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「地下鉄サリン、教訓生かす」=サミット、五輪万全期す-西村危機管理監

 「地下鉄サリン、教訓生かす」=サミット、五輪万全期す-西村危機管理監

  インタビューに答える内閣危機管理監の西村泰彦氏=13日、東京都千代田区

   オウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で20年を迎えるのを前に、1995年当時、警視庁で機動隊を運用し、オウムへの強制捜査に関わった、前警視総監の西村泰彦内閣危機管理監(59)がインタビューに応じた。「サリン事件の教訓を生かし、5年後の東京五輪や来年開催のサミット(主要国首脳会議)に向け、テロの未然防止に万全を期す」と語った。
  西村氏は警察庁出身。95年3月20日の地下鉄サリン事件当時は、機動隊を運用・指揮する警視庁警備1課長だった。警視庁警備部長や警察庁警備局長などを経て2013年1月から約1年間、警視庁の警視総監を務め勇退。14年2月から現職。
  サリン事件について「日本のテロ対策の局面が変わった」と振り返る。同事件まで、「警察は過激派の爆弾や迫撃弾、刃物を使った個人のテロ対策を進めてきたが、オウムでNBC(核・生物・化学兵器)テロが現実の脅威となった」と話す。
  当時の警察の体制については、化学防護服や生物、化学剤の検知器など装備の不足に加え、「サリンに対する知識も欠けていた」と率直に語る。救助活動後、防護服を除染しないまま防毒マスクを外し、気化したサリンを吸引した症状で、病院に搬送された警察官もいた。
  地下鉄サリン2日後のオウム施設の一斉捜索では、サリンや銃器による攻撃を警戒し、直前の会議で「安全を確保し、絶対に機動隊員にけが人を出すな」と厳命。ただ、胸の内は「あさま山荘事件(72年、長野県)のように、隊員に犠牲者が出るかもしれないと沈痛な気持ちにもなった」と当時の心境を吐露した。
  地下鉄サリン事件後、警視庁や北海道、宮城、愛知、福岡など9都道府県警にNBCテロ対応専門部隊が発足。管轄する都道府県を越えて広域的に対処する能力を持つ。「自衛隊、消防を含めNBCテロ対処能力は大幅に向上した」と強調する。
  過激派組織「イスラム国」によるテロの脅威が高まっている中で、サミット、五輪開催に向け「テロを仕掛ける勢力の情報を徹底的に収集・分析し、未然防止の手を打つ」と話す。「万が一発生したときには迅速に原因を特定し、情報を共有していかに被害を極小化させるか。地下鉄サリン事件で得られた教訓を生かさなければならない」と語気を強めた。

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