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自分の感情や考えに自信が持てない人はどうすればいい?――【石原壮一郎の名言に訊け】~為末大の巻~
Q:ヘンな悩みに聞こえそうですが、毎日そのことがけっこう気になってしまいます。私は自分の感情を感じるのにとても時間がかかり、また、その感情や考えに自信が持てません。その影響で起きたいいことと悪いことは半々に思いますが、改善する方法はあるのでしょうか。(東京都・28歳・福祉)
A:ヘンなことなんてありません。どんな悩みも当人にとっては深刻だし、どんな悩みも他人から見たらちょっとずつヘンです。胸を張って悩んでください。
感情を感じるのにとても時間がかかって自信が持てないというのは、たとえば人から嫌なことを言われたときに、自分が怒っているかどうかよくわからなくて、だんだん怒りがこみあげてきても、本当に怒っていいのかどうか迷ってしまう……という感じでしょうか。嬉しいことや悲しいことがあったときも、同じように慎重になってしまうんでしょうね。
自分の感情や考えは、たしかにアテになりません。「あいつだけは許せない!」と腹を立てていても、じつは相手のせいではなく自分が勝手に卑屈になっているだけなんてケースはよくあります。しかし、自分の頭の中の話ですから、べつに間違っていてもいいんじゃないでしょうか。どこにもない「正解」を探し求めていたら、そりゃ、自信は持てません。
ハードル競技でオリンピックに3度出場した為末大さんは、こう言っています。
【大人になって自分を認められるのは自分しかいません。もう無条件で認めてくれる母親的存在はいないんです】
自分の感情や考えなんですから、自分でお墨付きを与えてあげましょう。そこには、正解も間違いもなく、強いて言えばすべて正解です。もしかしたらあなたは、母親的存在からの安心できるお墨付きを、心のどこかで期待しているのではないでしょうか。もちろん、あなたの実際のお母様がお元気かどうかは、この際、関係ありません。
だけどそもそも、いいことと悪いことが半々なんだったら、「自分はそういう性格なんだ」ってことで、無理に「改善」しなくてもいいのではないでしょうか。自分の感情や考えに自信が持てるようになったとしても、たぶん、いいことと悪いことは半々ぐらいです。感情や考えだけでなく、自分の性格についても「そういうもの」と認めてあげてもいいかと。
為末大さんは「誰も答えは持っていないんです、あなた用の答えは」とも言っています。自分の感情も考えも性格も、自分で「それが正解」と思ってしまえば何の問題もありません。…