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機動隊員が語るオウム強制捜査で活躍の「カナリア」

 機動隊員が語るオウム強制捜査で活躍の「カナリア」

 
  カナリアは鳴き声が美しい鳥としても知られています。空気の変化に敏感で、有毒ガスが発生するとすぐに死んでしまいます。昔は炭鉱で働く人がガスを察知するために連れて歩いたそうです。つまり、命と引き換えに人間に危機を知らせてくれた鳥です。実は20年前のオウム真理教をめぐる事件の捜査でも、捜索隊の先頭を切っていたのは、カナリアでした。
  地下鉄サリン事件が起きた2日後の1995年3月22日。警視庁は、山梨県上九一色村のオウム真理教の拠点を一斉捜索しました。ガスマスクをつけた機動隊員が手にしていたのは「カナリア」。
 
  「サリン製造工場」第7サティアンの捜索にもカナリアが参加。このときカナリアを持っていた機動隊員が、初めてカメラの前で語りました。
 
  「私は手にカナリアを持って入っていたので、一番先頭で入っていったと記憶している」(警視庁第三機動隊・遠塚章弘警部補)
 
  なぜ、カナリアだったのでしょうか
  「毒物に敏感なので、一緒に入ればすぐに反応してくれる 」(警視庁第三機動隊・遠塚章弘警部補)
 
  カナリアやメジロは汚染された空気に敏感で、炭鉱などでガス漏れを調べるのに使われた歴史があります。地下鉄にまかれたサリンは異臭がしましたが、本来、サリンは「無臭」。毒ガスを”検知”するため自衛隊のアドバイスを聞き、カナリアが選ばれたのです。
 
  捜索直前、「学校で飼育するため」と目的を隠して都内のペットショップなどからおよそ20羽が買い集められました。そして、迎えた捜索当日。
  「『しっかり頼むよ』と『お前任せたからね』と」(警視庁第三機動隊・遠塚章弘警部補)
 
  カナリアは、2日間活動したあと2日間休むペースで捜索の先頭に立ち続けました。
  「本当に終始おとなしい状態で」(警視庁第三機動隊・遠塚章弘警部補)
 
  その後、カナリアはどうなったのでしょうか。東京・目黒区にある第三機動隊。捜索が行われた年の7月、つがいのカナリアから1羽のひなが生まれました。その名前は・・・。
 
  「『ピース』という名前をつけた。平和の意味をこめてつけた」(警視庁第三機動隊・遠塚章弘警部補)
 
  平和を願ってつけられた「ピース」という名前。隊員の心の支えになったと言います。カナリアは、それぞれの機動隊に大切に育てられました。
 
  今月、警視庁が行ったサリンによるテロを想定した訓練。隊員の手にはカナリアではなく、最新式の「ガス検知器」が握られていました。…

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