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金澤町家、再び息吹…ゲストハウスや住居に
- 町家ならではの円窓や格子戸があるゲストハウス「あかつき屋」(2日、金沢市暁町で)
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金沢市で昭和25年(1950年)以前に建てられた木造建築「金澤町家」を保存、改修し、飲食店や住居として活用する動きが目立っている。
戦災に遭っていない金沢市には古い町家が数多く残り、北陸新幹線開業後は、伝統や風習を象徴する建物として観光客の注目を集めそうだ。
「お客さんの6割は建築やデザイン関係の方。町家ならではの格子戸や円窓、坪庭などが好評です」
4年前、兼六園から徒歩約10分の金沢市暁町に、町家を活用したゲストハウス「あかつき屋」を開いた堀田哲弘さん(56)は話す。築80年以上の家屋は、12年に国の文化財指定を受けた。冬には掘りごたつで客同士がだんらんできるが、別の団体とは相部屋にならず、旅館のように落ち着いて宿泊できる。
2月下旬に宿泊したフランス人の親子は、ゲストハウス向かいにある寺に飾られたひな人形を見て、大喜びで帰った。「町家を楽しんでもらうのはもちろん、周りにある昔からの金沢の風習に触れてもらえる」と胸を張る。
市内に6000軒
市歴史建造物整備課によると、金沢駅より東の中心市街地周辺を指す「旧城下町」地区などには約6000軒の町家が残る。しかし、持ち主が亡くなるなどし、「金銭面で維持が難しい」「他人に貸すのは嫌」などの理由で年間約140棟が取り壊されている。
こうした実情を受け、05年から町家の保存・継承活動に取り組むのがNPO法人「金澤町家研究会」だ。11年度からは市の委託を受け、町家の所有者と購入・借家希望者をつなぐ仲介役も担う。
これまで契約が成立したのは17件。研究会によると、50軒ほどの登録物件に対し、購入・借家希望者は154人。川上光彦理事長(67)は「需要はあるが、値段や物件の条件が合わないことが多い」とした上で、「私有財産ではあるが、公共的な財産でもある。行政の支援がより強化され、簡単に取り壊されないようになれば、登録物件は増えるはず」と指摘する。
情報発信を強化へ
最近は北陸新幹線開業に合わせ、町家の注目度が高まっている。希望者のうち県外者は約40人。うち15人は首都圏からの登録で、Iターンの予定者も5人いる。観光客が増えることを見越し、「ゲストハウスとして活用したい」との声が増えているという。
市は今年夏頃から、町家の空き家情報などの発信拠点となる「金澤町家情報館」(仮称)の整備に取りかかり、16年秋頃の完成を目指す。同市茨木町の米穀店だった町家を改装し、常勤職員を置いて市民や観光客も参加できる講座などを開き、町家暮らしをしたいと思う人を増やし、サポートするのがねらいだ。
同課の中村和宏課長は「新幹線開業で観光客が増え、町家に興味を持ってもらえる機会が増える。情報館をワンストップ型のサービス拠点とし、移住者増につなげたい」と期待を寄せる。
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