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語り継ぐ「ひめゆり」の記憶=元学徒ら高齢化、講話終了-沖縄戦から70年節目に
修学旅行生を前に太平洋戦争末期の沖縄戦の体験を話す、ひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子館長=22日、沖縄県糸満市の同館
沖縄県糸満市のひめゆり平和祈念資料館で、1989年の開館当初から行われてきた元ひめゆり学徒による講話が22日、最終日を迎えた。高齢化により続けていくことが困難と判断、沖縄戦から70年の節目に引退を決めた。この日、最後の講話を終えた島袋淑子館長(87)は「戦争を知らない人たちにどう話したら分かってくれるかと、焦ったり悩んだりしている。どれだけ伝わったか心配だが、一つのけじめをつけたい」と話した。4月以降は、戦争体験のない若い世代が学徒らの記憶を伝える役割を引き継ぐ。
「包帯を外すとうじがポロポロ、うみもいっぱい。あまりの悪臭に失神しそうになりました」。今年2月、学徒隊で最高学年だった大見祥子さん(89)が壕(ごう)での看護体験を語ると、修学旅行生ら約200人が入ったホールはしんと静まり返った。
沖縄本島南部の地図を使い、爆音や兵士のうめき声を再現しながら語る声が静かに響く。撤退命令が出された朝、大見さんは重傷を負った友人を残し、壕を出た。「『誰か助けてちょうだい』と小さな声が聞こえて…」と声を詰まらせた。「戦争って本当に大変なんです」。絞り出すように、何度も繰り返した。
動員された学徒隊240人のうち、生存者は104人。開館当初27人いた証言員も、今は9人となった。講話は多いときで年間1000回以上に上ったが、2013年度は350回にまで減った。
後継者育成のため、08年には講話を引き継ぐ説明員らと戦跡を巡った。説明員の1人で同館学芸課の尾鍋拓美さん(33)は「体験者に代われるか不安はあるが、伝えたいという気持ちは同じ。学徒たちの生きざまも伝えていきたい」と話す。島袋館長は「世の中がどんなに変わっても、毅然(きぜん)として平和の尊さを伝えてほしい」と力を込めた。