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今さら聞けない! クロネコメール便終了の要因になった“信書”とは?
送料の安さや荷物の現在地を追跡できる利便性などから、長く支持されてきたクロネコヤマトのメール便。しかし、ヤマト運輸は今年の初めに、同サービスを3月31日の受付分をもって終了すると発表。ヤマト運輸によれば、「メール便利用者が『信書』の配送により罪に問われる可能性が拭い切れない」ことが廃止の理由とのこと。ホームページほか新聞広告で概要を説明しているが、そもそもこの信書とはなにを指すのだろうか。
郵便法によれば、信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と規定されている。特定の受取人とは、差出人が信書に、ある意思や事実を受け取る者として定めた者、そして、意思や事実は、差出人の考えや思いを表現するか、現実に存在する事柄の事実を伝えるものだと補足されている。
納品書や領収書などもアウト
なにやら難しく捉えがちだが、実は身近なモノが信書扱いになる。例えば、納品書や領収書、契約書などの金額が何らかの形で示されているものや、免許証などの許可書、住民票の写しや履歴書、さらには、結婚式の招待状や、文書自体に受取人の名前や、商品の購入にあたる契約などの文言が記載されたダイレクトメールも含まれるのだ。
ヤマト運輸がホームページ上で公表したデータを見ると、2009年度~2013年度までの顧客において、8件が郵便法違反で事情聴取や書類送検の措置を受けているという。郵便法の第四条「事業の独占」で、日本郵便株式会社または提携した事業者以外が信書を配達することは禁じられている。また、同条の第4項では、信書の送達を郵便以外の方法で誰かに委託してはならないといった趣旨の記載もある。つまり、現状では郵便局に預ける以外、信書を送る方法はない。
ヤマト運輸は、4月1日から信書に該当しないカタログやパンフレットを送達する「クロネコDM便」を法人向けにスタートさせる予定だ。「法違反の認識がないお客様が罪に問われるリスク」を無視できないとして英断を下したヤマト。その裏には、郵政という既得権益の影が見え隠れしていないとも言いきれないのだ。
(取材・文/カネコシュウヘイ)