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<福知山線脱線10年>後遺症抱え…負傷者ら文集に手記
JR福知山線脱線事故(2005年)の負傷者らでつくる「空色の会=JR福知山線事故・負傷者と家族等(ら)の会」は、25日で事故発生から10年を迎えるのを前に負傷者らの文集を発行する。手記を寄せた一人で、重傷を負った兵庫県伊丹市の増田和代さん(45)は、後遺症の痛みを抱えながらも、犬の美容室を開店した。「人は、いつからでも新たなスタートラインに立って、輝くことができる」と思いをつづっている。
3両目に乗っていて事故に遭った。腰の骨を折り、左足首も負傷した。一緒に乗っていた母洋子さん(73)も重傷を負った。
事故後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、精神安定剤など10種ほどの薬を毎日飲んだ。当時の生活を、文集の中で「事故から3〜4年は、病院と自宅との往復で、喜怒哀楽もなく、まるでマリオネット(操り人形)のように生きていた」と振り返る。
事故から2年後に家族の一員になったシーズー犬「ゆめ」が支えになった。帰宅が遅い時は玄関で帰りを待っていた。気持ちが沈んでソファの上で座っている時は、飛びついてきて顔をなめてくれた。「私は一人じゃない」。心にかかる雲が晴れるような気持ちになり、「犬に関わる仕事がしたい」と、犬の美容師「トリマー」を目指した。専門学校に通い、2013年4月、伊丹市内に犬の美容室「yume&fairy」を開店させた。
今も腰や足首に鈍い痛みが走る。しかし、大好きな犬と向き合っている時には痛みを忘れられる。増田さんは「あの事故がなかったら、トリマーになることも、多くの犬との出会いもなかった」と思う。文集では、自身の経験を踏まえ「『ゆめ』が私を暗闇から救ってくれた」とつづり、「どんなことがあっても人はまた、いつでもスタートを切れる。悩まないで歩き出してほしい」と語る。
文集は「空色の文集〜福知山線事故・それぞれの10年〜」。負傷者と家族のほか、支援にあたってきたNPO法人など34の個人・団体が手記を寄せた。事故後の生活や思い、被害者支援経験などを記している。A4サイズ約40ページ。500冊を発行し、事故の風化防止を目的に、12日に同会が主催する「4・25 あの日は忘れない メモリアルウオーク」などで参加者に配る予定。メモリアルウオークは午前9時半、兵庫県尼崎市東塚口町2の上坂部西公園に集合。問い合わせは同会へファクス(0798・68・3162)で。【大森治幸、高尾具成】