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<NHK>「なかった」結論に「やらせではないか」と疑問視
◇調査委「過剰な演出」認める 記者ら15人を懲戒処分
NHKの報道番組「クローズアップ現代」などでやらせが指摘されていた問題で、NHKの調査委員会(委員長、堂元光副会長)は28日、「過剰な演出」や「視聴者に誤解を与える編集」があったとする報告書を公表した。看板報道番組の失態に、放送界全体への影響を危惧する声が上がる一方、「事実の捏造(ねつぞう)につながるやらせはなかった」とする結論は「やらせではないか」と疑問視されている。
◇籾井会長ら役員4人は役員報酬一部を自主返納
堂元副会長は会見で「視聴者の期待に反する取材制作は誠に遺憾。おわびする」と謝罪。番組を担当した大阪放送局の男性記者(38)を停職3カ月とするなど関係者15人を懲戒処分とした。処分規定のない籾井勝人(もみい・かつと)会長ら役員4人は役員報酬20〜10%2カ月を自主返納する。
問題の番組は、昨年5月14日に放送した「追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」。多重債務者がブローカーを介して、出家の儀式を受け、名前を変えて融資などをだまし取る詐欺の手口を紹介した。同様の内容は同年4月25日の関西ローカル「かんさい熱視線」でも放送されていた。
いずれも男性記者が担当。ブローカーとされた男性は「自分はブローカーではない」と放送による人権侵害があったとして今月、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に申し立てた。
報告書は「事実を伝えることよりも、決定的なシーンを撮ったように印象付けることが優先され、過剰な演出が行われた」と指摘した。
問題としたのは、ブローカーとされる男性の元に、多重債務者とされる男性が相談に訪れた場面。別のビルから隠し撮り風に撮影。多重債務者とされる男性を記者が追いかけ、突撃取材した。しかし実際には、記者は多重債務者とされる男性と8年前から知り合い。相談にも同席して「もうちょっと補足で聞きたい」と声をかけていた。だが報告書は「架空の相談の場面を作り上げ、2人に演技をさせたとは言えない」と、やらせは否定した。
また、ブローカーとされた男性については、戸籍変更の知識の豊富さなどから「ブローカーと信じる一定の理由がある」とする一方「断定的に伝える裏付けはなく、適切ではなかった」とした。ブローカーか否かの最終判断は避けた。
これに対し、水島久光東海大教授(メディア論)は報告書について「十分な取材をしなかったことによる誤った表現なのに、過剰な演出とした理由が書かれていない」と批判。…