれる通行票。疎開先の駅長も使っていたという

 鉄道グッズ収集のルーツにも、内藤氏の少年時代の思い出がある。疎開先で単線の線路を汽車が行き来する光景をいつも眺めていたという同氏は、汽車の往来を操る駅長の姿に憧れていた。貧しい時代を精神的に支えてくれた「カレー」と「鉄道」への感謝の気持ちが、同店を形作っているのだ。

 「鉄道グッズのコレクションだけなら博物館に及びません。それだけでなく、『また食べたいなぁ』と思ってもらえるような、おいしいカレーをつくる。そのバランスがあってこその店なんです」と内藤駅長は語った。この日、「ナイアガラ」には「昔父に連れられてきたことがある」という男性も訪れ、同店自慢のカレーライスに舌鼓を打っていた。駅長の思いは、店を訪れる人にもしっかりと伝わっているようだ。

 ※価格は全て税込。記事中の価格・情報は2015年2月取材時のもの

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