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<サウジ>イエメン空爆 10カ国参加、宗派間抗争の様相
【カイロ秋山信一】サウジアラビアは26日、湾岸諸国などとともに、イエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシに対する軍事作戦を開始した。首都サヌア周辺の親フーシの空軍基地などを空爆し、制空権を掌握した模様だ。サウジ資本の衛星テレビ局アルアラビーヤが報じた。サウジ主導の連合軍にはアラブ首長国連邦(UAE)やヨルダンなどスンニ派主導の10カ国が参加。フーシ側は徹底抗戦の構えで、後ろ盾とみられるシーア派国家イランは同日、軍事介入を非難した。イエメン情勢は国内の権力闘争の枠を超え、周辺国を巻き込んだスンニ、シーア両派による宗派間抗争の様相を急速に深めている。
イエメンは、国際的に承認されたハディ政権と首都などを実効支配するフーシによる事実上の内戦状態にある。AFP通信によると、26日の空爆では17人が死亡した。一方、フーシに首都を追われ、南部アデンを拠点にしていたハディ大統領は海路でアデンを脱出し、オマーンへ向かったとの情報もある。
アルアラビーヤによると、サウジは陸海空軍合わせて約15万人を動員。戦闘機100機や海軍部隊が作戦に就き、他国の船舶に対しイエメンに近づかないよう警告した。作戦に加わった戦闘機はこのほか、UAE30機▽バーレーン、クウェート各15機▽カタール10機▽ヨルダン6機。エジプトも作戦を支持し、「必要なら地上部隊を派遣する」と表明。スーダンやヨルダン、モロッコなどアラブ諸国に加え、サウジと関係が深いパキスタンも協力の意思を示した。
サウジのサルマン国王は26日午前0時(日本時間26日午前6時)にフーシに対する軍事作戦を始めるよう命令。サウジやUAEなどペルシャ湾岸5カ国は共同声明を発表し、「正統な政府であるハディ政権の要請に応えることを決めた」と軍事介入を正当化した。
一方、首都や北部を中心に全22州中11州を実効支配するフーシは、徹底抗戦の構え。2011年の民主化要求運動「アラブの春」で失脚したサレハ前大統領の軍部隊も協力している。
イエメン東部には国際テロ組織アルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」の拠点があるほか、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)も浸透を図っており、混乱に乗じて勢力を拡大する恐れもある。
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