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プロトンMロケット、通信衛星「エクスプレースAM7」の打ち上げに成功
ロシア連邦宇宙庁は3月19日、ロシアのカスミーチェスカヤ・スヴャース社の通信衛星「エクスプレースAM7」を搭載した、「プロトンM/ブリーズM」ロケットの打ち上げに成功した。プロトンM/ブリーズMは、昨年5月にプロトンMの第3段の故障で失敗、10月にはブリーズMの燃焼が予定より早く終わってしまい、予定していた軌道に衛星を投入できないという事故を起こしているが、今回で4機連続の成功となった。
ロケットは現地時間2015年3月19日4時5分(日本時間2015年3月19日7時5分)、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の200/39発射台を離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約9時間13分後に、衛星を所定の静止トランスファー軌道に投入した。今後、衛星側がスラスターを使い、最終目的地の静止軌道へ移動する予定だ。
ロケットから送られたテレメトリー・データによれば、プロトンMやブリーズMがほぼ計画通りに飛行したことを示している。また米軍が運用する宇宙監視ネットワークも、近地点高度5406km、遠地点高度3万5752km、軌道傾斜角19.91度の軌道に入っていることを確認している。
エクスプレースAM7はロシアのカスミーチェスカヤ・スヴャース社が運用する通信衛星で、ロシア全域にデジタルTV放送や移動体向け通信サーヴィスを提供する。また、政府機関の機密通信にも使われる。
製造はフランスに本拠地を置くエアバス・ディフェンス&スペース社によって行われた。衛星バスにはユーロスター3000が使われ、24基のCバンド、36基のKuバンド、2基のLバンド・トランスポンダーが搭載されている。打ち上げ時の質量は5720kg、設計寿命は15年が予定されている。
プロトンMロケットの打ち上げは今年2機目となった。またプロトン・シリーズの打ち上げは通算で403機目、プロトンMに限れば89機目となった。
プロトン・ロケットは1962年に開発が始まった。開発を指揮したのはヴラジーミル・ニコラーエヴィチ・チェローメイという人物だ。チェロメーイは1914年、帝政ロシアのシェドルツェ(現在のポーランドにあたる場所)で生まれ、1984年に亡くなっている。元は数学者だったが、その後設計者に転身し、第52設計局(OKB-52)で辣腕を振るう。巡航ミサイル、弾道ミサイル、宇宙開発の分野で活躍し、50年代から60年年代のソヴィエトの宇宙開発を率いていた、セルゲーイ・コロリョーフの最大のライヴァルとして君臨した。…