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被災者向け無償宅地造ったが、いまだ契約ゼロ
栃木県市貝町が、福島県の被災者に宅地50区画を無償譲渡すると発表してから約1年。
契約に至ったケースはない。病院などが近くにないことへの不安と、賠償金をもらっていない人の資金不足が背景にあるようだ。
避難する福島県民を支援する「NPO法人全国福島県人友の会」(埼玉県杉戸町)は昨年夏、バス1台に避難者を乗せて、市貝町が無償譲渡する予定の分譲地「みどりの森ICHIKAI」を視察した。
一般分譲区画にはかなり家が建つが、無償区画にはほとんど建っていない。代表理事の佐藤純俊さん(68)は「放射線のリスクは少ないし、仕事も見つかりそう。だが、近くに医療・介護・福祉の施設がない」と指摘する。若い世帯は、子供が学校になじみ、ママ友もいるので、避難先周辺に自宅を購入する。移住を検討するのは、残る高齢者世帯だ。
◆賠償金なし、経済格差も
市貝町は待つだけでなく、避難先を訪れて積極的に移住を勧めている。入野正明町長は月2回、避難先や福島県内の仮設住宅を回って勧誘を繰り返している。そこで感じたのは「賠償を受けている人は好きな所へ移住でき、受けていない人はしたくても出来ない」という格差の問題だ。
避難指示区域は賠償の対象になるが、自主避難の人は対象外。入野町長は「月6万円の年金で暮らしている人もいる。みな市貝町へ来たい、と言っているがカネがない」と語る。
ただ、賠償を受けていても、移住に二の足を踏む理由がある。市貝町の宅地譲渡は、住民票を町に移すことが条件。東京電力は「賠償は避難を余儀なくされているかどうかを判断し、転居しただけで(打ち切るなどの)一律対応はしない。個別事情による」とするが、避難者には「住民票を移すと、1人月10万円の避難慰謝料などが打ち切られるのでは」という不安がある。
町は、戸建てを建てられない人のために、高齢者共同住宅が建設できないか検討中だ。入野町長は「農地も用意すれば生きがい作りにもなる」として、定住支援を一歩進めた人道支援を目指している。佐藤さんは「町が災害公営住宅を作るなど将来設計を作れば、移住を決める人も出てくるだろう」と話している。