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「人事で優遇してほしかった」医師も虚偽報告

 「人事で優遇してほしかった」医師も虚偽報告

 高血圧治療薬「ディオバン」を巡るデータ改ざん事件で、京都府立医大(京都市)の臨床研究のために患者約300人のデータを集めた協力病院の男性医師が、東京地検特捜部の事情聴取に対し、「ディオバンを服用していない患者の発症数を意図的に水増しした」と供述していることが、関係者の話でわかった。

  薬効を大きく見せるために虚偽のデータを報告するという重大な不正を、臨床現場の医師が行っていたことになる。

  同事件では、臨床研究に参加して論文のデータを改ざんしたとして、ディオバン販売元のノバルティスファーマ元社員・白橋伸雄被告(64)だけが薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大記述・広告)で起訴された。だが今月になって、同大の事務局担当医師(53)が患者データに架空の症状を加筆したことも明らかになり、論文の作成過程で、企業、大学、協力病院の3者がそれぞれ不正を行っていた疑いが出てきた。

  同大の臨床研究は2004~09年に実施。同大関連の計31病院が約3000人の患者を「ディオバンを投与」「非投与(他の降圧剤を使用)」の2グループに分けて症例を集めた。

  「済生会滋賀県病院」(滋賀県栗東市)では、同大付属病院に次いで多い290人の症例を複数の医師が集めて報告。関係者によると、滋賀県病院の男性医師は、特捜部の事情聴取に対し、「非投与」の患者が狭心症や脳卒中と判定されるように「ウソの症状を入力したデータを同大に報告した」と供述したという。公表済みの同大の調査結果では、滋賀県病院からの狭心症などの発症数は、「投与」が5例、「非投与」が33例と大きく偏っており、投与した方が効果が高いかのような報告になっていた。

  男性医師は、臨床研究の責任者だった同大教授(当時)が関連病院を含む医師の人事権を持つことから、「教授に気に入られて人事で優遇してほしかった」と動機を説明。教授がディオバンに有利な結果を望んでいると考えていたという。

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