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満点とっても「当たり前」? 優等生タイプほど劣等感が強いのはなぜ
■優等生から漏れる「私なんて」というつぶやき
人もうらやむ学歴を持ち、いつでも優秀な成績。そんな「優等生」に限って、「俺の実力なんか大したことない」「私のアタマじゃ、しょせんこの程度」――こんな「劣等感」まじりのつぶやきを聞くことがあります。「なんてぜいたくな!」「十分すごいのに!」といくら指摘しても、彼らの心には響きません。どうして優等生なのに、こんな劣等感を持っているのでしょう?
理由の一つには、レベルを上げるごとに「上には上がいる」状況に直面してしまう現実の厳しさがあるでしょう。たとえ地元で一番だった優等生でも、ハイレベルな学校に進めば、周りは各地からやってきた「神童」だらけ。そうした人たちと肩を並べれば、途端に「普通の人」になり、自信の鼻が折れてしまうのも無理はありません。
とはいえ、そうした厳しい環境だからこそ闘志が芽生えて、実力伸ばしていく人も多いもの。実際、進学校に進んだ途端に下位グループに転落した生徒が、その転落をバネに、難関大学、一流企業へと逆転勝利していく例もたくさんあります。
■「勤勉性」に失敗して「劣等感」が生じやすい児童期
たしかに、ハイレベルな環境に入れば、周りは優秀な人ばかりで優越感は持ちにくいもの。しかし、高度で質の高い授業や仕事、 志の強い仲間、教養の高い会話――こうした環境や文化が知的好奇心を刺激し、やる気を喚起してくれるのも事実です。
では、ハイレベルな環境に進んだ途端に、「自分はダメだ」と劣等感を強くしてしまうのはなぜか? その原因一つに、その人自身の持つ「自己肯定感」「自己効力感」の低さがあると思います。自己肯定感とは、「どんな状況にあっても私はOK」という自信。そして自己効力感とは、「私にはできる」という自信です。
多くの優等生たちは、小学生の頃からトップを維持するための相当な努力を重ねてきているものですが、この小学校時代は、心理学的には「勤勉性」という発達課題に目覚める時期。つまり、自分のやるべきことに真摯に取り組みたいという意欲が芽生える時期なのです。運動が得意な子ならスポーツに、リーダーシップのある子なら児童会活動に熱意を燃やす子も多いでしょう。そして、優等生なら、その特技を生かして勉強に熱心に取り組み、「勤勉性」への意欲を満たそうとするものです。
この勤勉性の実現に失敗すると、「自分はダメだ」という「劣等感」が生じてしまいます。…