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【試乗記】フォルクスワーゲン「e-up!」、回答は「すべてにおいてちょうどいい」:岡崎五朗

 【試乗記】フォルクスワーゲン「e-up!」、回答は「すべてにおいてちょうどいい」:岡崎五朗

 もしEVを買うならどのモデルを選びますか?
 そんな風に聞かれたら、僕はe-up!と答える。ほとんど迷わずに。
 それぐらい、e-up!の魅力度は高い。
 いや、本音を言えばテスラのモデルSが一番欲しいんですよ。でも1000万円となるとなかなか・・・ね。その点、e-up!の価格は366万円。補助金を使えば300万円を切る。
 それでも、ガソリンエンジンを積んだup!と比べればざっと100万円は高い。100万円あったら家族で豪勢な海外旅行にだって行けるし、何十回も高級レストランに行けるし、ブランドものの時計だってハーレーだって買えちゃう。にも関わらず、カタログ値(JC08モード)で185㎞、走り方にもよるが実用的には120㎞程度の航続距離しかないクルマをわざわざ買うというのは、冷静になって考えればかなり酔狂なことである。
 
 でも、冷静になれないのがクルマの面白さでもあるわけで。エンジンを搭載せず、電気の力だけで走るEVには、大排気量のV8とかV12エンジンとはまた違った意味での、真新しい面白さがある。エンジンの音がしないとか、排気ガスが出ないとか、ガソリンスタンドに行かなくていいとか・・・考えてみれば当たり前なことだけれど、実際にそれを体験する、あるいは生活に取り入れたときの気持ちを想像してみると、なにやらワクワクしてくるのがEVの魅力だ。なにも化石燃料の枯渇問題や二酸化炭素による地球温暖化問題といった、大切だけど難しい話を大上段に振りかざさなくても、ただ純粋にEVに乗りたいという人の気持ちが僕にはよく分かる。マンション住まいだと難しいが、家に充電設備があり、しかも2台所有なら、その内の1台はEVがいいかなと真剣に思っている程だ。
 
 と言っても、上記の話だけではe-up!をイチオシする理由にはならない。日本には量産EVの先鞭を付けた日産リーフと三菱アイミーブという2大巨頭がいるからだ。何故リーフでもなく、アイミーブでもなく、e-up!なのか? 僕の回答は「すべてにおいてちょうどいい」となる。
 ゴーン氏の強力なリーダーシップ(ゴリ押しとも言う?)によって、積極的なEV普及策を講じてきた日産。その結果生まれたのがリーフだが、僕はデビュー当初からそのコンセプトに懐疑的だった。
 228㎞(JC08)という長い航続距離を実現しつつ、価格を抑えたのは高く評価できる。しかし、如何せんクルマとしての魅力に欠けるのが問題だ。…

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