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3月21日、街が音楽に溢れる「バッハ・イン・ザ・サブウェイズ」が開催
3月21日(土)は世界各国でバッハの音楽が奏でられる。街角で、カフェで、地下鉄で、プロアマ問わず様々な演奏家がバッハを無料で演奏し、人々と音楽を分かち合う日となる。
今から5年前の2010年3月21日。ニューヨークの地下鉄のホームで、バッハの『無伴奏チェロ組曲第1番』を奏でる演奏家がいた。ホームを急ぐ人が足を止め、その生の音楽に聴き入った。そしてチップをもらう替わりに彼は聴衆に1枚のカードを渡した。
今日は偉大なる音楽の父J. S. バッハの誕生日を祝い、一日中バッハの音楽を奏でます。音楽に対する愛と敬意を、街ゆく人々と分かち合い、クラシック音楽を次世代につないでいくために。
この演奏をしたのはニューヨークで活躍中のチェロ奏者、デール・ヘンダーソン氏。そして彼の行動はNYの各紙やCNNなどのメディアに取りあげられ、世界中に伝えられた。
■ 2010年に1人で始めた活動が世界39カ国に広まる
クラシック音楽を道行く人と分かち合い、生の音楽を人の心に届けたいというデールの活動『バッハ・イン・ザ・サブウェイズ』は、多くの演奏家の心をとらえ、世界各国に広がっていく。2010年にデール1人が始めた活動が、2014年には米国だけでなく欧州やアジア4カ国12都市に、そして2015年のバッハの誕生日には世界39カ国、129以上の都市で、バッハの音楽が奏でられるという大きな音楽ムーブメントに成長した。日本も今年初めてこの活動に参加する。
ある米国の調査では、生でクラッシック音楽の演奏を聴いたことのある人は人口のわずか3%だという。多くの人が生の音に触れることなくクラシック音楽を“つまらない”、“高尚すぎる”、“自分には合わない”というイメージをもっているようだ。
デールがこのような活動を始めたきっかけには、このような現状への危機感と、クラシック音楽を次世代につないでいきたいという願いがあった。そのため、大きなコンサートホールではなく、楽器本来の音の振動をそのまま感じられる距離、演奏者の息遣いや弓と弦がこすれあう音が聴こえる距離で、できるだけ多くの人にクラシック音楽を体感する機会をつくりたいと考えたのである。
普段電子音でしか音楽に親しんでいない若者にも、楽器のアコースティックな生の音を目の前で聴く機会をつくることは、とても重要だ。街角で聞いた生の楽器の音に魅せられて、将来の演奏家が生まれることもありえるかもしれないのだ。…