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繊維技術で非衣料分野を切り拓いたパイオニア精神
■自動車産業発展とともに、車両内装材事業を拡大
現在、セーレンでは、売り上げの半分超を自動車内装材が占めています。当社が自動車内装材を手がけるようになったのは、前の連載でもお話したとおり、私がまだ若い頃、取引先の依頼どおりに染色加工するという、委託賃加工に甘んじる企業体質に疑問を感じ、自分たちの手でものづくりをすべきだと考えて始めたのがきっかけでした(連載第1回 http://president.jp/articles/-/14296 を参照)。
当時私は、会社に盾つく異分子として煙たがられ、窓際同然の部署に配属されていました。本業だった染色加工以外なら好きなことをやっていいと言われていたので、あれこれ試行錯誤した結果、たどり着いたのが自動車の内装材だったのです。
自動車の時代が本格的に到来したのも幸いでした。1963年に名神高速道路が開通、さらに5年後に東名高速道路が開通すると、日本の自動車産業は発展期を迎えます。73年、世界がオイルショックに見舞われると、省エネや低燃費に優れた日本の自動車技術が一躍世界の注目を集めます。
その頃から、車はただ走ればいいというものから、低燃費やデザインや内装が重視されるようになり、内装材もそれまでの塩化ビニールから、付加価値の高い素材が求められるようになりました。その波に乗り、私たちはデザイン性や品質保証などのあるべき機能を打ち出した合成繊維素材を開発・提供し、業績を伸ばしていきました。
■「繊維=衣料」の常識に立ち向かう
ただ、社内対応には苦労しました。取引先からの新素材開発や量産の要望に対応するため、設備投資に踏み切ろうとしても、社内で賛同が得られないのです。それまで委託賃加工に安住してきた会社だけに、自社開発のための設備投資やリスクに耐えうる力、資金繰りに必要な財務機能などないに等しかったのです。自動車業界という新しい取引先に対してもリスクを懸念する声が上がり、それらが大きな壁となって立ちはだかりました。
自動車内装材を量産するには、これまで自社の機能としては持っていなかった原糸の購入から編みや織りなど染色以外の製造工程にも対応する必要がありました。なぜなら、一貫した生産体制を確立してこそ、品質、納期、コストのトータルマネジメントが可能になるからです。本社の非協力的な対応に行く手を阻まれながらも、なんとか外部からの融資を得て、自動車内装材専用の技術開発部隊と工場を別会社として設立しました。…