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鉄道で行くドイツ裏街道の旅 (2) ドイツ国境の街・コンスタンツを訪れる

鉄道で行くドイツ裏街道の旅 (2) ドイツ国境の街・コンスタンツを訪れる ヨーロッパを効率よくまわるなら飛行機の時間も考えよう

 さて、今回はドイツの南端、オーストリアとスイスの国境に接するコンスタンツの街を紹介しましょう。その前にちょっとヨーロッパ旅行の裏ワザを一つ。ヨーロッパ旅行をする場合、パッケージツアー等ではほとんどの場合が夕方から夜にかけての到着で、初日がつぶれてしまいます。せっかくのヨーロッパですから、初日から色々行動できる方がお得ですよね?

 私もそう考える一人で、ドイツに限らず、ヨーロッパに出かける時は、特定の飛行機を利用しています。それは成田を21時55分に飛び立つエール・フランスの夜便です。通常、昼間に出発する飛行機は到着が夕方になりますが、この便は早朝の4時半頃にフランスのシャルル・ド・ゴール空港に到着します。

 夜に出る便ということもあり、機上時間は少々長いのですが、ゆっくり眠ることができ、朝につくことから、時差ぼけも少なくてすみます。また、ヨーロッパ各地に朝一に出発する飛行機に乗れば、フランス以外の目的地にも午前中に到着でき、午後の時間を有効に活用できるというメリットもあります。

 筆者がコンスタンツに行く場合はこの便を利用し、乗り換えでチューリッヒまで行き、そこから電車で移動します。一見すると「面倒なコースでは?」と、思われるかもしれませんが、実はこの方法が一番早くコンスタンツにたどり着けるとともに、あることが体験できるのです。

 早朝のCDG(シャルル・ド・ゴール)空港。この時間は我々と空港職員しかまだいない。なお、夜便は帰りの飛行機にもあり、こちらはCDG空港を23時に出発、成田には夜の19時頃に到着する

国境越えの雰囲気を手軽に味わう

 あることとは、すなわち「国境越え」です。ヨーロッパ統合後、EU圏内の移動では基本的にはパスポートを見せる必要がなく、昔のように「国境を越えた」という体験をすることが少なくなりました。しかし、スイスは、2007年6月現在、EUには加盟していないため、国境を越え、ドイツに入る時に入国のチェックが行われます。コンスタンツの駅は隣がもうスイス領という、国境に接した形で建っています。ここの駅を利用している鉄道会社はドイツ鉄道の他にSBS(スイス鉄道)があり、駅の中にはちゃんと税関があります。そのため、パスポートチェックは勿論のこと、場合によっては荷物のチェックも行われます。

 とは言っても小さな駅ですし、繁忙期以外では空いている所なので、滅多なことでは税関が混むことはありません。この国境越えを実感する機会は少なくなっていますが、このような方法でわりと手軽に体験することができるのです。

ドイツ有数の保養地コンスタンツの魅力

 コンスタンツは日本からのツアーではまず行くことがないため、意外と知られていませんが、ドイツ国内でも有数のリゾート地です。スイス、オーストリアにまたがって存在する大きな湖「ボーデン湖」のほとりにある街で、飛行船で有名なツェッペリン伯爵が生まれた街でもあります。ここに宿泊するなら是非とも泊まって欲しいのが、シュタイゲンベルガー・インゼル・ホテルです。このホテルは湖に接して建てられており、眺めも良く、また、ツェッペリン伯爵が生まれた修道院を改造して作られたことでも有名です。インターネットから予約をすればお得な宿泊割引のパックが用意されている季節もあり、手軽に利用することができます。

 コンスタンツはボーデン湖周辺にあるドイツ領の街。フランクフルトからもICが走っている(所要役4時間35分)。またスイスとの国境に接しているため、国境越えの雰囲気を手軽に味わうことができる

 ボーデン湖から撮影したシュタイゲンベルガー・インゼル・ホテル。リゾート地のホテルだけあってサービスも一流。コンスタンツに行ったらぜひ泊まりたいホテルだ

 コンスタンツでの移動は、バスと船がメインとなります。シーズンによっては、宿泊期間中はバスが乗り放題になるチケットをホテルからもらえますので、それを利用すればいろいろな所に行くことができます。また、船を使って対岸の街やちょっと離れた場所に移動することもできます。もちろん、船で国境越えを体験することも可能。短期の滞在よりものんびり、ゆっくりと滞在したくなる街、それがコンスタンツなのです。

ガーデニングのメッカ・マイナウ島の魅力

 コンスタンツに行ったならば、必ず訪れて欲しいのが、湖にある島「マイナウ島」です。ここはガーデニングのメッカとして知られており、一年中通して楽しめる観光地です。特に春の季節は島内にある約4,000種類のバラが咲き乱れます。秋にはダリアの花の品評会も行われますので、それらに合わせて観光客が押し寄せます。

 マイナウ島に行くには2つの方法があります。一つはバスに乗ってマイナウ島の入り口まで行く方法。もう一つはコンスタンツの港から船で行く方法です。どちらの方法を利用しても、時間的な違いはありませんが、船の本数が限られているので、行きはバス、帰りは船というのが理想的かもしれません。船着き場には色々な所に行く船が寄港していますが、非常にわかりやすく案内されていますので、迷うことはないでしょう。

 春のバラの季節、秋のダリアの季節には沢山の人が訪れるボーデン湖。ガーデニングファンにはたまらない魅力がある

ワインが美味しい街、メーアスブルク

 コンスタンツの対岸にはいくつかの街があります。その中でもぜひ訪れて欲しいのがメーアスブルクです。船で対岸に渡った所にある街で、美味しいドイツワインのメッカでもあります。ドイツワインというと糖度の高い甘いワインというイメージがありますが、実はそれは大きな誤解です。確かに糖度を高めたアイスワインはドイツワインの代表的な存在ですが、他にも色々な場所で沢山の種類のワインが作られています。18世紀に建てられたバロック様式の新城(ドルニエ博物館)の奥には州立ワイナリーがあり、ドイツワインを安く販売しているほどです。

 ワインの美味しいメーアスブルク。こじんまりとした街並で、非常にくつろげるのんびりとした街だ

 ここで飲むワインは軽めですっきりとした味わいのものが多く、ドイツワインが甘いと思っている人が飲めば、その先入観が吹き飛ぶと思います。また、雰囲気の良い小さなホテルがいくつかあり、コンスタンツではなく、こちらを宿にしてボーデン湖周辺を探索するのもよいでしょう。

飛行船の歴史を知るならフリードリヒスハーフェンへ

 冒頭でコンスタンツを「ツェッペリン伯爵が生まれた街」と紹介しましたが、ボーデン湖周辺には彼にまつわる場所が多々あります。メーアスブルクにもツェペリンの小さなミュージアム(博物館)がありますが、なんと言っても訪れて欲しいのがフリードリヒスハーフェンにある大きなツェッペリン・ミュージアムという博物館です。飛行機に詳しい方ならこの名前でピンと来るかもしれませんが、ここでは飛行船を中心とした展示物が多く存在しており、一日中いても飽きることがありません。

 また、近くにあるフリードリヒスハーフェン空港からは最新型の飛行船に乗ってボーデン湖を遊覧できるツアーも用意されており、色々な楽しみ方ができる街です。フリードリヒスハーフェンにはコンスタンツから船で行きますが、小1時間ほどかかりますので、それを念頭に移動すると良いでしょう。

 さて、次回はコンスタンツを後にして一路北方面へ。ドイツの北部の大都市、ハンブルクの街に移動します。「なぜ南からいきなり北へ?」と思うかもしれませんが、実はそれこそ、ドイツの鉄道の旅なのです。どうぞお楽しみに。

 フリードリヒスハーフェンのツェッペリン・ミュージアムでは、飛行船を中心に様々な乗り物が展示されている

 ワンフライト約3万円と少々高いがボーデン湖を一周できる飛行船も飛んでいる。この飛行船と同形のものが3年位前に日本にも輸入されている

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