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PGの紙おむつ「パンパース」は日本で作られている!
日本中の”ママ”が使っているパンパース。今回、10年ぶりに大幅改良された「パンパース さらさらパンツ」が話題だが、実はテープタイプも含めた日本で販売されている製品は、30年前からすべて日本国内で作られている。そこで、国内向けのすべてのパンパースを製造している、P&G明石工場を取材した。
10年ぶりの大幅改良を遂げた新パンパース
世界的にも有名な紙おむつブランド「パンパース」。病産院で最も使用されているなど(P&G調べ)、日本でも品質の高さからママたちの信頼が高く支持されているブランドだが、実は2月上旬にパンツタイプが10年ぶりに大幅改良され、「パンパース さらさらパンツ」として新発売された。同製品には、長年の研究開発を経て誕生した“さらさらスリムジェル”を初採用。優れた吸収ポリマーを“おしっこゾーン”に効率的・効果的に配置することで、おしっこをより素早く確実に閉じ込めるだけでなく、おしっこをした直後の湿り気まで吸収するので、“ムレさえ肌によせつけない”という。今回はこの新製品を生み出す工場内に潜入取材した。
明石にある巨大な工場
兵庫県明石市にP&Gの工場が開設されたのは1982年。30余年という歴史ある工場だが、途中、生理用品などの製造を経て、現在はパンパースのみを製造しており、国内向け製品すべてに加え、一部は海外にも輸出している。工場はほぼ1年中24時間稼働しており、延べ300人以上の従業員が働いている。そもそも明石に工場が設置されたのは「海が近く、鉄道をはじめとする陸上輸送にも適した立地であること」と、明石工場HRマネージャーの山本さんは理由を明かす。
明石工場では原料が最終製品になるまでのすべての生産工程が行われており、今回、見学させてもらったのは新製品の製造ライン。大まかな製造の流れは、“AZO部屋”と呼ばれる機械室の隣室で、紙おむつの核となる吸水ポリマーをラインに供給することから始まり、“さらさらスリムジェル”が作られ、それが不織布やポリフィルムで挟み込まれて紙おむつの原型となり、ベルト部分などのゴムが付けられ、カットされて製品が出来上がる。
それが、機械によって自動でチェックされ、通過したものがパッケージに詰められ、最終的には段ボール詰めされて出荷ラインへと運ばれるといった流れだ。検品用の機能を使うと、出来立てのポップコーンのように設備ラインから弾き出されてくる光景はちょっと衝撃的だった。
また、製造工程においては、原料の誤使用の防止がシステムで管理されている。原料がシステムに登録され、その一つひとつが適正に使用されているかを製造工程の途中で確認ができるようになっているという。さらに、出来上がった製品に対する品質検査については自動映像識別システムで100項目ほどのチェックを経た上で、最終的には人の手により行う厳重の体制が取られている。3年間海外の工場で製造部門のマネージャーを務めた経験も持つ山口さんは「品質は常に意識する。特に紙おむつは赤ちゃんが使用するものなので、より一層品質への意識は外せない。明石工場は歴史も長く、経験豊富なスタッフが実際に計測をしてミリ単位でもズレがないかを見つける目、正しい製品を正しいと認識する目を持っている。そこの精度に関しては世界中のスタッフから驚かれるほど。そして、実際に製造される製品自体も、生産効率も段違いに誇れる優位性を持っている」と自信を語ってくれた。
安全面に対する徹底的なこだわり
製造ラインの中は、原材料や箱詰めされた製品の搬出搬入のためのフォークリフトが絶えず行き交う。そのため、工場内の通路を横切る際は前方左右を指さしで確認するなど事故防止のためのガイドラインが徹底されている。また、工場内の製造室だけでなく、オフィススペースを含めて針やホッチキスの持ち込みは厳禁だ。持ち物には各自すべて記名をし、万が一落とした場合にもすぐにわかるような工夫が施されている。
また、建屋は外気の影響を受けないように密閉された空間で、外部から虫が混入しないように防虫管理も徹底。排気ガスの影響を避けるため、工場内のフォークリフトも電動のものを採用し、一部喫煙所以外、火気の使用は厳禁で、食堂もIH調理器を導入している。
世界中の優秀な技術者が明石へ
新製品「パンパース さらさらパンツ」の開発にあたって、世界中の技術者がこの明石工場に集結し、製造開発から設備設計に関する熱い議論が繰り広げられたという。グローバル企業の壮大なプロジェクトの舞台として明石工場が選ばれたのは、数十か国にまたがる紙おむつの生産工場の中でも世界トップの生産技術を誇っていることが認知されていること。さらに、品質に関する消費者の目が最も厳しいのが日本であるという共通認識のもと、日本で品質が認められれば世界的にも十分通用するという同社の判断だったとのことだ。
実際、生産設備の開発やオペレーションに携わる山口さんは「消費者の方々からの声を次の製品開発にフィードバックするために、いただいたご意見を資料として他国のメンバーに見せると『いったいそれのなにがおかしいのか?』と驚かれることが多々ある。欧米の場合は、おむつとしての機能を果たしてさえいれば問題に問われることはないが、日本では例えばテープの位置が少しずれていたり、見た目がほんのちょっと違うだけで『不良ではないのか?』という問い合わせがある。それほど高いレベルの品質が求められる」と語る。
工場内に品質管理のラボを構える、その理由
明石工場は工場内に品質管理のラボを構えているのも特筆すべき点だ。「工場で製造したものを正しい品質で届けるためには品質管理をその場で保障することが必要。品質管理の機器を制御するために、その方法を現場で働いている人にも周知してトレーニングや教育をする必要がある。その役割もラボが担っています」と山本さんはその理由を明かした。
あかちゃんを想うママをサポートする思いやりの実現に向けて
今回の新製品は、世界中に供給するという使命があり、かつパンツ型でこれだけ大型の生産設備を導入するというのはパンパース史上でも初めてのことだという。製品自体の革新性のみならず、生産という点でも日々試行錯誤の連続だったと、担当者の山口さんは振り返る。「製品自体すべての原材料が柔らかく伸びやすいので、吸収体やテープなどを、求められている品質の製品として安定して作り出す設備としてセッティングする方法を見つけ出すのに苦労しました。各国からそれぞれの国で実績のあるチームメンバーが明石に集い、こうしたらよいという提案を延々話し合いました。ただ、同じ会社で働く人間同士、同じ企業理念や信念をもってやっているので、最終的には一番よいものを出そうという目的意識があったので、長く時間はかかりましたが最終的にはよりよいゴールにつながったと満足しています。今後もよりよいものを追い求めていきたいと思っています」と最後に抱負を述べ、既に次なる製品の開発構想に向かっている胸の内を覗かせていた。