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リストラ連発中のサムスンが100億円!? 平昌五輪をめぐる、韓国政府と財閥企業のチキンレース
財政難が憂慮されている平昌冬季五輪に、サムスンが救いの手を差し伸べた。4月6日、サムスン・グループは平昌冬季五輪組織委員会と共同で記者会見を開き、ローカルスポンサー契約を締結。その額、なんと総額1,000億ウォン(約100億円。現金800億ウォン、現物支給200億ウォン)。サムスン生命、サムスン火災、サムスン証券、第一毛織などグループ全体として平昌五輪をスポンサードしていくという。もともとサムスンは、グループの主幹企業であるサムスン電子が1998年長野五輪からIOC(国際オリンピック委員会)のワールドワイドスポンサーとなっており、昨年8月にはIOCの最高位スポンサー制度「TOPプログラム」の協賛社として2020年東京五輪までその契約を延長している。今回、それとは別にローカルスポンサーとしても平昌五輪を支援すると明らかにしたことで、韓国メディアにはサムスン賛辞があふれている。「平昌救出に出たサムスン」(ニュースメディア「YTN」)、「トップ&ローカルの“二重支援”のサムスン、スポンサーシップの模範示した!」(一般紙「韓国日報」)。ネットメディア「メディア・ペン」などは、「やはりサムスンだ。 財界1位らしく、平昌五輪成功のために、率先して模範を示している」としたほとだ。
もっとも、サムスンの現在の状況は模範的とは言いがたい。かつては隆盛を誇ったスマートフォン市場はiPhoneや中国メーカーの追撃を受けて、14年度の通年決算が9年ぶりに減収。ローカルスポンサー契約を締結した翌7日に発表された今年1~3月の連結決算でも売上高が前年同期比12.4%減、営業利益に至っては30.5%減となっている。こうした業績不振を受けて、サムスン・グループは大規模なリストラも敢行している。日本ではあまり伝わっていないが、サムスン生命とサンスン証券は昨年だけで1,300名あまりの社員をリストラしているし、昨年は退職勧告などで350名ほどの社員のクビを切ったサムスン物産は今年3月にさらに追加で600~700名の希望退職者を募ることを発表しているのだ。サムスン電子も社員の給料アップを凍結するなど、グループ全体が寒風に震えている状態なのである。
にもかかわらず、サムスンが平昌五輪の救済に動いた背景には、パク・クネ大統領の要請があったのだろう。パク大統領は今年2月、サムスン・グループの次期総帥とされるサムスン電子のイ・ジェヨン副会長ら財閥トップを昼食会に招き、「平昌五輪への積極的な支援と配慮を」と訴えた。…